平成30年都市整備委員会 2018-09-14

◯滝田委員 私からは、東京都住宅供給公社の家賃値下げに関する請願に関して質問をいたします。
 まず、公共住宅のうち、住宅供給公社による一般賃貸住宅の役割についてお伺いをいたします。

20◯佐々木住宅政策推進部長 東京都住宅供給公社は、地方住宅供給公社法に基づきまして、公共住宅の供給主体として、これまで時代の要請に応じまして、市場に任せていたのでは十分に供給されない住宅の整備を中心に公的な役割を果たしてまいりました。
 公社の一般賃貸住宅は、基本的に中堅所得者向けの良質な賃貸住宅として供給をされているところでございます。

21◯滝田委員 住宅セーフティーネットの役割を果たしている都営住宅などとは異なり、中堅所得者向けの良質な賃貸住宅として供給されているとのご説明をいただきました。
 そのように考えると、周辺の民間賃貸住宅との対比で、家賃水準などが公平で、かつ妥当に設定されているかどうかという点が重要になるかと思います。説明していただきました役割に鑑みまして、民間賃貸住宅と比較をした家賃水準の設定について、考え方をお伺いいたします。

22◯佐々木住宅政策推進部長 公社賃貸住宅の家賃設定の考え方につきましては、地方住宅供給公社法施行規則第十六条に基づきまして、近傍同種の住宅の家賃を基準として決定することとされております。
 具体的には、募集家賃については、近傍同種の住宅の家賃と均衡を失しないようにすること。また、継続家賃については、近傍同種の家賃、変更前の家賃、経済事情の変動等を総合的に勘案して定めるものとしてございます。

23◯滝田委員 法の施行規則に基づきまして、平成十六年に家賃改定の方針を定めていると理解しておりますけれども、家賃改定の実施について、具体的な方法や基準についてお伺いをいたします。

24◯佐々木住宅政策推進部長 公社では、平成十六年に公社一般賃貸住宅の募集家賃の設定及び継続家賃の改定に係る実施方針を定めまして、これに基づいて家賃を改定してございます。
 具体的な家賃設定の方法でございますが、近傍同種家賃の把握のため、毎年度、住宅ごとの市場家賃調査を不動産鑑定士に委託をしてございます。近傍同種家賃の算出の際には、駅からの距離のほか、居住環境等や利便施設の有無などの地域要因、建物の築年数や構造、設備などの建物要因及び部屋の方角や角部屋などの住戸要因、これらを数値化いたしまして比較、補正を行ってございます。
 この近傍同種家賃をもとに、空き家の状況、住宅の状況を勘案しまして募集家賃を設定しますとともに、継続家賃につきましては、近傍同種家賃、変更前の家賃、経済事情の変動等を総合的に緩和して定めてございます。
 継続家賃を引き上げる場合におきましても、激変緩和措置を講じ、引き上げ幅を募集家賃と現行継続家賃の差額の二分の一に抑制し、かつ上限を五千円としてございます。また、高齢低所得者世帯や生活保護世帯など経済的困窮者となった場合には、家賃特別減額を実施しているところでございます。

25◯滝田委員 家賃改定については、建物の経年についても考慮されているとの答弁であったと思います。第三者である不動産鑑定士のもとで改定額を評価、算出しているものと思いますけれども、実際の改定動向についても確認をしたいと思います。
 ついては、ここ数年の公社一般賃貸住宅の継続家賃改定の状況をお伺いいたします。

26◯佐々木住宅政策推進部長 ここ五年間で見てみますと、公社一般賃貸住宅の継続家賃の平均改定率は、平成二十五年度は〇・三%の増でございましたが、それ以降、四年連続のマイナス改定となってございます。直近の平成二十九年度の改定では、戸当たり平均で七万七千四百一円から七万七千円ちょうどとなりまして、マイナス四百一円、平均改定率はマイナス〇・五%となってございます。
 また、改定の対象戸数八千百二十五戸のうち、引き上げは七百九十一戸、引き下げは二千七百九十三戸、据え置きが四千五百四十一戸となってございます。
 なお、継続家賃の改定は、家賃が上昇する場合もあることから、居住の安定に配慮し、三年ごとに改定をすることとしてございます。
 募集家賃は毎年の設定、継続家賃は三年ごとの改定であるため、家賃が下落いたしました場合には、一時的に継続家賃が募集家賃を上回るケースもございますが、継続家賃の改定の際に解消されてまいります。

