◯滝田委員 私からは、品川駅北周辺地区の都市計画事案について何点か質問いたします。
首都東京の国際競争力を高めていく上で、羽田空港から至近で、二〇二七年にはリニア中央新幹線乗り入れが行われる品川駅は世界でも有数のポテンシャルを持っています。
今回の都市計画事案は、品川駅と田町駅の間にできる山手線新駅の再開発事業であり、そのポテンシャルや立地特性を最大限生かすように民間事業者とともに進めていただきたいと思います。
また、このような新規かつ大規模な開発においては、新たなモデルをつくり出すことで、エリア価値の向上だけではなくて、東京、日本、世界において、参考事例となるような空間づくり、コンテンツづくり、制度の活用などにおいて、先例を一つでも多く結実されるようお願いをいたします。
まず、品川新駅及び周辺地区において、どのような特色のある都市を形成していくのかお伺いいたします。
43◯久保田都市づくり政策部長 本地区は、新駅の整備に加え、羽田空港に直結し、リニア中央新幹線の起終点ともなる品川駅に隣接するなど、国内外からの交通アクセスにすぐれております。
この立地特性を生かし、本計画ではカンファレンス、コンベンションなどのMICE機能や新しいアイデアや技術の創造に取り組む文化創造施設、新ビジネスやイノベーション創出を支援するビジネス支援施設などを整備し、これらを一体的に運営、機能連携することで、最先端のビジネス環境を形成いたします。
また、外国人のニーズにも対応した国際水準の居住施設や宿泊施設、生活支援施設などを整備し、居住、滞在機能の強化を図ります。
さらに、まちの顔となる新駅歩行者広場や駅とまちを一体的につなぐ、まとまりある広場などを整備することで、デッキレベルを中心とした交流空間を創出いたします。
こうした取り組みにより、国際ビジネス交流拠点の形成を図り、東京の国際競争力を高めてまいります。
44◯滝田委員 国際競争力のある国際的なビジネス拠点を形成するために、オフィス機能だけではなくて、文化や交流機能なども混在していることが重要であります。ぜひ魅力的な機能集積を図っていただきたいと思います。
また、本計画の大きな特徴は、デッキレベルで四つの街区をつなぎ、緑あふれる歩行空間、広場空間を形成していることにあると感じています。
約一キロメートルにわたり歩車分離がなされ、品川駅から田町駅の間を安心して歩くことができる。東京の都心にそのような場所はありませんでした。
この空間をどのように活用できるかによって、当該開発がこれまでにない魅力的な都市を形成できるのか、それともどことはいいませんけれども、過去のヒューマンスケールから外れた大規模開発で陥った閑散とした空間を再び形成してしまうのか、成否が分かれると考えています。
品川、さらには東京の新しい顔として、施設の利用者だけではなく、多くの人が集い、回遊することのできるにぎわいを生み出せる都市づくりを都としても後押ししていくべきと考えます。
ついては、デッキレベルと地上レベルに創出される歩行空間、広場空間を活用して、本地区の魅力づくりやにぎわいづくりをどのように進めるのかお伺いをいたします。
45◯久保田都市づくり政策部長 本計画では、新駅とまちを一体的につなぐ新駅前の広場を整備するとともに、南北につなぐ歩行者ネットワークに沿って、広場を連続的に配置することで、駅とまち全体を一体的につなぐ交流空間を創出いたします。
具体的には、地上とデッキレベルで約二万平方メートルの広場空間を創出し、建物内の導入機能と連携しながら、街区を超えたにぎわいを形成するとともに、イベント等にも積極的に活用していくこととしてございます。
イベント等の運用につきましては、事業者が中心となって設立をするタウンマネジメント組織が行うこととしており、イベント開催、パブリックスペースの利活用、情報発信、プロモーションや地域活動、マネジメントなど、まちの価値向上に資する多角的な活動を行ってまいります。
46◯滝田委員 民間事業者と地域が柔軟な発想でまちのにぎわいを生めるように、タウンマネジメント組織の円滑な活動を行政としても支援するようお願いいたします。
また、周辺地域と連携し、波及効果を高めるためには、タウンマネジメント組織と地元行政や地元関係者が連携するための座組みも必要であると考えますので、都としても連携を促すよう要請をいたします。
今回の計画では、歩行空間、広場空間が道路等をまたいで設置される箇所があります。一体的な都市計画となるのか、それとも道路構造物となるのかなどによっても、空間を活用する際の制約が変わってきます。
道路構造物となるのであれば、車道と完全に分離された上部空間であるとはいっても、道路管理者や道路交通の観点から、警視庁などの許可を必要とします。
例えば、計画図の4街区と3街区の間、3街区と2街区の間は、道路上部の空間を広場と記しておりますけれども、広場として、例えば出店やイベントなどを恒常的に実施しようとする際に許可がおりない、あるいは手続に時間や手間がとられるということでは、にぎわいの創出に支障が出てしまいます。
都は、にぎわいづくりを推進する観点から、関係行政機関に対してどのような姿勢で臨まれるのか、見解を伺います。
47◯久保田都市づくり政策部長 本計画では、都市再生特別措置法に基づき、重複利用区域を定め、道路上空に新駅歩行者広場を整備いたします。
街区間をつなぐ広場は、道路法に基づき、道路と広場の兼用工作物として整備することを想定しております。
