平成30年都市整備委員会 2018-06-21②

◯滝田委員 私から、築地再開発検討会議の報告案件について質問をいたします。
 五月二十一日の築地再開発検討会議にて、築地まちづくりの大きな視点が示されました。段階的な整備、公益的な価値の最大化、交通結節点の戦略的形成など、大きな方向性が提言され、検討会議は役目を終えました。
 先日、当都市整備委員会の委員にて築地の現地視察をいたしましたけれども、私も含めて、所管する委員として、改めて築地市場の二十三ヘクタールという敷地の広さ、規模感を感じたところであります。
 銀座からも徒歩圏のこの貴重な土地、開発地で閉じて考えるのではなくて、東京の広域的、長期的な価値を高めるための工夫として、これらの提言を評価いたします。
 提言を受けて、今後は行政としてのまちづくり方針をどのように策定していくのかが焦点となります。
 一昨日、私たちの会派の代表質問でも、このまちづくり方針を策定していくためのロードマップを確認させていただきました。代表質問の答弁にて、庁内横断的な検討体制に関しまして言及がありましたけれども、具体的な構成なども含めて説明を伺います。

47◯木村まちづくり調整担当部長 築地再開発検討会議により取りまとめられた大きな視点については、長期的時間軸に立った築地再開発の今後の検討と実施の枠組みとして、築地再開発に当たっての基本的な方向性や考え方が提言されたものでございます。
 提言には、例えば舟運ネットワークの形成や環状第二号線の整備、歩行者ネットワークの形成など、複数局にかかわる内容があることなどから、今後、行政としてのまちづくり方針を検討していくため、都市整備局長を会長とし、政策企画局、財務局、建設局、港湾局などの部長級をメンバーとする庁内検討会を立ち上げたところであり、事務局は都市整備局が担ってございます。必要に応じまして、環境局や中央卸売市場など他の局についても協力を依頼いたします。
 今後、学識経験者も交えた会議も立ち上げまして、区のまちづくりとの調整も行いながら検討を進め、年明けには方針の素案について広く都民の声を聞いた上で、年度内に方針を取りまとめていく予定でございます。

48◯滝田委員 築地の跡地再開発の規模感は、市場移転の問題でおさまる開発でも、敷地内でおさまる開発でもありません。二〇二〇大会後の東京を牽引する重要なエリアとして、また都心部と臨海部をつなぐエリアとして、東京の未来をつくっていく開発になります。
 ご説明いただきました検討会を中心に、部局間の連携をしっかりと行い、そのポテンシャルの最大化に努めていただきたいと思います。
 最初に述べましたとおり、開発地で閉じて考えるのではなく、東京の将来像を見据えた時間軸と立地特性を踏まえた広域的な観点で方針を定めていく必要があるかと思います。
 大きな視点にも記載のある築地と銀座や豊洲など周辺地域とのつながりは重要であります。周辺とのつながりについて、大きな視点ではどのように提言されているのか、お伺いいたします。

49◯木村まちづくり調整担当部長 大きな視点では、周辺との有機的つながりの強化といたしまして、より価値を高めるため、周辺のさまざまな資源とのつながりを重視すべきとの提言をいただいております。
 具体的には、浜離宮恩賜庭園や築地本願寺、竹芝地区の再開発や銀座など、周辺の特徴ある地域を結びつけ、連携を強化することができるよう、楽しく周遊できる歩行者のネットワークなど形成していくべきとしております。
 また、広域交通ネットワークなども考慮した、より広い地域との連携も考えるべきであり、時間をかけて展開が進む個別開発とも有機的つながりを図りながら、相乗効果を生み出していくことが重要であるとしております。
 特に、東側には晴海、豊洲など臨海部が広がっており、環状第二号線などが整備されることにより、交通ネットワークが強化され、一体性が高まっていく。中でも築地と豊洲が双方に生かし合えるような開発を進めることが必要であるとしております。

50◯滝田委員 築地再開発と晴海、豊洲を含む臨海部との一体性、双方を生かし合うことをぜひまちづくり方針の中でも掘り下げていただきたいと思います。
 そのためには、交通ネットワークだけではなくて、空間的にも機能的にもさまざまな観点から一体性やあり方を整理すべきと考えます。
 次の論点に移ります。
 大きな視点の中でも、交通結節点を戦略的に形成するべきとあるのは、非常に重要な観点であると考えます。
 長期的にエリアの価値を上げていく上で交通網を整備する意味は大きい。特に銀座や大・丸・有地区からの築地へのアクセス、鉄道網の薄い晴海、豊洲、臨海部への動脈を通すこと、さらには羽田も視野に入れた鉄道のあり方は、築地再開発のまちづくり方針作成と一体的に検討していくべきと考えます。
 築地付近を通る構想路線としては、国の交通政策審議会答申にある都心部・臨海地域地下鉄構想が考えられます。当該構想の具体化に向けた考えを伺います。

51◯荒井都市基盤部長 築地まちづくりの大きな視点では、交通結節点の形成に関連いたしまして、都心と臨海副都心とのアクセス利便性向上のため、都心部・臨海地域地下鉄構想が挙げられております。この路線は、臨海地域と銀座、東京など都心部を結ぶことで、臨海地域の拠点機能を一層強化するとともに、ネットワークの面からも東京全体の公共交通のさらなる利便性向上に寄与することが見込まれております。
 一方、交通政策審議会答申では、この路線は事業性に課題があり、検討熟度が低く、関係者間において事業主体も含めた事業計画について十分な検討が必要とされております。今後は答申を踏まえるとともに、臨海地域等における開発動向などを勘案しながら、構想をより具体化するために関係者間で連携して取り組んでまいります。

