平成30年都市整備委員会 2018-03-19(都市整備局・予算)

◯滝田委員 私からは、予算案に関連しまして、四つのテーマについて質問をいたします。一点目は都市づくりのグランドデザインの実現について、二点目は緑の確保について、三点目は鉄道ネットワークの整備について、そして四点目は鉄道駅のバリアフリー化について、順にお伺いをいたします。本日は長時間の審議ですので、少し早口で進めていきます。
 まず一つ目のテーマ、都市づくりのグランドデザインの実現に関連して、五点伺います。
 昨年九月に策定されました都市づくりのグランドデザインは、挑戦的なアイデアや将来都市イメージが多数含まれた意欲的な内容であるとの評価をしております。
 来年度は、このグランドデザインに基づいて具体的なまちづくりをどう展開していくのか、具体策を動かしていく最初の年、大事な第一歩を踏み出す年になります。特に、グランドデザインで掲げている課題の多くが部局をまたがる横断的なものであり、プロジェクトの推進体制が重要な鍵を握ると考えています。
 十一月の都市整備委員会事務事業質疑の際には、プロジェクト型の都市づくりによって分野横断的に問題解決をしていくとご答弁をいただきました。組織経営において、プロジェクトとして部局内の従来の仕事や評価と異なる軸ができることは、行政に限らず、民間企業においても、一般に難易度の高い事柄であります。工夫が必要となります。
 一方、パイロットプロジェクトとして示されている、水辺に顔を向けたまちづくりや、緑、都市農地の保全活用など、それぞれ来年度に向けて、推進体制の検討も含めて、庁内で具体的な動きが進んでいると理解をしております。
 そこで伺います。分野横断的な考えに基づいて、部局をまたいだ関係者で連携して取り組みを進めることが重要と考えますが、来年度、どのような体制でパイロットプロジェクトを進めていくのか、具体的な体制の例を伺います。

272◯五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市づくりのグランドデザインにおきましては、分野を横断する課題について、特に重点的に進めるべきテーマをパイロットプロジェクトとして掲げ、部局をまたいだ関係者で連携して取り組むこととしております。テーマごとに、施策の組み合わせ方や課題への対応策が異なるため、それぞれのテーマに応じた体制を整え、取り組みを進めてまいります。
 例えば、テーマの一つである、水辺に顔を向けたまちづくりにおきましては、河川や運河などを生かした魅力ある都市空間を創出するため、水辺や建築敷地との一体利用による質の高い公開空地の誘導や、船着き場の整備による船旅が楽しめる舟運ネットワークの形成など、さまざまな施策に関係者が連携する体制を構築し、一体的に取り組んでまいります。
 具体的には、水辺への公開空地の確保を誘導する都市開発諸制度の改定や、河川敷地や水域の占用に係る規制緩和などの検討を、民間開発の誘導などを担う都市整備局と、河川や港湾、運河の管理者である建設局や港湾局とが連携し、必要な体制を整えて進めてまいります。

273◯滝田委員 ただいまご答弁いただきましたように、局をまたぐ連携体制を構築していくわけです。プロジェクトのオーナーシップを誰が握るのか、つまり責任の所在をしっかりと定めること。また、プロジェクトメンバーの所属部署がしっかりとサポートを行って、業務管理や評価においても配慮することなど、しっかりと対応をお願いいたします。
 次に、具体的なプロジェクトの一つとして、都市計画区域マスタープランの改定があり、来年度予算には一千万円が計上されています。長期の都市像を描いたグランドデザインは、法定計画ではありませんので、都市計画上に落とし込むことは大切な段階と理解をしております。
 繰り返しとなりますが、グランドデザインの内容は、挑戦的あるいは野心的であります。中でも、記載のある集約型地域構造への再編は、コンセプトは単純なのですが、日本の都市計画が長年実現できなかった、相当に難易度の高い挑戦になります。
 東京から変えていくという気概で、グランドデザインに込めた思いや志を区市町村と共有していただきたいと思います。そして、広域的見地から、必要な規律は緩めずに、区市町村とのコンセンサスを形成していただきたいと期待をしています。
 質問に入りますが、都市計画区域マスタープランの改定に当たり、グランドデザインの内容について、具体的な地域への落とし込みを図らなければなりません。区市町村との調整をどのように進めていくのか、お伺いします。

