平成31年都市整備委員会 2019-03-01

◯滝田委員 先ほど、我が会派の伊藤ゆう理事より、築地市場跡地開発のまちづくり方針の素案に至るまでの過程と主要な論点について質疑をさせていただきました。
 私からは、方針に記された開発内容そのものについて幾つか質疑をさせていただきます。
 市場に関連する話は、大きくは三つに分けることができるものであり、混同した議論をするのはふさわしくないと私は考えます。
 三つというのは、まず一つは、有償所管がえなどの都庁内の手続の問題。二つ目は、豊洲市場の整備に起因する十一市場会計の年間百億円を超す赤字、これをどのように縮小、止血するか。そして三つ目が、当委員会で議論をしていくべき築地市場跡地の価値をどのように最大化するかであります。
 きょうこれまでの議論におきましても、その最大化するべき価値というのは、収益性だけではなくて、収益性と公益性との両面から総合的に勘案するものであると確認をしてきました。
 また、実際の開発においては、開発ノウハウと自由な発想、アイデアを持つ民間企業による提案を存分に生かし、都庁内外の東京の英知を集めて、開発を行っていくべきであります。
 今回の方針素案では、基本的な方向性が書かれていますけれども、細かなことは実は余り書かれておりません。これは、今後実施していく公募において、民間提案者に柔軟性を持たせておきたいという意図と理解をしております。
 一方で、柔軟性が高いということは、出てきた提案を比較評価する方法もよく考えなければいけないということであります。さまざまな提案パターンをシミュレーションして収益性と公益性を検討していくためには、専門性や視点を持った有識者による検討会などの体制を整えることが必要と考えますが、改めて都の見解を伺います。

365◯木村まちづくり調整担当部長 築地のまちづくりが適切に進められるよう、築地まちづくり方針を踏まえまして、各段階の開発、整備を通じまして、まちづくり、財務、会計など、外部の有識者を交えながら、中長期にわたって一貫してコントロールする仕組みを構築していくとともに、議会にも適宜ご報告してまいります。
 今後、経済合理性についても、こういった中で検討してまいります。

366◯滝田委員 我が会派の代表質問や、本日、伊藤理事の方からも提案をしておりまして、民間目線でのプロジェクトマネジメントができる体制をしっかりと構築いただきたいと要望いたします。
 今回の方針素案では、四つのゾーンごとに一定の方向性の記載はありますが、全体としてどのような特徴のまちにするかははっきり見えておりません。都心のこれだけ大きな区画であり、東京が生み出すべき新しい価値とは何か、これを開発の中で提示していくことが必要ではないでしょうか。ICTや金融の規制緩和、支援を促す特区を視野に入れるべきと考えますし、また、イノベーションハブを導入し、ICT、金融、国際交流とあわせて、起業を誘発するエコシステムを備えたエリアを東京の成長戦略として創出すべきではないでしょうか。
 こうした全体のコンセプトについても、民間提案の中で求めていくのか、見解をお伺いいたします。

367◯木村まちづくり調整担当部長 導入機能につきまして、東京二〇二〇大会後の東京を牽引する先進性と国際性を持つこと、他の国際都市との比較において東京に不足している機能を導入すること、コア施設を核として導入機能相互が連携し、相乗効果を発揮させながら、東京、日本の国際競争力をさらに高めていくなどの考え方などを示してございます。
 こうした考え方に沿いまして、コア施設の一つとして、国際競争力の向上に資する展示機能を備えた一定規模の国際会議場を導入することとしてございます。
 まちづくり方針策定後、事業実施方針などを作成し、民間事業者からの提案も受けながらまちづくりを具体化してまいります。

368◯滝田委員 つまり、考え方は説明のとおり示していただいておりますけれども、今後、具体的には民間事業者からの提案を経て検討していくという説明と理解をいたしました。
 次に、方針素案において、創発という少し耳なれない言葉があります。創発MICEは造語だと思うのですけれども、創発または創発MICEということの意味するものは何か、どのような国際会議場や展示場などを意味しているのかお伺いをいたします。

