平成29年都市整備委員会 2017-12-11

◯滝田委員 私からは、今回提出されている条例案の一つ目から四つ目につきまして質問いたします。
 いずれも都市緑地法等の一部を改正する法律の施行に伴い新設された用途地域、田園住居地域の規定を条例に盛り込むものであります。都においては、生産緑地などの都市農地と住宅が混在した地域等に田園住居地域の指定を検討することになります。
 都市内の農地は、いずれ開発されるものと捉えられていましたが、近年は、都市内の魅力ある空間資源として見直されてきております。今回の法改正も、都市計画法において、農地を都市にあるべき機能として位置づけられるようになったものと理解をしております。
 まず初めに、都としての都市農地に対する認識をお伺いいたします。

4◯久保田都市づくり政策部長 東京の都市農地は、環境や防災などの機能を有する貴重な緑の空間として保全するとともに、大消費地に近接する特性を生かして、付加価値の高い農業生産の場として活用することが極めて重要でございます。

5◯滝田委員 都としても、貴重な都市農地を保全し、活用を図っていくべきとの考えにあると伺うことができました。
 今般、新たに設定された用途地域である田園住居地域を指定することで、都市農地の保全、活用にどのように寄与するのか、お伺いいたします。

6◯久保田都市づくり政策部長 田園住居地域は、住宅と農地が混在しながらも、両者が調和して良好な居住環境と営農環境を形成する地域の実現を目的に創設されたものでございまして、この指定により、都市農地の保全や活用が図られることとなります。
 具体的には、保全につきまして、マンション等の建設に伴う営農環境悪化を防止するため、これまでの開発許可制度とは別に、新たに農地における土地の造成等に許可が必要となります。
 また、活用につきましては、地域内で生産された農産物の直販所や、農家レストランなどの建築が可能となり、農業の活性化や地域のにぎわい創出にも寄与いたします。

7◯滝田委員 今、まさに国の制度設計のさなかでありますので、今回の審議では細かく触れませんが、都市農地の保全の観点では、むしろ特定生産緑地の制度がかなめであります。その点は、時を改めて審議をさせていただきたいと思っております。
 さて、ご説明いただきましたとおり、田園住居地域の指定は、農家レストランの設置などで経営多角化の可能性が広がり、農業を続けるインセンティブとして役に立つものと理解します。この田園住居地域の指定に当たって、今後の進め方をお伺いいたします。

8◯久保田都市づくり政策部長 都といたしましては、都市づくりのグランドデザイン策定を踏まえ、その将来像の実現に向け、今後、土地利用に関して、都や区市町、住民等の共通の尺度となる用途地域等の指定基準を改定し、田園住居地域を含む用途地域の見直しを行っていくこととしてございます。
 まずは、来年早々に、その土地利用のあり方につきまして都市計画審議会に諮問し、答申を踏まえ、用途地域等に関する指定基準の改定を行ってまいります。

9◯滝田委員 ご説明ありがとうございました。都市計画審議会において、都市づくりのグランドデザイン策定を受けた東京の土地利用のあり方が諮問され、その中で議論されることを承知いたしました。また、答申を受けた後、指定の考え方を都として検討していく流れであることも承知をいたしました。
 住民の皆様の理解も必要となり、一般的に用途地域の変更は容易ではないものと、私は考えておりますが、まずはしっかりと制度運用を精査して進めていただきたいと思います。
 最後に、意見表明させていただきます。
 今回は、田園住居地域が定められることに対応して、条例を改定するということが審議内容であります。審議会の諮問もこれからですし、また、国の方で特定生産緑地の制度詳細や税に関する部分が、今、まさに議論中でありますので、これらの中身が見えてきた段階で、改めて都市農地の保全のあり方や具体的な取り組みについて議論をできればと思っております。
 人口減少の時代において、都においても、宅地化を一方的に進める時代ではありません。都のグランドデザインにおいても、農地を積極的に保全、活用し、都市農業を育成していくことが掲げられております。防災、教育、コミュニティ形成などの多面的な機能を発揮、にぎわい空間としても活用していくとあります。
 加えて、緑の総量を減らさないとする中長期目標においても、緑地としての農地は大変重要であります。いわゆる二〇二二年問題、二〇二二年に多くの都市農地が、税制優遇のある生産緑地の期限三十年を一斉に迎えます。
 農地が保全できずに、宅地化が大きく進行する懸念があります。制度設計をして、基礎自治体とともに、農地所有者に対して十分に周知をする、特定生産緑地の指定等の適切な対応を行う、そのための期間は、残りわずか四年しかありません。
 新たな制度において、慎重に事を進める必要があることは、一定の理解をいたします。一方で、時を逸すれば、歯どめのきかない宅地化が進んでしまうことを、強く懸念いたします。
 農地保全、農業育成のために、都市計画だけではなくて、相当の対策を総合的に打つ必要があると考えております。また、ほかの道府県と大きく異なる環境にある都において、国が一律に定める法令等では必ずしも十分ではないことも想定されます。
 そうした観点から、農地、農業に対して、都として独自の取り組み方も必要ではないかと私は考えております。関係部局で連携をし、これからの四年間で積極的な取り組みを進めることを強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。

平成29年都市整備委員会 2017-12-11
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