274◯五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 都市計画区域マスタープランは、都市計画法に基づいて都が定める法定計画でございます。グランドデザインで考え方を示した中核的な拠点や地域の拠点について、具体的に拠点を位置づけ、土地利用や都市施設の整備等の主要な都市計画の決定の方針などを定める改定を行います。
 改定に当たりましては、それらの内容を区市町村に提示し、意見交換を行い、調整を図ってまいります。特に、個別の拠点や地域の将来像につきましては、区市町村がまちづくりを進める主体となることから、東京全体の都市づくりとの整合性を勘案しながら、綿密に調整してまいります。

275◯滝田委員 これから各区市町村との考え方など、さまざまな意見が出てくると思いますが、ご答弁の意気込みを応援いたしますので、ぜひ志の高いものの策定をお願いいたします。
 グランドデザインの記載を引用しますが、人口減少社会においても、生活を支えるさまざまな都市機能や居住機能を、大小さまざまな拠点に再編集約し、地域特性に応じた集約型の地域構造を構築していくことを、都としても今後目指していくとあります。
 一方で、平成二十六年に都市再生特別措置法が改正され、立地適正化計画の策定が制度化されました。集約型の地域構造への再編には、区市町村における取り組みが重要、そして、取り組みを推進する上では、立地適正化計画を活用することは有効と考えられます。
 東京の区市町村では、集約型の都市を目指すことに対して、地方都市と比べるとまだ意識が薄いと感じます。しかしながら、東京全体でも、二〇二五年には人口減少が始まるといわれています。多摩地域では既にピークに達し、人口減少が始まる局面にあります。喫緊の課題となりつつあります。
 そのような中、都は、集約型の地域構造への再編に向け、立地適正化計画等の策定を促進するための指針を作成するとしていますが、どのような指針を作成するのか、お伺いします。また、都内の区市町村における立地適正化計画の策定状況をお伺いします。

276◯五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 グランドデザインでは、少子高齢、人口減少社会の到来を見据え、駅周辺などに生活に必要な機能を集積させ、その徒歩圏に住宅市街地を誘導し、歩いて暮らせるまちへの再構築を図る、集約型の地域構造への再編を掲げました。
 区市町村の行政界を越えて、市街地が連担しているなどの東京ならではの特性を踏まえた上で、区市町村が立地適正化計画を作成するよう誘導していく必要がございます。そのため、広域的な観点から、居住機能や商業、医療、福祉等の都市機能の配置のあり方、バス等の地域の公共交通サービスの提供のあり方などを示した指針を定めます。
 なお、立地適正化計画につきましては、都内では八王子、府中、日野、福生の四市が、策定、公表に向けた取り組みを行っております。この四市とは、東京の特性を踏まえた集約型の地域構造につきまして、意見交換や調整を行っております。
 その他の区市町村におきましても、都が定める指針に即して計画を作成するよう、誘導してまいります。

277◯滝田委員 今、ご答弁を述べていただきましたとおり、都市が連担している東京においては、区市町村の境界を越えた広域的な計画性は必要と考えます。都市計画の分権化と広域調整の両立という、古くて新しい課題に粘り強く取り組んでいただきたいと思います。
 さて、都は、昨年九月に多摩の振興プランを策定しました。知事も、多摩地域の振興の重要性を、就任以来、強調しています。多摩地域の具体的な都市づくりをどのように進め、地域振興を図っていくのか、他局の計画や施策とも連携して推進していただきたいと思います。
 グランドデザインにおいて、多摩をイノベーションの創出できる地域としていくとあります。具体策に落とし込むことが次のステップと理解をしております。
 来年度予算案として、多摩地域の整備に関する基礎調査、千六百万円が計上されていますが、どのような目的で、どのような内容の調査を行うのか、お伺いいたします。

278◯五嶋都市づくりグランドデザイン担当部長 多摩地域の整備に関する基礎調査は、グランドデザインで示しました、多摩においてイノベーションを創出する拠点を形成する取り組みを取りまとめることを目的としております。
 グランドデザインでは、日本と東京の活力を牽引するエンジンの一つとして、多摩イノベーション交流ゾーンを設定いたしました。そのゾーン内では、企業、大学、研究機関やものづくり産業といった既存の集積などを生かして、新たなビジネスチャンスを生み出すこととしております。
 今年度、まず、イノベーション創出の鍵となる産官学連携の活動状況や、参考となる国内外の先進事例などの調査を行いました。
 来年度は、これまでの成果を踏まえ、ベンチャー企業の立地を誘導する施策や、ビジネスマッチングを促進する施策等を検討し、地元市町などの関係者との調整を図ってまいります。

