◯滝田委員 都民ファーストの会東京都議団を代表しまして、当委員会に付託されました平成三十一年度予算関連議案につきまして意見開陳を行います。
初めに、各局共通事項について申し上げます。
平成三十一年度予算は、東京二〇二〇大会を推進力とし、東京が成熟都市として新たな進化を遂げ、成長を生み続けられるよう、未来に向けた道筋をつける予算であります。
第一に、局横断的な連携や行政にはない新たな発想の活用によりまして、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーを実現するための戦略的な施策を積極的に展開すること、第二に、ワイズスペンディングの視点により、自律的な都政改革を不断に推し進め、一層無駄の排除を徹底して、健全な財政基盤を堅持すること、第三に、東京二〇二〇大会の開催準備の総仕上げを着実かつ効率的に進めること、この三点を基本に編成されています。
一般会計予算七兆四千六百十億円、特別会計と公営企業会計を含めました全会計予算十四兆九千五百九十四億円の平成三十一年度予算には、防災対策や都民に身近な犯罪対策、国際金融、観光都市の推進、中小企業対策、ゼロエミッション対策、未来を担う人材の育成、待機児童対策、児童虐待対策、女性活躍、高齢者対策、多摩・島しょの振興など、都民生活にとって欠かすことができない大切な経費が盛り込まれています。
他方、都財政については、今後の人口減少、少子高齢化の影響を織り込み、また、歳入面で、国による都税の収奪に加えて、景気変動に大きく影響を受ける法人二税の割合が高いということを踏まえれば、都民のための施策を持続的に行うために、強い財政基盤が必要となります。
そのため、東京二〇二〇大会を成功させ、これを推進力として、東京の稼ぐ力を充実させるとともに、費用対効果分析を踏まえた政策評価、事業評価を徹底して、予算の効率化を図り、東京二〇二〇大会後を見据えた大胆な行政改革にも着手していく必要があります。
今後とも、いかなる状況のもとにあっても、都民ファーストの視点から、三つのシティーの実現に向けて、東京が成熟都市として新たな進化を遂げ、成長を生み続けられるよう、効果的でスピード感のある政策の実現を強く要望します。
続いて、都市整備局関係について申し上げます。
一、都市づくりのグランドデザインで掲げた二〇四〇年代の都市像に向けて、取り組みを具体化するとともに、各種計画や政策目標に落とし込むこと。また、区市町村との調整を図ること。
一、都市化の流れで失われてきた水辺、緑、空を都市に取り戻し、新たな魅力と活力のある次世代の都市空間を形成すること。水辺を生かす舟運や川辺空間の利用、緑を生かす公園や都市農地の活用、空を生かす首都高速道路の地下化や無電柱化の実現に迅速に取り組むこと。
一、水辺空間の魅力を生かし、観光のみならず日常の交通手段となる舟運の実現を目指し、認知向上や航路拡充などの施策を進めること。
一、自転車走行空間の整備を推進するとともに、自転車推奨ルートの都内全域でのネットワーク化に向けて調査研究を進めること。
一、都民が鉄道の混雑緩和を実感できるよう、局横断でスムーズビズの施策を強力に推進すること。従業員を多く抱える大企業に対しても重点的に取り組み、協力を得ること。加えて、時間差料金制について、有識者や鉄道事業者との検討、協議を進めること。
一、物流環境の将来像を見据えた上で、東京港の混雑解消などの課題に対応した物流戦略を検討すること。加えて、圏央道周辺の物流拠点整備を推進し、大規模災害時の広域防災拠点としても活用を図ること。
一、技術革新は都市構造の前提を大きく変える可能性があることから、職員の海外調査研究などを推奨すること。自動運転車時代の都市構造に関する調査研究については、有識者を交えた会議体に発展させた上で内容を公開すること。
一、多摩ニュータウン地域再生ガイドラインの取り組みを具体化すること。高齢者等の移動円滑化に関する調査については、政策企画局と連携して、多様な新しいモビリティーを実証実験する場をニュータウンに創出するという視点で取り組みを発展させること。
一、緑の総量を減らさないという長期目標に基づき、緑確保の総合的な方針の改定を具体的に進め、緑の質の向上や活用についても方向性を示すこと。