27◯滝田委員 ご説明ありがとうございます。継続家賃については三年ごとの改定でありますので、毎年改定される新規家賃との間では、タイムラグがあるとのご説明でありました。
 継続家賃の改定時には、基本的には差異が出ないようにしていくと理解をしております。この点については、長く住んでいる方々の不公平感につながらないように、しっかりと十分な配慮に努めていただきたいと思います。
 また、近年の住宅市況は全般的に堅調なものでありますけれども、建物の経年が評価されて、おおむね家賃額の引き下げが行われてきたものと思われます。平成十六年に継続家賃の改定方針を定めてから、しばらくは近傍家賃との差を調整していくとの観点で家賃上昇もあったと理解をしております。既に調整局面は終わっておりまして、今後の家賃変動は市況変動に連動していくものと考えております。
 一方で、実際に居住している方々は年々高齢となってきております。今後も家賃の負担力については、厳しくなっていくということも間違いはありません。ルールにのっとりつつも、現実的な配慮を引き続きお願いを申し上げます。
 続いて、施設の老朽化に対する要望に関して、これまでの公社の対応について経緯を伺います。

28◯佐々木住宅政策推進部長 公社では、標準的な経過年数を踏まえ、外壁塗装や屋上防水などの計画修繕を実施してございます。住戸内の修繕につきましては、標準的な耐用年数を定め、計画的な修繕を行うとともに、その他の個別の修繕につきましても、公社と居住者との費用負担区分を定めた上で、必要な修繕を実施してございます。
 また、これまで要望の強かった浴槽、給湯設備の更新につきましては、平成二十八年度から、居住者が設置した設備でも、希望すれば、公社において段階的に対象を拡大しながら実施をしてございまして、本年六月からは全世帯を対象としてございます。
 公社では、引き続き計画修繕等を着実に実施し、賃貸住宅ストックを適切に維持管理していくこととしてございます。

29◯滝田委員 ご説明いただきましたとおり、ことし六月からは全世帯を対象に浴槽、給湯設備を公社負担で更新する取り組みとなっております。入居者の希望に合わせまして、着実に推進していただくようにお願いをいたします。
 一方で、居住者の高齢化と施設の老朽化はますます進んでいく懸念があります。居住者の高齢化と施設の老朽化に対して、課題の認識と今後の方針をお伺いいたします。

30◯佐々木住宅政策推進部長 公社では、居住者の高齢化に対応し、既存住宅のバリアフリー化などの取り組みに加え、地域コミュニティの活性化を図るため、子育て世帯や学生など若い世代の入居を促進し、公社住宅団地における多世代共生の実現を目指しております。
 また、施設につきましては、安全・安心な住環境を維持していくため、平成二十六年に改定いたしました公社一般賃貸住宅の再編整備方針などに基づきまして、更新時期を迎えている住宅につきまして、建てかえを中心とした再編整備を進めるとともに、その他の既存ストックについては、耐震化や計画修繕を着実に実施してございます。
 公社としては、今後とも、公社賃貸住宅を適切に維持管理することによりまして、安全・安心で快適な住まいを提供し、公的住宅事業者として社会的な使命と責任を果たしていくこととしてございます。

31◯滝田委員 最後に意見を述べさせていただきますけれども、各団地の自治会と定期的に意見交換を行っていると伺っておりますけれども、実際に長く住まわれている方々が多数おりまして、皆様が安心して住まい続けていただくために、引き続き居住者との対話を丁寧に続けていただきたいと思います。
 一方で、民間の住宅供給が十分にある今日においては、公社住宅制度の成り立ち時点とは環境が大きく変わっていることはいうまでもありません。ご説明をいただいた課題への対応を進めると同時に、民間でできることはないか、公社住宅事業の役割やあり方についてはどう考えるか、常に厳しく問い続けて、事業を磨き続ける必要があると考えています。
 以上をもちまして、私からの質問を終わります

平成30年都市整備委員会 2018-09-14
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