279◯滝田委員 まだ基礎調査段階というようなところもあるかとは思いますけれども、多摩地域選出の議員を代表しまして、できる限り早く具体策を示していっていただきたいと申し述べておきます。
 また、現段階では指摘にとどめますけれども、九〇年代から二〇〇〇年代の産業クラスターなどの以前からの計画に対して、冷静な評価も必要かと思います。
 次に、物流政策に関して質問します。
 昨年九月の委員会で意見を述べましたけれども、物流政策は、平成十八年の総合物流ビジョンに基づいており、策定から十年以上が経過しています。その間に物流環境は大きく変わってきていると認識していますが、今後はさらに、自動運転やAIなどの技術革新にも強く影響を受ける分野であり、民間事業者もさまざま取り組みを図っていると理解をしています。
 来年度予算案には、物流政策に関する調査として四千万円が計上されています。調査に当たり、ヒアリングするべき対象は、不動産事業者だけではなく、むしろ物流事業者や小売流通事業者に対して、環境の変化や将来ニーズを確認していくべきと考えます。
 ついては、来年度予算案の物流政策に関する調査において、どのような課題認識を持っているのか、また調査検討の概要をお伺いいたします。

280◯中島都市基盤部長 都市づくりのグランドデザインでは、物流施策につきまして、高度成長期に建設された物流施設の老朽化への対応や、また駅周辺の商業地等における円滑な荷さばきの実施などの課題に対応するため、老朽化した物流施設の計画的、一体的な機能更新や、まちづくりに合わせました地区物流の効率化などに取り組むこととしております。
 このため、来年度は、これらの施策の具体化に向けまして、お話にありましたような技術革新の動向などを踏まえ、物流関係事業者へのヒアリングも行いながら、臨海部等におけます物流施設や市街地における荷さばき駐車施設の実態などについて調査する予定でございます。
 加えて、熊本地震等の経験を踏まえまして、災害時にも機能する広域的な輸送体制の構築が求められていることから、圏央道、中央道等の沿道におけます民間物流施設の立地や、輸送路の確保に関します調査を実施する予定でございます。

281◯滝田委員 ありがとうございます。グランドデザインにつきましては以上になります。
 今後も、適宜、取り組み状況を伺っていきますので、よろしくお願いいたします。
 次のテーマとしまして、緑の確保について伺います。
 都市づくりのグランドデザインでは、二〇四〇年代までの中長期で、東京の緑を総量としてこれ以上減らさないということを掲げています。
 まずは、政策目標である緑の定義を確認いたします。グランドデザインで述べている、緑を減らさないにおける緑の指標は何か、お伺いをいたします。

282◯久保田都市づくり政策部長 都は、緑の指標として、みどり率を使用してございます。みどり率とは、地域全体に占める緑と水の面積割合でございます。その緑と水は、公園・緑地、農用地、水面・河川・水路、樹林・原野・草地の四つに分類をしてございます。このうち、樹林・原野・草地の中には、街路樹や公共施設の緑、屋敷林に加え、開発によって生み出される公開空地の緑などが含まれます。環境局が五年置きに公表しており、算出に当たりましては、航空写真や土地利用現況調査などのデータをもとにしてございます。

283◯滝田委員 航空写真からマクロで把握している指標と理解をいたしました。
 まず、これまでの状況を確認したいと思います。みどり率の推移について、その概要をお伺いいたします。

284◯久保田都市づくり政策部長 みどり率は、これまで平成十五年、平成二十年、平成二十五年に公表されてございます。島しょ部を除く都内全般では、それぞれ五二・四%、五〇・七%、五〇・五%となっており、十年間で一・九%減少しているところでございます。
 区部では二〇・〇%、一九・六%、一九・八%となっており、十年間で〇・二%減少しており、農地の減少が継続してございます。
 一方、最近の五年間では〇・二%増加して、増加に転じており、都立公園等の拡張や、都心部や臨海部における民間開発によって生み出された公開空地等の緑が寄与しているところでございます。
 多摩部では六九・八%、六七・四%、六七・一%となっており、十年間で二・六%減少し、特に樹林地や農地が減少してございます。

