◯滝田委員 今回より都市整備委員会のメンバーが大きく変わりましたが、私の方は二年目も引き続き担当してまいりますので、よろしくお願いいたします。
これまでの都市化の流れの中で犠牲にされてきた水辺、緑、空を都市に取り戻す、人の手に取り戻す転換点に来ていると考えています。東京の新たな活力と魅力を高めるため、水辺や緑や空を生かす次世代の都市空間の形成を関係各局と協力して進めていただきたいと思います。
具体的には、例えば水辺を生かす舟運や河川空間の利用、緑を生かす公園や都市農地の多面的活用、空を生かす無電柱化や首都高速道路の地下化など、取り組みの加速を期待いたします。
一方で、道路、鉄道、防災などのハード整備には、新規整備と老朽化施設の更新と両面で引き続き巨額の費用が必要となります。安全、快適、効率を高め、東京の成長を実現していくこととともに、二〇二五年以降は東京でも人口減少時代を迎えるといわれる中で、どのように財政面で都市経営を持続させていくか、ワイズスペンディングの観点で都市整備局の担う立場は重要です。
加えて、技術革新の進展により、都市の構造もこれまでと大きく前提が変わる可能性が高まっています。大きな変化をどのように把握して取り入れていくかは、都市整備行政の戦略を左右する鍵になると考えています。
こうした観点に基づいて、本日は八つのテーマを質問いたします。
見える化改革について、快適通勤と多摩地域のホームドアについて、多摩都市モノレールについて、舟運と水辺空間の活用について、防災施策について、多摩地域の取り組みについて、屋外広告物規制について、技術革新に関する調査について、順に伺います。分量が多いので、やや早口で伺ってまいりますが、ご容赦をお願いします。
初めに、見える化改革について伺います。
本年度より都政改革本部が職員主体の自律改革に移行したことで、より一層改革の中身が問われています。特別顧問によらなくても、職員主体で改革を進められると証明していくことに都市整備局としてもご尽力をお願いしたいと思います。
都市整備局では、見える化改革において、六つの事業ユニットを担当しており、総務部が取りまとめた上で、各担当の部課にて対応したと事前の確認で伺っています。
そのような中で先日、十月十七日に報告された交通政策に関する報告書を拝見しましたが、道路や鉄道ネットワークではなくて、かなりバリアフリーに特化した内容でありました。その背景についてお伺いをいたします。
242◯荒井都市基盤部長 交通政策におきまして、例えば都市計画道路につきましては、定期的に整備方針や事業化計画を策定し、必要性を検証の上、優先順位を定めて、計画的、効率的に整備を進めているところでございます。
また、鉄道ネットワークにつきましては、既に世界に誇るべきネットワークが形成されておりますが、さらに国の交通政策審議会答申第百九十八号に基づきまして、事業化に向けた検討を進めるべきとされた六路線を中心に、国や鉄道事業者などと連携して、課題解決へ向け、調整、検討の深度化を図っているところでございます。
一方、鉄道駅のバリアフリー化は、交通政策の事業費の中でも高い割合を占めている上、少子高齢化の進展や東京を訪れる外国人旅行者の増加などを踏まえ、利用者にとって、身近で高いニーズがある一方、課題や工夫が見えにくいという面もあります。
そのため、交通政策の中から鉄道駅のバリアフリー化の取り組みに着目し、その現状分析、課題整理と今後の方向性について、見える化を図ったものでございます。
243◯滝田委員 都政改革本部の資料によりますと、見える化改革とは、局レベルの改革として、各局等の主要事業について、適正な予算、人員、サービス水準となっているか、ほかにより有効な政策がないかといった観点から、分析、評価することにより、その実態と課題の見える化を図り、主体的な経営単位である各局等が従来の自律改革のレベルにとどまらず、経営戦略改革のレベルで局事業の自律的かつ総合的な見直しにつなげていく改革であると定義しています。
また、どのような分析を行うべきかについてもフレームワークが示されています。
私の感覚としては、今回の交通政策の報告書が経営戦略改革のレベルとは正直感じられず、厳しいいい方になりますが、既存事業の一環にすぎないレベルであったと評価しています。委員の皆様にも同報告書は後ほどごらんになっていただきたいと思います。
ちょうど先週、私は公営企業会計決算特別委員会の委員として、下水道局について審査をいたしました。同局が昨年度に作成した報告書では、日々の事業ではなく、老朽インフラの更新や浸水対策などの長期的課題に対し、持続的な経営が可能かどうかを検証していました。
私の感覚としては、そうした内容が経営戦略改革のレベルであります。質疑においても評価しているとの発言をいたしました。
鉄道駅のバリアフリー化の話は、政治要件の話であります。一兆円、一千億円規模の桁の話である交通ネットワークの大きな枠組みの検証をし、都市整備局の本気度を都民やほかの局に示すべきであったと思います。
見える化改革並びに自律改革そのものについて、今後議会のさまざまな場で検証されていくことになりますが、私からはこの点は強く指摘せざるを得ないと思っています。
次に、同報告書で力点を置いている内容について質問いたします。
同報告書の筋立てでは、外国人旅行者を含む訪都旅行者の増加に対応するため、移動円滑化の取り組みが必要であるとしています。
しかしながら、同報告書の中には、外国人旅行者などの目線での対策はほとんど記載がありません。ホームドアとエレベーターの整備によったものとなっています。