369◯木村まちづくり調整担当部長 まちづくり方針の素案で用いております創発とは、築地のポテンシャルを生かしながら、都民を初め多くの人々が集い、文化等の取り組みを行うことなどを通じて、新たな東京ブランドを創造し、発信するという意味でございます。
 展示機能を備えた国際会議場につきましては、浜離宮恩賜庭園と水辺を生かし、地区内の他の施設等と一体的な機能を発揮させながら、新たな東京ブランドを創造、発信していくためのコア施設として機能させる方針でございます。

370◯滝田委員 説明ありがとうございます。やはり少し創発MICEという言葉がわかりにくいかなという印象を私は持っておりまして、そのため、MICEという言葉の方だけがひとり歩きしているというような印象を私は持っております。
 既に先ほどもほかの会派の方からも論点として出ておりますけれども、もし展示場ということですと、世界の主要な展示場と規模を比べると、当該敷地では中規模のものしかできません。世界基準での大規模展示場ということでは適地ではないわけでありますけれども、この点についてはどのような見解かお伺いをいたします。

371◯木村まちづくり調整担当部長 展示場につきましては、先ほどご答弁いたしましたとおり、新たな東京ブランドを創造、発信していくために、浜離宮恩賜庭園と水辺を生かし、地区内の他の施設と一体的な機能を発揮させるため、国際会議場に併設する機能として想定してございます。

372◯滝田委員 恐らくですけれども、単純な展示場ということではなくて、複合機能とか、あるいは、築地のユニークさというところで勝負をしていきたいということだというふうには思うんですよね。単純な大きさだけでは勝負できる場所ではないというふうに思いますので、このあたりは、先ほどのその創発MICEという言葉もそうなんですけれども、今後も事業者であったりとか、あるいは都民に向けて、もう少しわかりやすく伝えていく必要があるのかなというふうに考えます。
 この敷地の南部、浜離宮や環状二号線の側ですけれども、おもてなしゾーンと位置づけて、ゾーンのコア施設に、先ほどお伺いしました国際会議場と上質なホテルの導入機能がイメージされています。
 このゾーンは、全体の五分の一弱に当たります約四ヘクタールありまして、一般的には十分に巨大な開発の敷地であります。当然そのほかにも、そのほかといいますのは国際会議場やホテルのほかにも、機能を複合させるものだというふうに考えますけれども、国際会議場と上質なホテル以外にどのような機能の導入を考えているのかお伺いをいたします。また、国際会議場とホテルにおいて想定している規模感があれば、あわせてお伺いをいたします。

373◯木村まちづくり調整担当部長 おもてなしゾーンにおきまして、その他に複合される機能につきましては、展示機能を備えた質の高い国際会議場、ボールルームなどを備えた上質なホテルなどと相互に連関して、施設が相乗効果を発揮させられるような機能を導入することとしてございます。
 事業手法といたしまして、公募型プロポーザル方式の民活事業を活用することを想定しておりまして、施設規模など具体的な条件等につきましては、事業者募集要項で示すこととしてございます。

374◯滝田委員 一定程度、規模感などの具体的な条件を事業者募集段階で示すということでありますので、それまでに、会議場やホテルのニーズなどを分析して、深めていただきたいというふうに思います。
 MICEは、ミーティング・インセンティブトラベル・コンベンション・アンド・エキシビションの略語でありますけれども、このMICEの誘致競争、まさに都市間競争におきまして、歴史的建造物や空間など、特別感や地域特性を演出できる施設、いわゆるユニークベニューは、重要な要素であります。当該エリアにおいてMICEを成功させるためには、隣接する浜離宮の活用は必須、重要な要素であります。
 例えばですが、江戸文化を体験する、築地と浜離宮をつなぐ渡し船であったり、ライトアップや会食など夜の浜離宮の活用であったりと、世界のほかの都市にはできないことを実現していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