285◯滝田委員 ご説明いただきましたこれまでの推移では、ペースは穏やかとなりましたけれども、減少傾向は変わっておらず、さらなる施策の強化が求められると思います。
 施策の方向としては、緑をふやすか、もしくは緑を残すかの両面を考える必要があります。緑をふやす方の取り組みについては、例えば、壁面緑化などの技術革新が進んでおり、導入実績もふえてきております。
 みどり率は、マクロで緑の量を把握する手段としては効率的ですが、壁面緑化などの緑については捕捉することができません。東京のような都市では、平面的に緑を創出するには限界があります。また、ふだんの生活で目にする、あるいは身近に接することのできる都市的な緑が、都民の生活環境の向上にとって重要です。
 そのため、壁面緑化のように、都心部でも創出できる立体的な緑は、今後ますます重要性を高めると考えています。このような緑を含めた緑の総量を把握することは、難易度が高いとは理解しますけれども、今後の課題として指摘をしておきます。
 一方、緑を残す方の観点では、まず、都市地域以外の緑をしっかりと保全するよう、関係部局と強調して、グリップをきかせる必要があることはいうまでもありません。その上で、都市地域内において、緑の確保をさらに進める必要があります。
 都は従前から、都市計画公園・緑地の整備方針や緑確保の総合的な方針を、区市町と合同で策定し、行政による公園緑地の整備及び民有地における緑の保全や創出の取り組みを推進しています。
 そこで、来年度の予算案で計上されている緑確保の総合的な方針改定に向けた検討について伺っていきます。
 緑確保の総合的な方針は、平成二十二年に、都と区市町が合同で策定し、その後、確保地を追加して現在に至っています。民有地における緑の確保地として、樹林地と農地に着目し、平成三十二年を目標に、保全の諸制度を活用し、確保に取り組んでいると聞いています。
 まず、緑確保の総合的な方針の改定理由及び樹林地と農地ごとに確保地に位置づけた面積とこれまでの実績についてお伺いいたします。

286◯久保田都市づくり政策部長 緑確保の総合的な方針は、減少傾向にある民有地の緑の保全を推進していくことを目的として、都と区市町村が合同で策定したものでございます。
 本方針におきまして、民有地の屋敷林や農地など、保全すべき緑を確保地として位置づけ、特別緑地保全地区などに指定することにより、その確保に取り組んでおります。
 都は、昨年策定した都市づくりのグランドデザインにおいて、東京の緑の総量をこれ以上減らさないという目標を示しました。この目標の実現に向け、緑確保の総合的な方針を改定することといたしました。
 今後、区市町と合同で確保地をさらにふやすとともに、取り組みの充実を図ってまいります。
 現在の方針における確保地の面積につきましては、平成二十八年三月に確保地を追加した結果、樹林地が約四百二十八ヘクタール、農地が約十一ヘクタールであり、合計約四百三十九ヘクタールとなってございます。これに対しまして、平成二十九年四月一日時点の確保済み面積は、樹林地が約二百九十六ヘクタール、農地が約四ヘクタール、計約三百ヘクタールでありまして、その割合は約六八%となってございます。

287◯滝田委員 位置づけた面積に対して進捗していることはわかりました。
 一方で、農地の確保地が、かなり数字としては少ないのではないかと感じています。東京都の農地面積は、平成二十六年の統計で約六千百ヘクタールあるとされています。また平成二十七年の都市農業振興基本法の成立や、昨年の都市緑地法や生産緑地法の改正等を見ても、都市農地の役割が高まっているところであります。
 ついては、来年度の緑確保の総合的な方針の改定に当たっては、確保すべき農地をさらに位置づけていくことが重要であると考えますが、所見を伺います。

288◯久保田都市づくり政策部長 都市農地は、農業生産の場であるとともに、環境や防災などの多様な機能を有してございます。都市農業振興基本法の制定や都市緑地法の改正により、都市にあるべきものとして位置づけられたところでございます。
 都市農地のうち、その大半を占める生産緑地につきましては、いわゆる二〇二二年問題への対応として、生産緑地を存続させていくことが課題となっております。改定に当たりましては、生産緑地を確保地に位置づけ、都市計画公園緑地や特定生産緑地に指定することなどについて、区市町と連携し、検討してまいります。