外国人旅行者などの目線での対策であれば、例えば経路情報などのソフト的な対策も含めて、もっと多様な移動円滑化のアイデアが検証されるべきと考えます。今後の移動円滑化の取り組みについて見解を伺います。
244◯荒井都市基盤部長 鉄道駅におけます移動円滑化の取り組みには、ハード対策とソフト対策がございます。
ハード対策としましては、エレベーター整備によるワンルートに加え、複数ルートや乗りかえルートの確保が求められております。
また、ホームドアの整備は、現在三割である整備率をさらに高めていくことが求められております。このため、見える化改革で示した考え方に基づき、着実に取り組みを進めてまいります。
一方、ソフト対策としては、新宿駅など大規模ターミナルにおいて、関係者間で連携し、表示内容やデザインを統一し、外国人にも対応した案内サインの整備や、バリアフリー情報を掲載した多言語対応の案内地図の配布等の取り組みを進めております。
誰もが安全で円滑に移動できる環境の整備に向け、ハード対策とソフト対策をあわせて推進してまいります。
245◯滝田委員 ご説明いただきました新宿駅で行ったターミナル駅の案内サイン改善の取り組みにおいて、どのような課題やニーズがあり、それに対してどのような解決策をとったのか検証し、ほかの駅に横展開できるものは実施していく。今回の見える化改革の報告書では明らかにされていませんが、そういったことにも早期に取り組んでいただきたいと思います。
ほかにも、例えば点字ブロック、有益性はいうまでもありませんが、段差ともなりますので、キャリーバッグや車椅子、高齢の方との相性は実はよくありません。誰もが安心して快適に移動できる移動円滑化と銘打つのであれば、点字ブロックを必要とされる方と、逆に障害と感じてしまう方をどのようなルートで移動させられるかといった検討をすることや、両立するためのデザインに関しても事例や研究がありますので、それらを検討するといったことも必要ではないでしょうか。
ついては、見える化改革の報告書において、新たに示している分析結果や課題並びにそれらに基づく施策の方向性は何か、お伺いいたします。
246◯荒井都市基盤部長 今回の見える化改革における分析において、エレベーター整備には、膨大な整備箇所、新たな用地や空間の確保などの課題があるとしております。
また、ホームドア整備には、多数の整備箇所、高い整備コストなどの課題があるとしております。
このため、鉄道事業者等と事業促進及び情報共有の場を設け、バリアフリー化の推進に向けた考え方や、駅ごとに異なる課題をヒアリング等により把握するとともに、ホームドアに関する新技術の情報共有を図ってまいります。
また、区市町を通じまして、利用者ニーズなどを把握してまいります。
これらの取り組みを踏まえ、エレベーターやホームドアの優先整備の考え方を整理することにより、限られた事業費を効果的に投入して、鉄道駅のバリアフリー化について整備の促進を図ってまいります。
247◯滝田委員 移動円滑化の観点では、ホームドアやエレベーター整備だけではなく、ぜひ多角的に方策を検討して進めていただきたいと思います。
ホームドアの整備については、後ほどの質問でも触れてまいります。
いうまでもないことですが、見える化改革で報告書を出して終わりということではありません。今回厳しい評価をお伝えしましたが、都政改革において、都市整備局が全庁の模範とされるような取り組みを行うことを委員として強く要望いたします。
次に、快適通勤の取り組みについて伺います。
先ほどの両角委員と重複するところもありますので、少し端的に聞いてまいります。
快適通勤のターゲットは、近年横ばいとなっている主要三十一区間の平均混雑率一六三%を緩和することであります。都民の皆様が実感として混雑率の緩和を体感するほど、快適通勤施策の成果を上げるためには、現在の時差ビズ加盟企業の募集やPRなどの機運醸成の取り組みだけでは十分とはいえないのではないでしょうか。
通勤者やその雇用企業に対して、時差通勤を取り入れるインセンティブとなる仕組みを設計する必要があります。
そのような中で、オフピークポイントなどのインセンティブの取り組みが民間鉄道事業者や東京メトロ、都営地下鉄において始まってきております。
こうした時差通勤のインセンティブの仕組みについて、取り組みを支援するべきと考えますが、見解及び課題を伺います。
248◯荒井都市基盤部長 満員電車の混雑緩和には、鉄道利用者、鉄道事業者双方の取り組みが重要であります。そのため、時差ビズの展開に当たりましては、ポスターや動画などを用いた広報展開に加えて、鉄道利用者がオフピーク通勤へ取り組む意欲を引き出していく必要がございます。
今年度の夏の時差ビズでは、鉄道事業者によるオフピーク通勤者へのポイントの付与などに加えて、混雑の見える化など、情報の提供による鉄道利用者の誘導、早朝時間帯の臨時列車の増発も実施していただきました。
引き続き、都としては鉄道事業者に対し、それぞれの路線の混雑状況や混雑緩和への取り組み方針なども踏まえたインセンティブとなる方策の検討を働きかけるとともに、広報や快適通勤プロモーション協議会、専用ホームページなどを通じて、それらの情報を利用者に発信、周知することで支援してまいります。
249◯滝田委員 時差通勤をするインセンティブの仕組みづくりは、通勤混雑の解消並びに働き方改革に通じるものであり公益性が高い一方、鉄道事業者にとって、必ずしも収益性が高まるものではないことから、都として、インセンティブの仕組みに対する支援策を真剣に検討するべきと指摘いたします。
また、オフピークポイントの取り組みに関して、効果や課題など、実施事業者からの情報収集を行うよう要望いたします。