375◯木村まちづくり調整担当部長 まちづくり方針の素案では、浜離宮恩賜庭園側、環状二号線の南西側でございますが、こちらの敷地にも船着き場を整備するなど、築地川沿いの親水空間を生かしながら、浜離宮恩賜庭園とも連携した地域の回遊性を高める舟運ネットワークの導入を図ることとしてございます。機能導入の方針の一つといたしまして、浜離宮とも連携した取り組みを重視することとしてございます。
 まちづくり方針策定後、民間事業者からの提案も受けながらまちづくりを具体化してまいります。

376◯滝田委員 ご説明ありがとうございます。これはぜひ前向きに進めていただいて、浜離宮にとっても、新しい価値を生み出す、挑戦をさせるということで、都庁内の横連携をしていただきたいというふうに思います。
 次に、敷地中央の一番広い部分、交流促進ゾーンについて伺います。こちらは第二段階での開発とされておりまして、第ゼロ段階のゲートゾーン整備から数えると、実質的に第三段階に当たるわけです。
 恐らく実際の開発が始まるのは少し先になる可能性があると理解をいたしますが、交流促進ゾーンの最大の特徴は、道路などで物理的な区分けがされていない広大な平面敷地であるということです。
 自由度が高く、民間からの幅広い提案を募るものと考えますけれども、物理的な区分けがされていない広大な平面敷地であるという特徴を生かし、この当該交流促進ゾーンをどのように開発していくのか、考え方を伺います。

377◯木村まちづくり調整担当部長 交流促進ゾーンにおきましての機能につきましては、都民が多様な創造的活動などを行うことができる大規模集客交流施設として設定してございます。新たな文化、芸術、デザインの創造活動や、スポーツ、ウエルネスに関する活動への参画など、都民を初め国内外からの多くの人々が感動や楽しみを共有しつつ、東京の新たな魅力を発信できるような機能を導入していく考えでございます。
 具体的な内容は、まちづくり方針策定後、事業実施方針や事業者募集要項の中で明らかにしてまいります。

378◯滝田委員 恐らく、これは機能もそうですし、空間的に平面で広大な敷地ということなので、選択肢が相当多岐にわたるというふうに思いますので、募集要項でいきなり絞ってしまうということではなくて、十分にヒアリングや、先ほども出ましたけれどもサウンディング調査などを活用しまして、アイデアを広げておくということをするべきと提案しておきます。
 最後のテーマになりますけれども、今後の当該敷地の価値向上について、ポテンシャルを確認したいというふうに思います。
 まず、地区全体の交通についてですが、今回の築地市場跡地の開発において、先ほども申しましたけれども、特に交流促進ゾーンについては、安易に都道や区道を設けないでいただきたいというふうに考えています。
 いわゆる都市計画上の道路を設置しますと、区画が細分化されるだけではなくて、付随してさまざまな規制が発生してきます。車両や歩行者の移動は、敷地内通路としての車道、歩道でよいわけです。
 そうすることによって、例えば道路上空空間の活用が柔軟にできたり、車両と歩行者を完全に分けたり、いろいろなアイデアが実現できます。
 また、整備コストとの兼ね合いにはなりますけれども、交通については、地下空間の活用も選択肢として考えていただきたいというふうに思います。
 ゲートゾーンでは、交通ターミナル機能や防災機能を確保するとありますが、本地区全体の交通計画について考えをお伺いいたします。

379◯木村まちづくり調整担当部長 築地のまちづくりに当たりましては、隅田川や陸からの交通ルートが交差する要所にあることを生かしまして、舟運、バス、地下鉄などのインフラから成る広域交通結節点を戦略的に形成することとしてございます。
 ゲートゾーンのみならず、他のゾーンに導入される機能及び浜離宮恩賜庭園とも連携する交通ターミナル機能や防災機能を確保するとともに、水辺に向けた顔づくりを行ってまいります。