289◯滝田委員 来年度の予算に、生産緑地公園の補助制度として十億円を計上し、新たな枠組みを新設したことは評価をしています。一方で、買い取りできる量には限界があり、宅地化を防ぐには、やはり生産緑地を引き続き農地として継続させていくことが重要であります。
 昨年五月に生産緑地法の改正がされましたが、二〇二二年に指定から三十年を迎える生産緑地は二千六百ヘクタールあり、その全てについて土地所有者の意向を確認し、特定生産緑地に指定していくというのは、大変な作業であります。
 そこで、都は、区市が特定生産緑地の指定を円滑かつ確実に進めるため、積極的に支援していくべきであると考えますが、所見を伺います。

290◯久保田都市づくり政策部長 国は生産緑地法を改正し、買い取りの申し出を十年間先延ばしできる特定生産緑地制度を創設いたしました。
 特定生産緑地の指定は、生産緑地の指定後、三十年が経過するまでに確実に手続を完了させなければなりません。二〇二二年に買い取り申し出が可能となる生産緑地は約二千六百ヘクタールあり、指定に当たっては、この土地の所有者と利害関係人全員の同意を得るなどの手続を、区市は短期間で進める必要がございます。
 このため、都は、区市との意見交換会などを開催し、指定の手続において想定される課題等を集約し、国とも連携して対応を検討しているところでございます。
 今後、都が中心となって手続を効率的に進めるマニュアル等を整理し、自治体間で共有してまいります。
 今後とも、積極的に区市を支援することにより、特定生産緑地の指定に向けた取り組みを推進してまいります。

291◯滝田委員 都市農地につきましては、二〇二二年までの限られた時間の中で対応が求められます。
 先ほど小林理事も言及しておりましたけれども、農業振興策とも連携して、迅速な取り組みをお願いいたします。
 次に、鉄道ネットワークの整備について伺います。
 都では、来年度予算案において、新たな基金として、鉄道新線建設等準備基金を新設、おととし四月の国の答申で位置づけられた六路線を中心に、検討を具体的に進めていくという方針を、具体的な財源を確保するとともに、明確に打ち出しました。大きな前進と評価をしております。
 また、この件に関して、本定例会において、私たちの会派都民ファーストの会東京都議団増子幹事長の代表質問に対して、知事からも、事業の裏づけとなる財源をあらかじめ確保して、都の取り組み姿勢を明確に示すこととし、関係者との協議、調整を加速していくと、力強い答弁がありました。今後、具体的な検討、調査を進めていくに当たり、まさにキックオフとして、改めて鉄道整備の意義や課題を整理したいと思います。
 これまでも、東京には世界有数の鉄道ネットワークが形成されてきましたが、国の答申においては、さらに質の高いネットワークの構築を目指して、具体的なプロジェクトが示されています。ついては、今日の東京の鉄道ネットワークが抱えている課題についてお伺いをいたします。

292◯中島都市基盤部長 東京は、高密度で安全な鉄道網が形成されておりますが、ピーク時の混雑率が一八〇%を超えている区間がございまして、引き続き混雑緩和に向けた取り組みが必要でございます。
 また、国際競争力の強化に向けまして、空港や主要な拠点へのアクセス利便性のさらなる向上を図る必要がございます。
 さらに、超高齢社会におきましても、公共交通などを通じて、誰もが快適に移動できるような都市を実現していくことが求められております。

293◯滝田委員 いまだ混雑率は高く、首都東京の生産性、快適性を高める上で、満員電車ゼロ、快適通勤の各種取り組みを進めていく必要があります。現在実施をしている時差ビズによる乗客、需要面での工夫とともに、必要な鉄道整備は実施し、供給面の拡充を進めるべきと考えています。
 また、海外とのビジネスや交流など、国際的に開かれた都市を志向している中で、空港へのアクセスは重要です。ビジネスや観光面での経済効果も大きいと想定され、特に早期の整備を期待します。
 また、超高齢化社会を迎え、自動車に頼らない都市づくり、地域の足を整えることも必要です。特に多摩地域においては、いまだ交通空白地帯がありますし、また、先ほど取り上げました産業集積をイノベーションにつなげていくためにも、多摩地域の域内交通網の強化が必要となります。
 ここで、答申におきまして、事業化に向けて検討等を進めるべきとされた六路線の整備をした場合、それぞれどのような効果があるか、お伺いをいたします。