一方、経済団体、企業、鉄道事業者などの巻き込みについて、一層の強化をしていく必要があると考えます。東京都食品ロス削減パートナーシップ会議では、民間事業者と有識者を交えて、民間での対応策から政策的な課題抽出まで幅広く議論していると理解しています。
他局の取り組みですが、そのような形態も参考として、経済団体、企業、鉄道事業者とともに、課題解決のための知恵を出し合う機会を設けるべきと考えますが、快適通勤プロモーション協議会の現在の役割機能についてお伺いいたします。
250◯荒井都市基盤部長 快適通勤プロモーション協議会は、時差ビズの認知度向上や機運醸成、混雑緩和や働き方改革に効果的な取り組みの報告を行うことを目的として、平成二十九年度から四回開催し、都内に路線を持つ十二の鉄道事業者や東京商工会議所も参加し、時差ビズの普及促進について連携協力した取り組みを実施しております。
協議会では、ポスターや動画を活用した広報による機運醸成に加えて、先進的な取り組みを行った企業の取り組みの紹介や表彰を行っております。
さらに、ことしの七月に開催した協議会では、時差ビズサロンとして、働き方改革の取り組み等について、情報共有、意見交換を行う場を設け、参加企業間の交流の促進や時差ビズのノウハウの交換、共有などが行われました。
また、時差ビズ参加企業を対象にアンケート調査を行い、都の取り組み内容等に対する意見を集め、改善に活用しております。
引き続き、協議会の場を効果的に活用しながら、時差ビズのムーブメントの場をさらに広げてまいります。
251◯滝田委員 私、議員になる前まで、まさに企業人でありましたので、その実感から申し伝えますが、一従業員や一企業の意識だけでは実践できないものがたくさんあります。実際に影響を受ける従業員や雇用企業の抱える課題を把握しなければ、効果の高い施策を展開することはできません。
普及活動にとどまらず、快適通勤プロモーション協議会の抜本的な機能強化を図るべきと改めて指摘をいたします。また、具体的な混雑率の緩和目標についても掲げるべきであるということを指摘します。
時差ビズ参加企業の数だけではなく、参加企業の従業員数、参加企業における実施割合など、総合的に向上させていくことで、初めて政策の成果、アウトカムである混雑率の緩和に結びつきます。
続けて、ホームドア整備について伺います。
現在の都の支援メニューは、東京二〇二〇大会の会場周辺地域及び国の駅ホームにおける安全性向上のための検討会の答申に基づき、利用者数一日十万人以上を対象としています。
しかしながら、ホームの危険性を論じるには、本来、駅全体の利用者数ではなく、ホームの構造や通勤ピーク時のホームごとの乗降数など個々に見なければなりません。
個別の駅の状況を把握していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
252◯荒井都市基盤部長 お話のとおり、国の駅ホームにおける安全性向上のための検討会では、一日当たり利用者十万人以上の駅については、ホーム転落、接触事故の件数が五から十万人の駅に比べて約三・七倍発生していることが明らかになっているため、都は利用者数が十万人以上のJR、私鉄の駅について補助を行っております。
本検討会の方針では、利用者十万人以上の駅において、車両の扉位置が一定している等の整備条件を満たしている場合、平成三十二年度までに整備することになっております。
また、東京二〇二〇大会競技会場周辺駅等に対しては、利用者の規模によらず、補助を実施しております。
平成三十二年度以降につきましては、見える化改革にもありましたように、周辺の福祉施設へのアクセス性等、個別の駅ごとの状況を把握しながら、優先整備の考え方に反映してまいります。
253◯滝田委員 国の取りまとめによると、件数ベースで約三・七倍との説明がありましたが、利用者十万人以上の駅には、一駅で百万人を超える駅なども含んでいることから、この件数は利用者数やホーム数当たりで事故割合が多いかをあらわしているわけではありません。やはり個別の駅や個別のホームについて、状況把握をしていく必要があると指摘をいたします。
加えて、都は効率的に状況把握を行うため、さきの検討会における分析については、もとのデータが入手できないか、国土交通省と確認いただきたいと思います。
見える化改革の報告書において、優先整備の考え方を示すとありますが、今後のロードマップについてお伺いをいたします。
254◯荒井都市基盤部長 見える化改革における鉄道駅バリアフリーのロードマップで示したとおり、平成三十年度末に優先整備の考え方を示し、平成三十一年度以降、これに基づき、鉄道事業者において、着実な整備が実施されるよう働きかけてまいります。
あわせて、都費の効果的な投入を検討し、鉄道事業者の取り組みを促進いたします。
また、鉄道事業者等を対象として、情報連絡会を適宜実施し、都内各駅の状況を把握しながら、平成三十二年度以降も切れ目なく、鉄道駅のバリアフリー化を進めてまいります。
255◯滝田委員 ご説明ありがとうございます。JRが三月に発表した二〇三二年までの整備計画によると、二〇二五年度末までに整備する区間に立川以西の駅が含まれておりません。私の地元八王子駅や西八王子駅は、利用客も多く、事故も発生していることから、都として優先整備の考え方を整理する際にも状況把握をして、早期整備の可能性を検討するよう申し添えます。
次に、多摩都市モノレールに関連して幾つか伺います。
二〇一六年に国の答申で位置づけられた六路線を中心に、検討を具体化するべく、広域交通ネットワーク形成等に関する調査として、本年度、八千万円の予算を計上しています。
