◯滝田委員 私からは、地元市の案件であります、八王子市鑓水の都有地土地売却に関しまして質問をいたします。
けさも現地に立ち寄りをしてまいりましたけれども、当該土地は多摩ニュータウンの中でも最西部に当たり、リニア新幹線の停車駅と予定されている橋本駅から約二キロ、徒歩ではやや距離がありますけれども、二十分から三十分の位置にあります。
十二ヘクタールの広大な土地、開発影響は大きいものですので、周囲の閑静な住宅街や大学などとの調和に努めなければなりません。地元八王子市にとり、良好な住宅街を形成しているニュータウンの一角として、地域生活に資する機能が求められております。同時に、八王子バイパス至近の事業適地としても機能発揮が求められています。
こうした立地特性から、まちづくり観点での地元要望の強い地域となります。ついては、今後事業が適切に実施をされ、地元との連携がしっかりとなされることを期待する中で、一者応募となった経緯、また今回ニュータウンでの都市整備局の土地売却として初めて定期借地を利用したスキームでの開発となることなどの観点から、幾つかの確認を行いたいと思います。
最初に、多摩ニュータウン事業における土地の販売の基本的な考え方を伺います。
9◯松崎多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウンは、住む、働き、学ぶ、憩うという機能を備えたまちを形成していくことを基本としており、このため、住宅、業務、商業、教育、文化等の諸施設を計画的に誘致し、立地していくことが重要であると認識しておりまして、バランスのとれたまちづくりを進めることを目指してまいりました。
都は、土地の販売を通じて、地域にふさわしい機能の施設の誘致を図り、居住している方たちがより快適な生活を享受できるよう努めてございます。
今後とも地元市とも連携しながら、多摩ニュータウンのまちづくりを進めてまいります。
10◯滝田委員 続けてお伺いいたします。今回の事業予定者はどのような手続を経て決まったのか、お伺いをいたします。
11◯松崎多摩ニュータウン事業担当部長 本事業用地の売り払いにつきましては、昨年七月に公募を開始し、八月には現地説明会を実施して、十一者が参加、十月には日本商業開発株式会社一者から応募がございました。
これを受け、多摩ニュータウン事業用地等処分要綱に基づきまして、事業予定者を選定するために、都市計画、建築に関する学識経験者、公認会計士、八王子市職員の外部委員及び都職員を委員とする多摩ニュータウン事業用地管理処分委員会を、昨年十一月と本年一月の二回開催し、審議を行いました。
この委員会において、多摩ニュータウン事業用地商業業務施設用地事業予定者選定審査基準に基づきまして、資力、信用、事業計画の内容、購入希望価格の各事項について審査を行い、日本商業開発株式会社を事業予定者として選定いたしました。
これを受け、都は本年二月九日、同者を事業予定者として決定し、公表するとともに、平成三十年東京都議会第二回定例会において議案が可決された後、土地売買契約を締結する旨の仮契約を三月一日に締結してございます。
12◯滝田委員 応募が一者にとどまったということで、比較となる選択肢がありませんので、その点では残念であります。しかしながら、先ほどもご説明にありましたけれども、応募のあった事業者の事業計画については、学識経験者と地元市も入った事業用地管理処分委員会にて審議されたものと経緯を理解いたしました。
次に、選定された事業予定者から提出されている事業計画はどのような内容であるのか、具体的にお伺いいたします。
13◯松崎多摩ニュータウン事業担当部長 事業計画では、物流施設と商業施設の建設及び運営が予定されてございます。物流施設については、企業活動を支え、地域経済の発展に寄与することで、多摩地域のイノベーション創出への貢献を目指し、商業施設については、地域住民の利便性向上に向け、取り組みを進めるとしてございます。
また、施設配置につきましては、既存住宅地との敷地境界に沿って緑地帯を確保したり、敷地内に自動車待機スペースを設置するなど、周辺環境や道路交通に配慮した内容となってございます。
さらに、地元地域への貢献として、コミュニティ広場の設置、スポーツ施設の併設、ハイパーレスキュー隊や多摩美術大学と連携した催し等の取り組みも予定してございます。