一、都市農地の宅地化は大きな懸念であり、特定生産緑地制度の農地所有者への周知を基礎自治体とともに徹底すること。
一、木造密集地域において、老朽建物の除却や建てかえ、防災生活道路の整備、無電柱化を進めること。
一、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断完了と耐震改修の推進に向けて、建物所有者及び占有者への働きかけを強化すること。
一、地域危険度測定調査は、相対評価だけではなく、絶対評価のあり方を検討すること。
一、都市計画道路及び外かく環状道路を計画的、効率的に整備すること。また、区部に比べ整備がおくれている多摩地域の幹線道路について整備を加速すること。
一、社会情勢の変化などに対応し、個別路線ごとの必要性の検証を不断に行うこと。
一、首都高速道路日本橋区間の地下化について、環境影響評価を迅速かつ的確に進めること。
一、都内約千カ所に及ぶ踏切による渋滞、事故などを解消するため、鉄道の立体交差化事業の推進を加速すること。
一、鉄道新線六路線などについて、地元自治体や事業者と連携して、早期実現に向けた検討を深めること。
一、築地市場の再開発を見据え、都心部・臨海地域地下鉄構想の具体化に向け、検討調査を推進すること。
一、BRTの暫定開業及びその後の路線拡大に向けて、事業者や地元自治体と速やかに事業を推進すること。また、今後、他地域での展開を見据え、経営ノウハウや運行情報などについて、都としての蓄積も進めること。
一、ホームドア整備について、ホームの危険性や駅周辺環境などを勘案した新たな優先整備の考え方について、事業者や国などと迅速に協議を進めること。
一、鉄道駅でのトイレ洋式化及び多機能トイレの整備を促進すること。オストメイトへの配慮やユニバーサルシートなどのニーズについても適切に機能を誘導すること。
一、鉄道駅での円滑な移動を可能にするため、障害のある方、シニアの方、子育て中の方、観光客など、多様な利用者の目線で案内サインやバリアフリー化などを推進すること。
一、条例改正を機に、マンション管理の適正化を進めるとともに、得られた管理状況をもとにした対策を基礎自治体とともに講じること。加えて、建てかえのインセンティブ強化策を検討すること。
一、基礎自治体による空き家の実態調査や対策計画の策定を、技術、予算面で支援すること。物件と利用者の広域的なマッチングを都が先導して取り組むこと。
一、高齢化や施設老朽化する大規模団地について、建てかえに加えて、リノベーションや耐震化、エレベーター設置など、個別事情に合わせた既存ストックの活用策を強化すること。
一、民間賃貸住宅などを活用して、都営住宅に限らない住宅セーフティーネットの取り組みを加速すること。また、シングルマザーなども対象に、子育て世帯に対する低廉な住宅の適正な供給を促進すること。
一、サービスつき高齢者住宅の計画的な供給に加えて、国で構想が進む、仕事つき高齢者住宅やペット共生型高齢者住宅などの新たなモデルを具体化すること。
一、都営住宅は、適正な建てかえを進める中で、創出用地の活用や民間との合築などの検討をすること。加えて、環境性能の向上や、敷地を活用した太陽光発電の導入なども検討を進めること。
一、築地再開発に当たっては、収益性と公益性の両面から、何が一番都民のためになるかという発想で検討を進めること。食に根差した歴史や文化を生かすこと。民間の発想を大いに生かすこと。まちづくり、財務、会計などの有識者を交え、中長期に一貫してまちづくりをコントロールする仕組みを構築し、定期的に議会報告を実施すること。
一、東京ベイエリアビジョンの検討を契機として、築地再開発及び臨海部において、特区や諸制度を活用した新たなモビリティーの導入や空間づくりに取り組むこと。また、臨海副都心では、土地利用や街区分けを柔軟に見直すこと。
一、プロジェクションマッピングの活用を促すため、屋外広告物条例の改正を進めること。新たな観光消費スポットの形成など、ナイトタイムエコノミーの創出について関係部局と共同で推進すること。
以上で意見開陳を終わります。
平成31年都市整備委員会 2019-03-20