当該調査の検討状況をお伺いします。特に多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面、町田方面への延伸についても説明を願います。
256◯荒井都市基盤部長 鉄道ネットワークにつきましては、都は国の答申において、事業化に向けて検討などを進めるべきとされた六路線を中心に、採算性などの課題の解決に向け、地元自治体や鉄道事業者などの関係者と連携して、検討を進めております。
現在、事業化に向けて必要な検討の深度化を進めており、今年度の委託調査において、国勢調査や人口推計値、鉄道の輸送実績などについての最新の統計データを用いた需要予測、それを踏まえた需要確保策の検討、これらに基づく採算性の検証などを行っております。
次に、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面及び町田方面への延伸についてでありますが、事業化に向けては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況を踏まえるとともに、事業採算性の確保に向けたコスト縮減策や収入確保策などの検討を行う必要があります。
また、町田方面延伸につきましては、導入空間となり得る道路整備の課題もございます。
都は沿線市町、多摩都市モノレール株式会社とともに連絡調整会議を設置して、これらの課題について検討を行っており、引き続き関係者との協議、調整を進めてまいります。
257◯滝田委員 引き続き検討を進捗するようお願いいたします。
一方、以前の委員会でも指摘しているとおり、多摩都市モノレールは、延伸や今後の設備更新などを見据えて、経営体力を高めていくことが重要であると考えます。
本年六月には、新たに中期経営計画を策定し、これまでの経営再建から軸足を移し、自立と持続的成長を目指す新しいステージに進んでいくとされています。
安全の確保は大前提として、人材の育成、サービスの向上、沿線地域との連携についても具体的な目標を立て、施策を矢継ぎ早に実行してほしいと思います。
そこで、沿線地域、大学、企業等との連携について、取り組みをお伺いします。
258◯荒井都市基盤部長 多摩都市モノレール株式会社ではこれまで、沿線の大規模商業施設等と連携した割引券つき乗車券の販売、ワイン列車等の企画列車の運行、自治体等と連携したスタンプラリーやウオーキングイベントなどの開催、沿線イベント情報の発信などを実施してきました。
今年度も沿線五市の利用者を対象としたプロ野球観戦を含む企画乗車券の販売や、明星大学と連携した五行歌と呼ばれる詩のコンテストなどを実施しております。
ことし六月に会社が公表した中期経営計画では、沿線自治体を初め各種関係機関と意見交換などを行うことで、地域の声を生かした新たな連携の可能性についても検討していくとしており、会社では地元自治体との調整の場を設けるとともに、沿線地域や企業、団体等が実施するイベントへのさらなる参画を検討するなど、取り組みを進めております。
259◯滝田委員 先般九月に大手ビール会社と組んで実施された企画列車に個人として乗車し、現場のご努力を一利用者の立場から見させていただきました。こうした挑戦を通じて、社内ノウハウの蓄積を進めていただきたいと思います。
一方で、東京メトロとぐるなびが共同運営しているレッツエンジョイ東京では、学園祭グランプリなるものを主催しておりまして、本年度は東京メトロを含む私鉄八社と共同でキャンペーンも実施しているようです。
多摩都市モノレールの経営リソースは限られている中で、自前で企画するだけではなくて、こうした企画への参画なども検討するべきと提案をしておきます。
ところで、切り口を変えますが、本年七月に多摩都市モノレールに対してサイバー攻撃があり、業務系のファイルサーバーが被害に遭ったと伺っています。
輸送システムは、別系統で切り離して運営されており、安全運転には支障がなかったと理解しておりますが、このサイバー攻撃で受けた被害並びに対策につきお伺いします。
260◯荒井都市基盤部長 多摩都市モノレール株式会社では、ことし七月に社内の一般業務に使用しているファイルサーバーが外部からのコンピューターウイルスに感染し、保存していたデータが使用できなくなる被害が発生いたしました。
なお、列車の運行に係る輸送システムや定期券購入などを管理する営業システムは、別系統で管理されていることから、影響はなく、またこれまで情報の漏えいも確認されておりません。
会社では、今回の被害を受けて、情報セキュリティーの専門会社を活用しながら、セキュリティー体制の見直し、強化に取り組むとともに、全社員を対象とした研修により、意識向上を図るなど、会社を挙げて対策を進めております。
また、都市整備局では、本件について総務局に報告するとともに、所管の監理団体に対し、情報管理や緊急時の速やかな初動体制を徹底するよう通知するなど、危機管理の点からの取り組みも進めております。
261◯滝田委員 業務の復旧にも大変なご苦労があったかと思いますが、これを糧にして、セキュリティーの体制強化にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
また、今回の学びを局内にとどめるのではなくて、全庁の監理団体での対策に生かしていくべきです。ほかの監理団体で同様の情報セキュリティーの穴が起こらないよう、総務局と連携して、ノウハウの共有を図るようお願いいたします。
次のテーマ、舟運と水辺空間の活用に移ります。