380◯滝田委員 ちょっと私の質問の仕方も悪かったのかもしれないんですけれども、ゲートゾーン以外の部分の域内交通をどう考えるかということも、一定の方向性のもとで柔軟に考えていくということだろうというふうには思います。
 次の質問とも関連しますのでこのまま行きますけれども、現在の都市計画では、当該敷地の容積率は五〇〇%と設定されていると聞いています。羽田空港からの、高さに制限のあるエリアではあると思いますが、収益性だけではなくて、公益性を高めるための原資としても、特区や諸制度を活用しての容積率の緩和については、有効な手だてとなり得ます。
 先ほど指摘をしました、道路で区分けをしない、道路等の上空空間を活用する、地下空間を活用するといったようなことや、あるいは特区や諸制度の活用によって、土地の価値を最大限向上させていくべきと考えますけれども、築地跡地の再開発において、それらの制度の活用を行うことを想定しているか、見解をお伺いいたします。

381◯木村まちづくり調整担当部長 築地まちづくり方針の素案では、民間の活力や創意工夫を最大限活用しながら整備を進めていくこととしてございます。まちづくり方針の策定後、民間からの提案を受けましてまちづくりの具体化を図ってまいります。その中で、さまざまな提案があり得ると考えてございます。

382◯滝田委員 ちょっとぼかしたいい方かなというふうには思うんですけれども、基本的には特区とか諸制度の活用というのは、民間の提案をもとにして、どういった開発をするのかということも踏まえて考えていくということだというふうに思いますので、都庁の側からというか、行政の側からそれをやりましょうということを今、安易にいえないのかなというふうに思いますが、いずれにしても民間からは恐らく、容積率の話であったりとか、あるいは先ほどの道路の話であったりとかということは提案が来るのかなというふうに思いますので、ぜひ前向きに検討いただきたいなというふうに思います。
 最後に幾つか意見を付しますけれども、我が会派からは、代表質問、一般質問及び当該都市整備委員会において、築地エリアから臨海部に至る地下鉄構想を検討、具体化していくべきとかねてから主張しております。
 今回、有償所管がえに当たっての土地活用の評価は、近傍の現在の地価を参照しておりまして、こうした将来の公共交通の整備などによるポテンシャルは入っていないというふうに理解をしております。
 先ほども少し論点に上がりましたけれども、定期借地によって土地を何十年と長期に民間企業に貸与する形をとるのであれば、当初設定をする賃料と鉄道を整備した後の賃料は当然変わってくるべきというふうに考えます。
 公共交通の整備には多額の税金もかかることですので、今後、開発や定期借地の契約が具体化していく過程において、鉄道インフラ整備による利便性向上分を一定程度賃料として都が回収できるように検討していくべきと考えます。
 もちろん相手がいることですので、今答えられないというふうに思いますけれども、今後の検討をお願いいたします。
 また、舟運についてですが、私自身もこれまで都市整備委員会でたびたび指摘をしてまいりましたので、本日質問はいたしません。観光としての舟運だけではなくて、日常の移動手段として活用するための課題整理など、以前の答弁のとおり検討を進めていただいていると認識をしております。
 また、跡地の再開発においては、ゲートゾーンに、鉄道やバスなどほかの公共交通網と舟運との交通結節点を形成する。これは、これまで東京にはなかった新しい取り組みになります。文章で書くのは簡単なんですけれども、実際にデザインをするということは簡単ではありませんので、これはこれで一つの大きなチャレンジだというふうに考えます。今回の方針をもとに検討を深めていただければというふうに思います。
 また、水上からの景観について、こちらも先ほど議論がありましたけれども、これまで東京の開発では、水上からどういうふうに見られるかということはほとんど意識がされたことがありません。この点については、今後の公募等においても留意をするべきというふうに思いますので、提案をいたしておきます。
 本日もさまざまな意見が出ましたけれども、築地の再開発そのものは、東京の未来、夢のある話でありますので、今後とも、建設的に皆様と議論を深めていければというふうに思います。
 以上、意見を申し上げまして、私からの質問を終わります。
 ありがとうございました。

平成31年都市整備委員会 2019-03-01
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