52◯滝田委員 国の答申においては、当該路線は臨海地域と銀座、東京等の都心部を結ぶとの記載となっており、築地は明確には位置づけられておりません。おととしの答申の段階では、築地再開発は特別に考慮されていたわけではないのだろうと思います。
 一方、本日は一歩踏み込んで答弁をいただきましたと思います。築地再開発を見据えて、事業性や整備効果など、関係者と検討を深めていただきたいと思います。
 今年度は六路線の事業化に向けた検討体制が整ったところでありますが、築地再開発の重要性に鑑み、当該路線の調査を深めていただくことを強く要望いたします。
 築地再開発に加え、晴海、豊洲、臨海部に至るエリアにおいては、市場整備やオリンピック・パラリンピック関係でも多くの開発プロジェクトが進んでおります。官民の多額の投資に見合う東京の魅力づくりにつなげていただきたい。さまざまな新しい都市づくりのコンセプトを実現するエリアとして位置づけていただきたいと思います。
 例えば、これまでなかなか進んでこなかった、東京の水辺を人の手に取り戻すということについても、本腰を入れて取り組むべきと考えます。大きな視点には、舟運、水辺活用の言及がありますが、観光利用にとどまらず、通勤や日々の足として使える舟運を目指すべきではないでしょうか。先日の都市整備委員会での現地視察の際にも藤井委員が発言されていた観点でもあります。
 私は先般、ニューヨークに視察に訪れましたけれども、商業の中心、マンハッタンのウォールストリートから対岸のブルックリン地区まで、船で簡単に行き来することができます。昨年五月にニューヨーク市が始めたフェリーサービスですけれども、片道二・七五ドル、約三百円になりますけれども、対岸まで約五分、十分から二十分間隔で運航しています。
 地下鉄のない不便地域の足にもなるということで、料金や運航間隔が設定をされています。とても便利で、舟運は日常使いができるということを再確認いたしました。
 今回、大きな視点にあります舟運ネットワークを形成する上で、舟運活性化を推進する取り組みは重要であると考えております。鉄道やバスなどの陸上交通との接点をどのように構成するか、これまでの東京にない新しい挑戦となりますが、課題について伺います。

53◯木村まちづくり調整担当部長 築地まちづくりの大きな視点では、立地条件を最大限活用すべきであると提言されてございます。築地地区に計画されている防災船着き場を、地域のにぎわいを創出し、舟運ネットワークのかなめとなるよう整備、運用すべきであると提示されてございます。また、海、川、陸のルートが交差する要所にあり、舟運、道路、バス、地下鉄などの広域性の高い交通インフラから成る交通結節点を戦略的に形成するべきであると提言されてございます。
 なお、舟運活性化の取り組みにつきましては、これまで運航に関する社会実験などを実施しておりまして、引き続き舟運の利便性、認知度の向上を図る検討など、舟運が身近な観光、交通手段として定着するよう取り組むこととなってございます。

54◯滝田委員 舟運を進める上で、航路や築地以外の船着き場をどのように整えていくのか、舟運のネットワークの検討に加えて、また、舟運とほかの交通をどのように結節させていくかということは、重要な検討課題と理解をしています。
 これまでの都市づくりにおいては、水辺は利用されず、まちの裏側となってしまっておりました。これを転換して、生活の中に水辺空間のある東京を形成する、東京の水辺を人の手に取り戻す、そのような大きな転換を、この築地再開発を一つの契機に進めていただきますよう要望いたします。
 最後に、土壌汚染、埋文に関しまして、前回三月の委員会においても、私たちの会派の森澤都議が質問しておりますけれども、改めて築地地区の土壌、埋文調査に関しまして、昨年度都市整備局が実施をした委託調査の検討内容と今後の取り組みについて、お伺いいたします。

55◯木村まちづくり調整担当部長 昨年度は、既存施設が活用中であることも踏まえまして、中央卸売市場などが過年度に実施した土壌調査や埋蔵文化財調査などの資料収集などを行うとともに、検討会議の検討状況も見ながら、検討会議で示されました段階的整備の考え方を念頭に、一般的な土壌汚染調査、埋蔵文化財調査や対策などを含めまして、一連の手続の流れを整理いたしました。
 今後、大きな視点での提言を踏まえまして、東京二〇二〇大会までの状況なども勘案しながら、再開発の具体化に向けまして、調査スケジュールの整理や民間事業者の役割分担などを検討するとともに、関係局協議を進めてまいります。

56◯滝田委員 ご説明ありがとうございました。再開発に至るまでのスケジュールには引き続き細心のご留意をいただきながら、一つ一つ課題をクリアしていただくようお願いを申し上げます。
 また、最後に、私からの意見となります。
 本日の質疑の中でも触れておりますけれども、築地の再開発そのものは、東京の未来に向けての明るい話であります。地元や関係者の皆様への配慮、スケジュールへの留意等ありますけれども、ぜひとも前向きな話となるよう、小さくまとめずに、東京の未来図を体現する場として考えていただきますよう再度お願いをいたします。
 二十年後、三十年後によいまちづくりができたというふうにいってもらえるように、当委員会でも引き続き検討を深めていければと思います。
 以上、意見を申し上げまして、私からの質問を終わります

平成30年都市整備委員会 2018-06-21②
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