本地区では、都や区、事業者等で品川駅北周辺地区まちづくりガイドラインを策定し、官民が連携してパブリックスペースを活用していく方針を定めており、広場をイベント等に活用していく考え方を関係者の間で共有しております。
これらの広場の所有や管理などの詳細につきましては、現在、関係者の間で協議を行っているところでございますが、都といたしましては、ガイドラインが目指すまちづくりやにぎわいづくりの実現に向けて、引き続き関係者間で調整を行ってまいります。
48◯滝田委員 一昔前の大型再開発では、残念ながら、土日はゴーストタウンになってしまうというものもありました。
そうではなくて、ヒューマンスケールのにぎわいをつくり、人が集える、人が歩きたくなる空間をつくれるように、民間事業者を強く後押しされることを要請いたします。
続いて、交通面に関して、今回の再開発に関連して、鉄道車両基地によって分断されていた東西の地区が結節することになります。
具体的には、区道の拡充による連絡道路、品川新駅に隣接して歩行者専用道を新設、また先ほど陳情審査において議論しましたけれども、環状第四号線の延伸の三ルートが確保されます。
これまで線路東側の芝浦港南地区は、芝浦水再生センター上部の芝浦中央公園などもありますけれども、余りアクセスのよい場所とはいえず、まちの裏側となってしまっていたと感じています。
東西の連絡により、芝浦港南地区の魅力をどのように高めていくのか、見解を伺います。
49◯久保田都市づくり政策部長 芝浦港南地区と高輪地区は、鉄道により地域が東西に分断されており、本計画地内で唯一東西方向を連絡する高輪橋架道橋下区道は、高さや幅員が十分でないなど、東西の連絡性強化が課題となっておりました。
港区まちづくりマスタープランでも、芝浦港南地域から山手線内へのアクセス向上を図るため、新駅東側連絡通路や第二東西連絡通路の整備を推進することが方針として定められております。
このため、本計画では、新駅東側通路を今後の周辺開発に伴う利用者数の増加を踏まえた幅員で整備し、芝浦水再生センターの上部にある芝浦中央公園に接続することといたしました。
また、第二東西連絡通路につきましては、土地区画整理事業で整備することとしてございます。
これらにより、芝浦港南地区と新駅、泉岳寺駅周辺地区をつなぐことで、芝浦港南地区の利便性や広域的な回遊性の向上を図ってまいります。
50◯滝田委員 芝浦港南地区は、運河や東京湾湾岸の水辺空間があり、今後はほかにはない魅力的なまちづくりのできるポテンシャルのあるエリアとも考えられます。
今回の東西の連絡によって、高輪地区、品川駅北周辺地区、芝浦港南地区がそれぞれの特性を持って連担していくことにつなげていただきたいと思います。
ここまで確認してきたとおり、今後歩けるまちとしての側面も強まると思いますが、一方、当該エリアは次世代モビリティーの実用化に向けて、先駆けていくことも期待をしています。
国道一五号と品川駅西口駅前広場の将来像として、次世代モビリティーターミナルを配置するなど、未来型のターミナルを整えていくとの方向性が九月に中間取りまとめとして示されました。
ついては、品川駅北周辺地区においても、このターミナルと連携することが想定されているのかお伺いいたします。
51◯久保田都市づくり政策部長 国道一五号、品川駅西口駅前広場におきましては、本年九月に次世代型交通ターミナルの実現に向けて、中間取りまとめが国土交通省から発表されたところでございます。
今後は、今年度内の取りまとめに向け、事業計画の検討を進めることとしてございます。
本品川駅北周辺地区の計画でも、街区間及び周辺地域とのアクセス性の向上を図るため、次世代モビリティーの導入を検討していくこととしており、次世代型交通ターミナルの計画の深度化に合わせて、今後、関係者間で連携のあり方について検討してまいります。
52◯滝田委員 品川駅の次世代モビリティーターミナルに特に期待するところとして、鉄道などの既存交通との結節点をどのように形成するかということ並びに近距離交通の新しい形を生み出していくことの二つがあります。
一キロから二キロ程度の移動を歩行者と共存した形でつなぐ、まさに高輪地区、品川駅北周辺地区、芝浦港南地区のような距離感をつなぐモデルとなるのではないでしょうか。今後、具体的な計画が詰まっていくものと思いますが、国、関係自治体、事業者とともに都としても積極的な推進をお願いいたします。
最後に、都市のヒートアイランド現象に対して、風の道を確保することが必要であると以前より指摘されています。
当該開発エリアは、東京湾から品川、田町を通って抜ける主要な風の道に当たる場所と思われますが、今回の開発においてどのような配慮がなされているのかお伺いいたします。
53◯久保田都市づくり政策部長 本計画におきましては、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四を踏まえ、主要な風の道に当たる2街区の建築物の高さを五十メートル以下とするほか、高層棟の配置において、隣棟間隔を六十メートル以上確保することとしてございます。
さらに、オープンスペースの確保やまとまりのある緑の整備などにより、ヒートアイランド対策にも配慮してまいります。
54◯滝田委員 ご説明ありがとうございました。
今回質問いたしませんけれども、芝浦水再生センターとの連携によるエネルギーの効率利用、資源の有効利用が図られることも伺っております。
下水道局の範疇となろうかと思いますが、官民連携した合理的な環境配慮を今後も促していただきたいと思います。
以上で私からの質問を終わります