294◯中島都市基盤部長 答申六路線を整備した場合の主な効果でございますが、羽田空港アクセス線及び新空港線の整備につきましては、既存の鉄道ネットワークと接続することで、広範囲にわたる空港アクセス利便性の向上が図られます。
 地下鉄八号線の豊洲から住吉間の延伸につきましては、地下鉄東西線等の混雑緩和や、臨海部へのアクセス性の向上などの効果が見込まれます。
 大江戸線の大泉学園町への延伸につきましては、区部北西部と都心部とのアクセス利便性向上が図られます。
 また、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎及び町田方面への延伸につきましては、開業区間と一体となり、多摩地域の南北方向の拠点を結ぶことで、多摩地域の活力や魅力の向上が期待されます。

295◯滝田委員 次に、事業費の観点について確認をいたします。
 都の予算案の中で、答申六路線の総事業費は一兆円ともなると記載があります。これは、国の答申の中で言及された試算と理解しますが、路線ごとの整備費用は幾らか、お伺いをいたします。

296◯中島都市基盤部長 平成二十八年七月に交通政策審議会が公表いたしました、鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果によりますと、各路線の事業費といたしまして、羽田空港アクセス線は約三千四百億円、新空港線の矢口渡から京急蒲田間は約一千三百億円、地下鉄八号線の豊洲から住吉間は約一千五百億円、大江戸線の光が丘から大泉学園町間は約九百億円、多摩都市モノレールの上北台から箱根ヶ崎間は約八百億円、同じく多摩センターから町田間は約一千七百億円となってございます。
 なお、この事業費につきましては、検討の深度化を行う中で、引き続き精査してまいります。

297◯滝田委員 多額な事業費でありますので、来年度予算として八千万円が計上されている、広域交通ネットワーク形成等に関する調査において、事業費の精査を進めるとともに、今回創設する基金により、財源の確保にしっかりと努めていただきたいと思います。
 六路線の整備を実現するためには、財源以外にもさまざまな課題があると認識をしています。
 例えば、多摩都市モノレールの町田方面への延伸に関しては、導入空間となる道路整備の課題もあると聞きますが、今後どのように取り組むのか、お伺いをいたします。

298◯中島都市基盤部長 多摩都市モノレールの町田方面への延伸は、国の答申におきまして、地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトの一つとして、事業化に向けて具体的な調整を進めるべきと位置づけられております。
 本路線の整備に向けましては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況を踏まえ、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性を見きわめながら検討を行う必要があり、また、お話の導入空間となり得る道路整備も課題となっております。
 これらの課題につきまして、都は、沿線市や多摩都市モノレール株式会社とともに検討を進めております。
 今般、都は、検討を深度化するための調査費に加えまして、鉄道新線建設等準備基金を創設し、鉄道新線整備に対する都の取り組み姿勢を明確に示すことといたしました。
 引き続き課題の検討を進めるとともに、今後、関係者との協議、調整を加速してまいります。

299◯滝田委員 町田方面への延伸以外の路線についても、それぞれ路線ごとに、事業採算性を初めとして、課題があるはずです。来年度の調査において、それらもしっかりと精査をしていただきたいと思います。また、適宜調査検討の状況報告もお願いをいたします。
 関係する事業者や自治体との議論、連携を深めていくことは重要です。一方で、整備手法やルートの検討などは、さまざまな意見があると思いますけれども、事業効果を高めていくこと、整備費用を抑制することの両面から、冷静に検討を進めてほしいと思います。
 また、鉄道ネットワークの整備は進めるべきと考えますが、知事のいうワイズスペンディングの観点は常に意識し、二〇二〇年代の東京にふさわしい整備の仕方を検討、追求していただきたいとお願いをいたします。
 最後のテーマとなりますが、鉄道駅のバリアフリー化についてお伺いをいたします。
 都では、東京二〇二〇大会を契機として、ホームドアの整備、エレベーターの整備、トイレの洋式化といった鉄道駅のバリアフリー化を進めています。知事の掲げる三つのシティーのうちダイバーシティーをハード面で実現するものであり、都民ファーストでつくる「新しい東京」二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、二〇二〇年に向けての具体的な整備目標を定めて進めています。
 そうした中で、来年度予算案では、鉄道駅におけるホームドア、エレベーター、トイレの洋式化などに対する補助メニューである鉄道駅総合バリアフリー推進事業は、前年度比六七%増の二十億円と大幅に拡充しております。さらなる整備の前進を期待しております。
 また、来年度から、鉄道駅での多目的トイレの整備補助事業が、福祉保健局から都市整備局に所管がえされることになったと聞いています。既に、都内全域の九割の駅で、何らかの形で多目的トイレが整備されている状況ではありますけれども、今後は、更新改修やアクセシビリティ・ガイドラインにのっとった整備などに対応が必要と理解します。所管は変わりますが、引き続きしっかりと対応をお願いしたいと思います。
 本日は、バリアフリー化の中でも、ホームドアを中心に質問していきます。
 まず、ホームドア整備の現状の進捗状況についてお伺いをいたします。