14◯滝田委員 ご説明いただきました事業計画は、募集要件を満たした計画であるものと理解をしておりますけれども、売り払いに際して地元の意見はどのように反映しているのか、お伺いをいたします。
15◯松崎多摩ニュータウン事業担当部長 本件土地の売り払いに当たっては、平成十七年度に都と八王子市で本件土地の利用に関する検討会を立ち上げ、平成十九年度に業務、商業、住宅の用途を誘導していくという方向性を確認してございます。
この方向性を基本にして公募条件を定め、その詳細について八王子市に意見照会の上、平成二十九年度に募集要項を決定いたしました。
地元住民につきましては、公募に先立ち、八王子市と連携し説明を行ってきており、商業施設へのアクセス通路の確保など、いただいたご意見は募集要項に織り込んでございます。
また、公募後も、応募状況や事業予定者決定などについて情報提供を行ってきており、今後とも市とともに地元の意見の把握にも努めてまいります。
事業者には今後、事業計画や建設工事に関して随時説明会を開催するなど、地元住民に対して丁寧にきめ細かな説明を適切に行うよう、都としても申し入れてまいります。
16◯滝田委員 ご説明ありがとうございます。
今回、土地売却に先立ちまして、都市計画も住居系からの変更を行い、地区計画の策定も行っております。用途変更や地区計画の策定は、地元市の都市計画権限ですので、その際の審議でも地元市の意向が議論されていると理解をしております。
その点も反映された事業が今後展開されていくものと思いますけれども、改めて地元市民の皆様との連携を丁寧に行っていただくよう、事業者への申し入れをお願いいたします。
これまでニュータウンでの都市整備局の土地売却では、売却先の事業者がみずから施設建設まで担うことになっていたと理解をしております。今回初めて定期借地として、事業者が貸付先のテナントを誘致し、テナント側が施設建設を行うというスキームを認めています。
今回の応募条件で、初めて事業用定期借地によって事業者以外の者が建設等を行えるようにした理由はなぜか、お伺いをいたします。
17◯松崎多摩ニュータウン事業担当部長 本件土地は、面積十二ヘクタールであり、民間向けの土地では既に処分済みのものも含め最大となっており、建設する施設の面積や運営規模も大きなものとなります。
このため、土地購入者みずからが建設から運営管理まで全て手がけるのは困難であると受けとめる企業もあるのではないかと考え、当地への事業者の進出を後押しするため、土地購入者みずからが全てを手がける方式に加え、新たな二つの方式を認めることといたしました。
一つは、事業者が複合施設を建設し、事業者以外の者に施設運営を行わせる方式でございます。もう一つは、事業者が事業者以外の者に土地を事業用定期借地等により貸し付けて、施設の建設及び運営を行わせる方式でございます。
これにつきましては、平成二十年の借地借家法の改正により、事業用定期借地の期間が十年以上二十年以下から十年以上五十年未満に変更されたことも踏まえたものでございます。
18◯滝田委員 今回、事業予定者に決定された日本商業開発株式会社は、実際に二者に土地を貸し付け、物流施設と商業施設の建設をそれぞれ任せるとのスキームに基づく企画書で応募し、選定されたと伺っています。
実際に建設や運営を担うことになる当該貸付先二者につきまして、事業予定者選定時には審査をされているのか、お伺いいたします。
19◯松崎多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウン事業用地管理処分委員会においては、多摩ニュータウン事業用地商業業務施設用地事業予定者選定審査基準に基づきまして、応募事業者の資力、信用、事業計画の内容、購入希望価格の各事項について審査を行い、事業予定者を選定いたしました。
定期借地を受ける企業は、都の契約の相手方ではないため、事業予定者選定の時点では審査の対象としてございません。
なお、都が事業予定者と三月一日に締結した仮契約におきましては、本契約締結後、事業者が土地に事業用定期借地権等を設定するときには、あらかじめ都の承認を受ける必要があると規定してございまして、今後、事業者から借地権設定の承認申請が提出された場合には、その時点で審査を行う予定でございます。