今後の都市づくりは、これまで都市化の流れの中で犠牲にされてきた水辺、緑、空を取り戻す転換期にあると最初に述べました。東京の本来豊かな河川や海などの水辺空間をまちづくりの資源として、より活用していくべきと考えています。
これまでも私や我が会派の議員は、委員会質問などにおいて、一貫して舟運の活性化や水辺空間の活用について推進するべきと述べてまいりました。
都では舟運の活性化を目指して、運航の社会実験などに取り組んできておりますが、これまでの成果について伺います。
262◯森交通政策担当部長 都は、舟運の活性化に向けた社会実験として、平成二十八年度から二年間、民間事業者と連携し、羽田と臨海部、浅草を結ぶ航路や東京港を循環する航路、お台場、日本橋での周遊航路など、複数の航路で運航を実施してきました。
その結果、二年間で延べ約四千人の方に乗船いただき、利用者の多い区間が明らかになるとともに、舟運の認知度の低さや船着き場のわかりにくさなどの課題を把握いたしました。
社会実験で需要を確認した航路のうち、お台場発着の周遊航路につきましては、ことし七月に民間事業者による運航が開始されております。
また、その他の複数の航路につきましても、民間事業者により、海上運送法に基づく一般旅客定期航路事業の許可の取得に向けて、具体的なダイヤなどの運航計画の検討や、関係者との調整が進められております。
263◯滝田委員 社会実験で得られた知見を生かし、引き続き取り組みを前進していただきたいと思います。
前回の委員会においても例示をしましたが、海外、例えばニューヨークでは、都心のマンハッタンと対岸のブルックリン地区との間で、舟運が通勤も含めた日常の足となっている事例もあります。
東京においても、観光としての舟運だけではなくて、今後、日常的な移動手段としての舟運についても可能性を検討するべきと考えますが、見解を伺います。
264◯森交通政策担当部長 舟運を活性化し、航路を拡充していくためには、観光に加え、日常生活での移動など、船のさまざまな活用方法について検討することが重要です。
このため、今年度、船着き場の整備状況や周辺の公共交通網、開発動向などを踏まえ、舟運を日常の移動手段として活用するための課題を整理し、実現可能性のある航路を検討する調査を実施しています。
265◯滝田委員 日常の移動手段として活用するための課題整理についても今年度行っていくとの力強い答弁をいただきました。ぜひニューヨークの事例なども参考に、航路や利用形態など検討していただきたいと思います。
また、築地再開発におけるテーマの一つとしても舟運が取り上げられています。前回の委員会で意見したとおりでありますが、鉄道やバスなど、ほかの公共交通網と舟運との交通結節点の形成は、これまでにない新しい取り組み課題であり、築地まちづくり方針をまとめていく過程においても、しっかりと検討を深めていただくように改めてお願いをいたします。
舟運に関する一つ目の質問で回答いただいた内容に戻りますが、舟運は民間事業者による運航を基本にしていると理解しています。事業者ごとに国及び関係各局の許可を受けて事業を実施するわけですが、その際に懸念されるのは、事業者間の連携がなく、運航計画や船着き場の運用などがばらばらになされてしまい、利用者の総合的な利便の向上につながらないケースであります。
より魅力的で利用者の利便性の高い舟運ネットワークをつくるためには、舟運全体として、わかりやすい運航ダイヤ、運航航路とすること、それらのわかりやすい情報発信や案内表示がなされること、適切に船着き場が整備されることなどの要するにインフラが必要になります。
個々の民間事業者に任せるだけでは課題があると考えますが、どのようにして舟運全体の利便性を高めていくのか、見解を伺います。
266◯森交通政策担当部長 舟運全体の利便性を高めるためには、利用者の視点に立って、わかりやすい案内や情報提供を行うことが重要でございます。
このため、船着き場周辺において、最寄り駅から利用者を円滑に誘導するよう表記ルールを統一するなど、案内サインの改善に取り組んでおります。
今年度は、吾妻橋や有明など六カ所の船着き場周辺で案内サインの試験設置を行い、効果や課題を確認していきます。
また、ホームページやスマートフォンアプリを活用し、事業者ごとに提供されている航路や運航ダイヤ、船着き場へのルートなどの情報を一元的に発信することや、船での移動を含む経路の検索を可能にすることで、舟運の利便性を高めてまいります。
267◯滝田委員 都民に利用しやすい舟運事業が運営されるよう、必要なインフラづくりに関しては、都としても主体的に進めてほしいと思います。
なお、公的に費用を賄うのか、あるいは事業者からの一定額の利用料などを納めてもらう中でこのようなインフラ整備を行うのかは、関係各局とも連携して、規律を持って検討いただくよう申し添えます。
一方、利便性の向上に加え、水辺空間をまちづくりへ活用する観点から、舟運により水辺へ人を集め、にぎわいを創出していくべきと考えますが、見解を伺います。
268◯森交通政策担当部長 水辺のにぎわいを創出するためには、船着き場周辺などで地域と連携した舟運の取り組みを進めていくことが効果的です。
このため、舟運とまち歩きを組み合わせたツアーなど、広く舟運の魅力を実感していただけるよう、さまざまな機会を提供しております。
今年度は大田区のイベントと連携して、会場内の船着き場から発着し、羽田空港周辺の夜景や離着陸する飛行機を眺めるクルーズを実施するなど、地域と連携したさまざまな臨時便を運航する予定でございます。
東京二〇二〇大会、さらにその先に向け、舟運が身近な観光、交通手段として定着し、水辺のにぎわいを創出するよう取り組みを進めてまいります。
