平成30年都市整備委員会 2018-11-28①

◯滝田委員 私からは、環状第四号線、陳情事案について何点か質問をいたします。
 高度に都市機能が集積する東京において、人の流れ、物の流れをスムーズに行うことは、いまだ重要な都市課題であると認識をしています。幹線道路網の整備充実は、首都東京の国際競争力の向上と、人々の暮らしの向上の両面につながるものであります。
 また、大規模災害への備えという観点でも、幹線道路は円滑な避難経路、緊急車両の通行、支援物資の運搬などに必要なものであります。
 一方で、社会情勢や環境、道路に対するニーズが変化してきている中で、都市計画道路のあり方について不断の見直しが必要であります。個別路線ごとに必要性の検証を行い、整備するものは整備する、不要なものは不要とするといっためり張りが求められることは、改めて最初に申し述べておきます。
 さて、今回議題となっている環状第四号線は、明治通り、不忍通り、外苑西通りを経て、今回の白金から品川、湾岸の芝浦方面に抜ける区間の整備をすることで、環状道として完成します。都心方向への流入を迂回させ、効率的に交通量をさばくという観点で、環状道は有効であります。
 今回の整備区間に関しては、湾岸部の交通容量の大きな幹線道に接続させることで、都心部の交通量の減少や、現在、環状方向の交通を担っている山手通りや環状七号線などのほかの環状道の負荷を軽減すると考えられます。
 ついては、今回の陳情で取り上げられている環状第四号線の広域的な役割について、都の見解を伺います。

14◯荒井都市基盤部長 環状第四号線は、現在、都市計画の変更手続を進めている区間も含めて、港区港南三丁目から江東区新砂三丁目に至る延長約二十九・九キロメートルの都市計画道路でございます。
 本路線は靖国通りや白山通り、日光街道など放射方向の幹線道路と連絡し、都市の骨格を形成する区部環状方向の幹線道路の一つであります。
 これによりまして、広域的な道路ネットワークを形成し、都心に集中する交通を分散するなど重要な役割を担っております。

15◯滝田委員 幹線道路の整備は、その整備箇所だけではなくて、ほかの区域の交通渋滞を緩和する広域的な効果や生活道路の通過交通を減らすなどの効果があります。そうした点について、都民にわかりやすく伝えるということが必要ではないでしょうか。
 都市計画で長年定められてきた環状線は重要なのだからとにかくつくるのだといったことではなくて、具体的にどういったエリアにおいて渋滞や環境の改善効果が期待されるということを示していくことは、地域の方の理解や共感を得るためにも意識していただきたいと思います。
 一方、環状第四号線の延伸先は、品川駅周辺地域になります。同地域は、羽田空港から至近であることに加えて、二〇二七年にはリニア中央新幹線が品川駅を起点に開通する見込みであります。
 また、きょうこの後の審議で議論しますが、品川新駅の再開発エリアでもあります。これからの十年で東京、日本を牽引する新たな中心地域へと品川駅周辺は大きく生まれ変わる立地的なポテンシャルを有しています。
 そこで、品川駅周辺地域における環状第四号線の整備の意義についてお伺いいたします。

16◯荒井都市基盤部長 品川駅周辺地域は、鉄道で東西に分断され、鉄道を横断できる新八ツ山橋と札の辻橋の間隔が約二キロメートルあり、東西方向の連絡が不足している状況にあります。
 このため、都は、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインの中で拠点性を高める道路ネットワークの一つとして、環状第四号線の整備延伸を位置づけております。
 この整備によりまして、鉄道によるまちの分断を解消し、東西の連絡性を強化するとともに、羽田、臨海部、六本木方面とのアクセス性を向上させ、世界の人々が集う魅力ある国際交流拠点の形成を図っていくものでございます。

17◯滝田委員 これまで田町-品川駅間は巨大な鉄道車両基地があり、線路を挟んで東西が分断されていました。その結果として、東部の湾岸部は都市の裏手のような形となってしまっており、本来の立地のよさを都市の活力として発揮されてこなかったように感じています。
 また、運河や東京湾の水辺空間を生かした魅力的な空間を形成するポテンシャルもあることから、東西をつなぐ都市基盤の整備効果を発揮させる都市づくりを地元自治体とともに検討していくよう要望いたします。
 ここまで広域的な観点などを伺いましたが、次に地域の視点で確認をいたします。
 白金台や高輪地区には、東西方向の幹線道路がないために、地区内の生活道路に通過交通が流入している状況もあると理解をしています。また、幅員が狭い道路だけでは、災害時において、倒壊した電柱や家屋が道路を塞いでしまうこと、あるいは延焼を防げないといった可能性もあります。
 地域の課題解決に環状第四号線がどのように寄与するのか見解を伺います。
 また、地域の生活環境に与える影響を軽減するためにどのような工夫を行っていくのか、あわせてお伺いをいたします。

18◯荒井都市基盤部長 環状第四号線の整備によりまして、生活道路に流入する通過交通が減少し、身近な道路の安全性が向上いたします。
 また、歩行者、自転車、自動車の通行空間の分離により、安全で快適な交通環境を確保いたします。
 加えて、避難経路や救援物資輸送路の確保、火災の延焼拡大を防ぐ延焼遮断帯の形成、電線類の地中化による災害時の道路閉塞の防止など、地域の防災性向上にも寄与いたします。
 今後、事業実施段階におきましては、通学路や主要な歩行者動線などを考慮し、警視庁と協議の上、横断歩道の配置計画を検討してまいります。
 また、道路の設計に当たっては、植樹帯を設けるとともに、車道部には低騒音舗装を敷設し、中央帯に遮音壁を設置するなど、地域の生活環境に与える影響を軽減してまいります。

19◯滝田委員 先ほども都民にわかりやすく伝えるということの重要性をお伝えしました。行政の手続として定められた内容の説明を行えばよいということではなくて、都民目線で理解、納得ができるということが重要です。
 災害時なども含めて、地域にどういった課題があり、今回の整備が課題解決にどのように効果があるのかということ、あるいは地域の方が懸念されている事項について、改善案でどのように対応できるのかといったことについても、わかりやすいイメージ図などを活用して、一般の都民の目線でわかるよう工夫をいただきたいと思います。
 最後に、環状第四号線整備に関して、今後どのように取り組んでいくのか、都の見解をお伺いいたします。

20◯荒井都市基盤部長 これまで環境現況調査の説明会、都市計画変更素案及び特例環境配慮書の説明会、事業の進め方及び測量に関する説明会、個別相談会などを実施してまいりました。
 説明会では、図面やスライド、パンフレット等を用いて、都市計画素案や環境への影響について説明を行ってまいりました。
 今後とも地元の理解と協力が得られるよう、さまざまな機会を捉えて説明を行うなど、丁寧な対応に努めながら事業を推進してまいります。

21◯滝田委員 ご説明ありがとうございました。広域的な意義なども鑑み、当該区間の道路整備は推進するべきとの立場でありますが、地域の皆様に丁寧にわかりやすく説明し、理解を得られるように一層努めていただくことを要望いたしまして、私からの質問を終わります。

平成30年都市整備委員会 2018-11-28①
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