20◯滝田委員 地域に長期的に影響のあるまちづくりの観点では、実際の建設、運営を担う主体の長期的な事業遂行能力は重要であります。
一方で、公募要件において、五年間の用途指定について記載がありますけれども、その後の縛りは、要件上はないものと理解をしております。その観点でも、事業者の事業遂行能力の確認は重要となるかと思います。
先ほどのご説明で、当該貸付先の二者については、事業予定者選定時には審査を行っていないとのことでありましたけれども、今後はどのようなプロセスで当該二者につきまして審査が行われるのか、またどのような観点で審査を行う予定なのか、お伺いをいたします。
21◯松崎多摩ニュータウン事業担当部長 都と事業予定者が平成三十年三月一日付で締結した仮契約では、事業者が土地に事業用定期借地権等を設定するときに、あらかじめ都の承認を受ける必要があると規定してございます。
今後、事業者から事業用定期借地権等の設定について申請が提出された場合は、企画提案や施設建設計画等の事業計画を確実に実施することが可能かという観点から、定期借地を受ける企業の財務状況や施設運営能力等について審査し、承認の可否を決定してまいります。
22◯滝田委員 応募要件における予定価格、約四十九億円に対して、今回の事業予定者は七十二億円での応募、仮契約をされています。民間事業者による買い付け希望価格でありますので、事業を回していく責任は当然民間にあるかと思います。
しかしながら、地元への長期的な影響力の大きさに鑑み、事業の実現性、今回は貸付先を含めた事業主体の実行力についての注視が必要だと思います。今回初めてのスキームということですので、適正に審査を行うほか、事業者との丁寧なコミュニケーションをしていくことを改めて要望いたします。
最後に、もう一点確認をいたします。募集要項には、施設の建設に関し、やむを得ない理由により計画に変更が生じた場合には、都の承認を得るとありますけれども、どのような変更が許容されるのか、イメージを持ちたいと思います。
過去、計画変更を認めた事例ではどのような変更内容であったのか、お伺いをいたします。
23◯松崎多摩ニュータウン事業担当部長 本件土地の事業予定者は、応募時の事業計画に基づき、複合施設を建築することになりますが、この事業計画について、やむを得ない事情がある場合には、都の承認のもと、変更を認めることとしてございます。
これまで、変更後の計画の評価が応募時の計画の評価を大幅に下回ることのないケースにおいては、変更を承認してまいりました。
多摩ニュータウン宅地販売で過去に建築の計画変更を承認した事例といたしましては、どの住宅からの雨水をどの雨水管に流し込むかという雨水の排水計画につきまして、詳細設計を行った結果、特定のエリアの雨水流量が過大だと判明したため、戸建て住宅の配置を一部変更する必要が生じ、承認したという例がございます。
また、事業者が歩行者専用道路を整備して、市に移管する計画におきまして、当初は植栽ますの設置を予定していましたが、市との協議により、歩行者の安全確保のために、植栽ますの設置は行わないという変更について承認したという事例もございます。
24◯滝田委員 ありがとうございます。
私としては、地元市民や地元市のまちづくりに資する事業が民間事業者の工夫と発想によって高度に実現することを純粋に望んでおります。募集段階での公平な競争環境が保たれていることに加えて、事業実施に当たっては、都、地元市、事業者、地元関係者のそれぞれの協力姿勢が不可欠です。
本件土地は約十二ヘクタールと、多摩ニュータウンの宅地の中でも非常に大規模であり、ニュータウンのまちづくりに与える影響は極めて大きいものであります。また、施設建設により生じる周辺環境や周辺道路交通への影響に対しても、十分な対策が必要となるものであります。
こうした観点から、都として、事業予定者に対して地元市や関係者に対する十分な説明をすること、地元意見への適切な配慮を促すように努め、本件土地の売り払いの後も多摩ニュータウンの発展と魅力向上につなげていただくよう要望いたします。
以上の意見をもちまして、私からの質問を終わります。ありがとうございます