269◯滝田委員 船着き場周辺は、河川空間は建設局の所管、臨海部エリアは港湾局の所管、防災船着き場などで基礎自治体の管理となっている場所もあります。舟運が水辺空間を生かしたまちづくりにつながるように、関係各局や自治体と連携しなければなりません。
また、繰り返しとなりますが、築地再開発のまちづくり方針や東京ベイエリアビジョンなどにおいて、舟運の活用と水辺空間の活用を明記して、部局間、自治体間、地域間にて連携して推進していけるように、計画に位置づけることを要望いたします。
次に、防災施策について一点伺います。
不燃化領域率や特定緊急輸送道路の沿道耐震化など、各種の目標設定がなされており、実行プランにある現行の目標が実現した場合には、相当程度、災害時の被害軽減となっているものと理解しています。
防災施策に際限はないのだということではなくて、何にお金を使うのか、どこまでお金を使うのかは、費用対効果と都市経営の持続性の観点から冷静に見ていかなければなりません。
都市整備局で主に担っているハード面での防災施策については、実行プラン以降の長期的なあり方を考えていく上で、議論の土台をつくる時期に来ているのではないでしょうか。
例えば、都が五年置きに公表している地震に関する地域危険度測定調査は、これまで相対評価で各地域の危険度をあらわしていますが、相対評価では、どこまで改善すればいいのか、まさに際限がありません。
加えて、各地域が努力をして改善しても、他地域との比較で改善したように見えないということもあり、指標として課題があります。
今後、地域危険度測定調査は絶対評価としていくべきと考えますが、今回、二月に公表した調査で実施をした改善点とあわせて見解を伺います。
270◯安部防災都市づくり担当部長 地域危険度測定調査は、都民の防災意識の高揚に役立てることを目的の一つとしておりまして、地震に対する建物倒壊、火災、総合の三つの危険度を町丁目ごとに測定し、五段階のランクに分けることで、都内の中で相体的にどの程度危険かをわかりやすく示しております。
本年二月に公表しました今回の調査では、新たに建物の倒壊及び延焼の絶対量としての危険量を総合化した危険量を公表しておりまして、前回と比較して、都内全体において、市街地の防災性が向上していることを明らかにいたしました。
さらに、火災危険度で延焼シミュレーションの時間を六時間から十二時間に延長し、火災の燃え広がりによる延焼遮断帯の焼けどまり効果をより反映できるようにするなど、前回に比べ、市街地の実態をより反映した精度の高い測定方法へと改善しております。
今後、地域の改善状況も見きわめつつ、絶対評価の示し方につきましては、学識経験者らの意見も踏まえながら、検討を進めてまいります。
271◯滝田委員 三月の委員会における我が会派の木下委員の質問に対しても、絶対評価としていくことに前向きに答弁をいただいておりました。学識経験者の方と知見を結集し、地域危険度測定調査の絶対評価化を進めるとともに、各種の防災施策について、長期的なあり方を検証していただくようお願いいたします。
次に、多摩地域の取り組みについて幾つか伺います。
都市づくりのグランドデザインの具体化の一つとして、今年度、多摩地域の整備に関する基礎調査を行うこととしていますが、取り組み状況を伺います。
272◯久保田都市づくり政策部長 多摩地域の整備に関する基礎調査につきましては、グランドデザインで示した拠点を形成する取り組みを取りまとめることを目的としており、昨年度までは多摩地域の人口動向や産業動向などの基礎的な調査を実施してまいりました。
今年度は、これまでの調査結果を踏まえ、例えば中小企業振興公社が主催した新技術創出交流会に参加した企業のほか、地元の大学などにもアンケートやヒアリングを行い、立地環境など、まちづくりの側面におけるニーズを把握した上で、企業立地の誘導施策などを検討してまいります。これにより、イノベーションの創出や交流の促進を図ってまいります。
273◯滝田委員 イノベーションの創出や企業立地の誘導などに関して、都市計画的な手法から検討していくというかなり難易度の高いことをやろうとしているので、担当している方の頭を悩ませているだろうなと想像するところです。
グランドデザインの記載から特別用途地区の活用などが想定されていると見受けられます。
しかしながら、例えば新技術の実証フィールドとして、規制のサンドボックスとなる特区を定めることや、ニュータウンなどの、都心に比べてゆとりのある道路空間を活用して、新たなモビリティーを実現すること、イノベーションハブとなる集積拠点の整備をすることなど、せっかくさまざまな企業等にヒアリングをするのでありますから、都市計画的な手法ではなくとも、都市空間を生かすアプローチは多角的に検討し、他局と共同で実現していく目線が必要なのではないかと提案いたします。
多摩地域の中でもニュータウンの話に移ります。本年二月に多摩ニュータウン地域再生ガイドラインを策定していますが、策定後の具体化に向けた取り組み状況について伺います。
274◯齊藤局務担当部長 まず、都は、地域のまちづくりの主体となる地元市に対しまして、多摩市ニュータウン再生推進会議や八王子市の多摩ニュータウンまちづくり方針の策定に係る懇談会に委員等として参画し、広域的なまちづくりの観点から、ガイドラインの具体化に向けた検討を支援しております。
また、高齢者等の移動円滑化に向け、地元市の意見を聞きながら、最適な交通手段について検討するなど、各市共通の課題について取り組んでおります。