300◯中島都市基盤部長 利用者の安全性確保のため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 都は、国とともに、地下鉄の駅に加えまして、利用者十万人以上のJRや私鉄の駅を対象として補助を行っております。東京二〇二〇大会の会場周辺駅につきましては、平成二十七年度から、利用者の規模によらずに補助を実施しております。
 こうしたことによりまして、現在、都内の三分の一を超える駅で、ホームドアが設置されております。

301◯滝田委員 二〇二〇大会では、国内外から多くの人々が東京を訪れる。広く都民の皆様やさまざまな来訪者が安心して駅を利用できるようにすることが必要と考えます。また、東京の進める都市像を世界に見せていくという意味でも重要です。
 東京二〇二〇大会開催までに、都内の駅において整備はどのように進むのか、お伺いをいたします。

302◯中島都市基盤部長 現在、鉄道各社とも取り組みを加速させておりまして、東京二〇二〇大会までに、JRでは、山手線や京浜東北線などの六十二駅、東急電鉄では、東横線、田園都市線、大井町線の全駅、また東京メトロでは、銀座線や千代田線の全駅などにおいて、整備を完了させるとしております。

303◯滝田委員 区部におきましては、東京二〇二〇大会を契機に、ホームドアの整備の取り組みが進んでいますが、一方で多摩地域では、調布市内の京王線三駅や吉祥寺駅においてホームドアが整備されているにとどまっている状況です。ほかにも、多摩地域において整備するべき駅は多くあると思いますが、おくれているといわざるを得ません。
 現在の都の支援メニューでは、東京二〇二〇周辺地域及び利用者数一日十万人以上を対象としております。しかしながら、駅の構造や乗りかえ客の数、通勤ピーク時のホーム上の状況など、駅利用者数での一律の考えではなく、必要な駅やホームというのを見ていくべきではないでしょうか。多摩格差に関して、何が格差で、どの件は差を埋めるべきかという議論はさまざまありますけれども、本件は利用者の安全にかかわる部分であり、都心と多摩との間で安全の側面に差が広がることは好ましくないと考えます。
 多摩地域においても、八王子駅や立川駅などの拠点駅を中心に、ホームドアの整備を促進していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

304◯中島都市基盤部長 多摩地域におきましては、例えばJRでは、平成三十七年度までに、中央快速線の東京-立川間、青梅線の立川-拝島間、南武線などのほぼ全駅において、ホームドアの整備を完了させることを、今月公表しております。また、東京二〇二〇大会の会場周辺駅となります京王線飛田給駅において、ホームドアの整備がなされる予定でございます。
 今後とも、東京二〇二〇大会を契機として、またその先を見据えながら、鉄道の安全性を高めていくため、国や地元区市とも連携して、鉄道事業者の取り組みを支援してまいります。

305◯滝田委員 民間事業者において、多摩地域も含めて、取り組み意向が高まっていることはわかりました。また、技術面での改善により、整備コストや工期も削減されてきております。広く普及が進む土台は整いつつあると感じております。
 今後、各種計画において、二〇二〇大会の先を考え始める時期に差しかかってきていると思います。
 今後のホームドア整備の計画を検討していく際には、多摩地域のホームドア整備促進について、また新たな支援基準の考え方とあわせて検討をお願いしたいと思います。
 最後に一言申し添えます。
 先日、私は一般質問において、公園を都市戦略として位置づけ、多面的活用や民間ノウハウの活用を推進するべきと発言し、知事からも前向きな答弁を得ました。
 魅力ある都市づくりに向けて、本日伺った話とあわせて、公園の活用についても、建設局と連携し、都市戦略として取り組みを深めていただきたいと思います。
 以上で私からの質問を終わります。ありがとうございます。

平成30年都市整備委員会 2018-03-19(都市整備局・予算)
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