さらに、地元市等の催しでブースを設け、ガイドラインの取り組みをPRするなど、地元市民の機運醸成に努めるとともに、多摩ニュータウンのブランドアップに向けた効果的な情報発信についての検討も進めております。
都は、地元市などと連携しながら、豊かな暮らしと活力に満ちた多摩ニュータウンへの再生に取り組んでまいります。
275◯滝田委員 区画が広く、移動距離が長い、また高低差があるなど、ニュータウンのもともとのよさが、高齢化が進む中でバリアとなってしまっていることが課題です。
一方、ニュータウンの方から、駅までの道のりの途中にちょっと座って休めるところがあれば歩けるのになという声も聞きます。交通手段に加えて、歩けるための工夫も検討を願います。
説明中にもありましたように、私の地元でも八王子市多摩ニュータウンまちづくり方針を策定中であります。先般、市民とのワークショップも見学させていただきました。都の地域再生ガイドライン策定に地元市が呼応しています。引き続き、具体策の実現に都として後押しされることを要望いたします。
一方、ニュータウンは複数の自治体にまたがって市域が連担しており、加えて生活圏として、神奈川県相模原市も市民にとって関係が深い。
また、都市づくりのグランドデザインなどにも記載があるとおり、二〇二七年に開業を予定しているリニア中央新幹線も同市の橋本駅に停車予定であり、ますますつながりを生かす必要があります。
ついては、市をまたいだ広域の連携、県境をまたいでの連携について、都としての取り組みを伺います。
276◯久保田都市づくり政策部長 都は八王子市、町田市、多摩市、稲城市、UR都市機構とで構成をいたします多摩ニュータウンまちづくり協議会を設置いたしまして、多摩ニュータウンのまちづくりにおける共通課題の解決に向けた協議を行い、施策の展開を図っているほか、随時、市からの相談に応じるなど相互に連携を図りながら、まちづくりを進めております。
また、リニア中央新幹線が二〇二七年に名古屋まで開通し、橋本駅周辺に新駅が整備されることなどを念頭に、隣接する相模原市とまちづくりの意見交換会を実施するなど、広域的な連携も図っております。
引き続き、広域的な視点に立ち、関係市との連携を深めながら、多摩ニュータウンや周辺地域のまちづくりを推進してまいります。
277◯滝田委員 自治体間の広域連携に関しては、都がファシリテーターとなって、新たな連携体制を構築していくような支援を行っていただきたいと思います。
特に県境をまたぐ神奈川県や相模原市との情報交換について強化していくようにお願いをいたします。
次に、屋外広告物規制に関して質問をいたします。
まず、プロジェクションマッピングに関する現在の制限の内容についてお伺いをいたします。
278◯久保田都市づくり政策部長 プロジェクションマッピングは、建築物等に光で投影する方法により表示される投影広告物でございまして、都は平成二十四年度に新しいタイプの広告物として、屋外広告物条例における投影広告物の取り扱いを定めております。
主な内容として、イベント等で企業名、商品名等の営利内容が映らない映像を一時的に投影するものは、規制の対象外としております。
また、営利内容を含む映像を投影するものは、道路等の禁止区域では投影できないこととし、商業地域等の許可区域では、広告板に準じた面積等の一定の規格内は許可を受けることにより投影できることとしております。
さらに、東京二〇二〇大会の機運醸成に寄与するものなどにつきましては、禁止区域や面積等の基準を超える場合であっても、安全性等を確保することを条件に、特例許可ができることとしてございます。
なお、道路等をまたいだ投影はできないこととしております。
279◯滝田委員 本年三月に国土交通省がプロジェクションマッピングに関する条例ガイドライン及び事業者向けの実施マニュアルを発表いたしました。都においても、屋外広告物条例の修正、または投影広告物条例の制定などにより、プロジェクションマッピングの活用を推奨しつつ、適切な運用がなされるような新たなルールづくりを早期に検討していただきたいと思います。
また、実施マニュアルの中には、道路を挟んで高所から高所へ表示し、禁止行為に該当しないプロジェクションマッピングについては可能であるとの記載もあることから、道路をまたいでの投影についても可能としていくための条件整理を行うよう要望いたします。
プロジェクションマッピングに関して、国のガイドライン策定を受けた今後の取り組みについて伺います。
280◯久保田都市づくり政策部長 プロジェクションマッピングにつきましては、平成三十年三月、国が投影広告物条例ガイドラインを策定してございます。
国は、このガイドラインは屋外広告物条例の改正等を行う場合の参考であり、具体的には、地方公共団体が景観への影響等も考慮の上、地域の実情に応じて定めるべきとしており、都は年度当初より、景観及び周辺環境への配慮など、課題整理等を進めてまいりました。
今後、広告物審議会の意見も聞きながら、道路等をまたぐ場合を含め、屋外広告物条例における投影広告物の取り扱いについて、都として検討してまいります。
281◯滝田委員 道路等をまたぐ場合を含めて、投影広告物の取り扱いについて検討を進めるとの方針を伺いました。
東京都の場合は、地域によって求められるものが大きく異なりますので、特ににぎわいづくりにふさわしい地域においては、事業主体が取り組みやすい、柔軟で簡便な運用が行えるよう検討していただくように要望いたします。
景観や環境への適切な配慮の一方で、国際競争の中で首都東京の魅力を高める攻めの施策として位置づけていただきたいと思います。
続いて、屋外広告物規制において、屋外壁面における看板やデジタルサイネージの広告表示面積や高さなどの制限の内容並びに民間からの提案を取り入れ、規制を緩和する手法について伺います。
282◯久保田都市づくり政策部長 屋外広告物条例では、許可を受けることにより、屋外広告物を掲出できる許可区域等を定めるとともに、当該区域における広告物の面積、高さ等の規格を設定してございます。
例えば商業地域におきましては、表示面積は百平方メートル以下であること、広告物を表示し、または設置する壁面における各広告物等の表示面積の合計は、当該壁面面積の十分の三以下であること、広告物の高さについては五十二メートル以下であることとしてございます。
また、スポーツ振興など公益目的に資する屋外広告物につきましては、面積等の基準を超えるものについても、地元区市町からの依頼に基づき、広告物審議会の審議を経て、特例許可により掲出を認めております。
さらに、企業名等の営利内容を含む広告物であっても、その広告料収入を東京二〇二〇大会に向けた体験イベントなど、公益的な取り組みに充当する活動では、禁止区域での掲出を認めるなど、屋外広告物条例の柔軟な運用を図ってございます。
283◯滝田委員 プロジェクションマッピングのような投影広告物ではなく、通常の看板やデジタルサイネージについての考えを伺いました。
海外の事例なども鑑みて、民間のアイデアや活力を生かせるよう、都としてもニーズを把握しながら、特例許可の柔軟な運用を重ねてお願いいたします。
最後のテーマとして、技術革新に関する調査について伺います。
本年第一回定例会の一般質問においても質問いたしましたが、自動運転車時代の都市づくりについて、都で行っている調査検討について、簡潔に状況を伺います。
284◯森交通政策担当部長 都は、自動運転が都市に与える影響や効果を把握し、今後の都市づくりに生かしていくため、昨年度から調査検討を開始し、基礎調査として、自動運転技術の動向、都民へのアンケートのほか、道路空間に及ぼす影響などの調査をいたしました。
今年度は、有識者や民間事業者等に対してヒアリングを行うほか、国等と連携した実証実験により、都内における自動運転技術の導入可能性について検討を行います。
加えて、自動運転技術が道路交通や道路空間に与える影響や効果などの詳細調査を行い、東京の地域特性に応じた活用のあり方について検討を深めてまいります。
285◯滝田委員 当該調査は、自動運転車が都市構造に及ぼす影響に関して、都がほかに先んじて調査研究をしているものであり、そのような挑戦に取り組んでいることを高く評価しています。
一方、都市間競争の相手となる主要海外都市では、自動運転だけではなく、さまざまな新しい取り組みが行われています。
シンガポールでは、国土全土を3D化するプロジェクトが既に進行しています。サンフランシスコなどでは、パーソナルモビリティーとして、乗り捨て自由の電動キックボードが市民の足として既に定着しています。
AI、ビッグデータ、新しいモビリティーの誕生など、新技術がかつてないスピードで革新し、都市づくりの前提が大きく変わりつつあります。
そのような中で、都市整備局は今後どのようにして技術革新を捉えて、まちづくりを行っていくのか、見解を伺います。
286◯久保田都市づくり政策部長 都市づくりのグランドデザインの目標年次でございます二〇四〇年代には、人工知能、AI、自動運転、環境技術などが普及、浸透し、社会を支えていくことが見込まれ、これらを都市づくりの中で積極的かつ柔軟に受け入れていくことが重要でございます。
このため、進展するIoT、ICTなどの情報技術の活用とあわせ、蓄積されたさまざまなデータをオープンに使うことで、都市活動の利便性や安全性が飛躍的に向上した情報都市空間の実現を目指してまいります。
具体的にはビッグデータを活用して渋滞をなくし、自動運転技術を活用して、あらゆる自動車交通の定時性、速達性、安全性を高めてまいります。
また、ICTを活用して都市インフラの管理や災害時の対応を的確に行います。
さらに、省エネルギービルの普及や街区単位でのエネルギーの面的利用を促進してまいります。
こうした先端技術を駆使した取り組みを進め、東京を高度に成熟した都市として、持続的に発展させてまいります。
287◯滝田委員 技術革新は、かつてない速さで進み、先が見えない面もあります。しかしながら、国際競争力を高め、世界をリードする都市となるためには、この技術革新を取り込むことが不可欠であります。
一方で、行政の中だけでこの変化を捉えて対応していくことはできるでしょうか。最先端の技術革新を取り込むためには、都民や民間の議論を喚起し、巻き込みながら、ともに都市づくりをしていくことが不可欠ではないでしょうか。
さきの質問で伺った自動運転時代の都市づくりについての調査のように、既存の延長にないものについても調査研究を進めるべきであります。
また、新技術や新しいコンセプトをつくっていくようなものに関しては、都民や民間を巻き込んでいくために、随時、調査研究情報の公表や共有をしていくよう今後検討いただきたいと思います。
特に既に実施をしていて、来年度以降も予算が計上されるであろう自動運転に関する調査については、その適切性を評価するためにも、中間報告の公開などを要望いたします。
最後に、ホームページ上での資料公開については、閲覧性の向上など、随時進めていただきたいと思います。重要な計画の中に一括でダウンロードができないものや、テキスト検索ができないものなどもいまだにあります。昨今の情報公開では基本でありますので、早急に改善を願います。
以上、多様な質問となりましたが、私からの質問を終わります。ありがとうございました