平成29年都市整備委員会 2017-11-28

◯滝田委員 私からは、この多摩都市モノレールの運賃値下げに関する陳情の審議に当たりまして、四点質問させていただきます。
 今回、地元大学生からの値下げの要請でありますが、私も八王子が地元ですので、モノレールの運賃がもう少し安くなると地域の足としてうれしいという声は、たびたび耳にいたします。
 しかしながら、今後モノレールの延伸なども考えられる中で、経営体力をしっかりと高めていくことも大切なことであり、運賃のあり方を審議する上で、総合的な経営状況から判断していく必要があると考えています。
 先ほど、九期連続で経常利益、当期純利益とも黒字との説明をいただきましたが、具体的に現在の多摩都市モノレール株式会社の経営状況、また、今後の経営課題や投資等の資金需要について、最初にお伺いしたいと思います。

11◯中島都市基盤部長 多摩都市モノレールでは、平成二十八年度における一日平均乗車人員が開業以来過去最高となる十四万一千人を記録しておりまして、同年度の決算は、営業収益が八十六億円、経常収益が十七億円、当期純利益が十億円となってございます。
 一方で、多摩都市モノレールは、平成十年の立川北-上北台間の開業から既に二十年近くが経過しておりまして、安全で快適な利便性の高い輸送を行うためには、駅施設や電力、信号通信設備の大規模改修などの設備投資を行っていく必要がございます。
 また、平成二十八年度末におきましても多額の長期債務を抱えておりまして、都を初め関係自治体への無利子貸付金の返済などを確実に実施することも課題でございます。
 本年六月に策定されました長期経営方針では、こうした資金需要を見据えました経営基盤の強化を図るとともに、安全の確保、お客様サービスの向上、沿線地域との連携を掲げておりまして、地域に密着した公共交通機関として、安全を最優先に、正確で快適な輸送サービスを提供し、地域の発展に寄与していくこととしております。

12◯滝田委員 詳細にご説明ありがとうございます。
 多摩都市モノレールは順調な経営が続いておりますが、貸付金の返済や設備の大規模修繕など、今後多くの資金需要が見込まれるという状況を確認することができました。
 そうした中で、公共交通機関として多摩都市モノレールの運賃設定はどのような手続で行われているのか、また、現行運賃の水準はどの程度であるのか、お伺いをいたします。

13◯中島都市基盤部長 モノレールを含みます鉄軌道、鉄道、軌道の運賃の設定には、法令等に基づく国土交通大臣への認可申請や届け出が必要でございます。
 具体的には、国土交通大臣は、運賃の上限につきまして、適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えていないかどうか審査を行いまして、認可することとされております。事業者は、認可を受けた上限の範囲内で運賃を設定し、届け出を行っております。多摩都市モノレールの運賃につきましても、こうした手続にのっとって適正に設定されてございます。
 一般にモノレールを含みます鉄軌道は、建設時におきます初期投資が多額であり、とりわけ開業からの経過年数が比較的短い新規路線は、減価償却費や支払い利息などの負担が重く、それらが運賃に転嫁されております。
 こうした前提を踏まえまして、比較的新しい他のモノレールや新交通システム、鉄道と比較した場合、多摩都市モノレールの運賃及び通学定期券とも大きな差異はないと考えてございます。

14◯滝田委員 多摩都市モノレールの現行運賃は、軌道法等の法令に基づく適切な手続によって設定されているということが確認できました。
 また、私の方でも、ここ二、三十年に整備されたモノレールや新交通システムなどを調べて見比べてみましたが、必ずしも多摩都市モノレールの現行運賃が高い方とはいえず、学生定期の割引率六五%は、割引率としては高目の設定ともいえます。現行の運賃体系は、今後も会社を安定的に経営していくために適切であると考えております。
 一方で、こうした状況においても、経営努力によって一駅区間の運賃割引サービスを行っていると理解をしております。一駅乗車の運賃を百円としておりますが、その効果の検証はどのようなものであったのか、お伺いをいたします。

15◯中島都市基盤部長 多摩都市モノレールでは、平成十三年四月より全線にわたりまして、一駅のみ乗車した場合の運賃を、当時二百円であった初乗り運賃から百円に割り引く制度を導入してございます。
 会社によれば、こうした一駅区間を利用する乗車人員は、平成十二年には一日当たり平均約二千七百人であったものが、制度導入後の平成十三年には約一・六倍の約四千四百人に増加したとの結果になったと聞いてございます。
 なお、その後も乗車人員は増加しておりまして、多くのお客様に利用いただいているということでございます。

16◯滝田委員 施策導入時の少し古いデータではありますが、全体の乗車人員もふえている中での結果ですので、一概にはいえませんが、一定の需要喚起がなされたと理解をしております。この一駅百円運賃の導入については現在も継続されており、需要の開拓や地域へのサービス向上にこれまでも会社が努力を続けてきたことが認められます。
 一方で、やはり今後の大規模修繕などの資金需要に対して、会社の基礎体力を鍛えて、きちんと利益を上げて投資回収もできるようにしなければならないと考えております。
 そこで、多摩都市モノレール株式会社における乗降客を増加させるためのこれまでの取り組みと今後の収益拡大の考え方について、お伺いをいたします。

17◯中島都市基盤部長 今後も多摩都市モノレールが安定した持続的な経営を続けるためには、少子高齢化や人口減少が見込まれる状況下におきまして、乗車人員の維持拡大を図り、運輸収入を確保するとともに、附帯事業におきます運輸雑収の増加を図ることが重要でございます。
 これまで多摩都市モノレールでは、乗車人員を増加させるための取り組みといたしまして、沿線の大規模商業施設等と連携した割引券つき乗車券の販売、ワイン列車等の企画列車の運行、自治体等と連携したスタンプラリーやウオーキングイベントなどの開催、沿線イベント情報の発信などを実施してまいりました。
 また、コンビニエンスストアチェーンと連携した駅構内営業などによる附帯事業収入の確保にも努めております。
 今後、会社では、全社一丸となったコスト削減に努めることはもとより、自治体や大学、企業といった地域の多様な主体と積極的に連携することで、こうした取り組みをより一層推進していくとともに、利便性に配慮したダイヤの見直しや、外国人利用者に向けた多言語案内の充実等のサービス向上に取り組むことで乗車人員の増加を図り、収益の拡大につなげていくこととしております。

18◯滝田委員 ご説明ありがとうございました。
 ワイン列車やハロウィン列車など企画列車は予約もすぐに埋まってしまい、人気を博しているものと理解をしております。モノレールの車窓からは景色もよく、こうした企画との親和性は高いと思いますので、ぜひ工夫を続けていただいて、地域の活性化に寄与しつつ、収益の多様化を目指していただきたいと思います。
 地域密着型の交通網であり、運行距離が短い分、柔軟さもあると思います。先ほどご説明にありました地元や民間の取り組みとしっかりと連携していただくことで、多摩都市モノレールの社会的価値をさらに高めることができると思います。単純な運賃値下げではなくて、違った形で利用者や周辺地域に還元していくことが、現時点では望ましいのではないかと私は考えております。
 また、繰り返しにはなりますが、設備更新や今後の延伸計画などを見据えて経営体力を高めていくことが最重要の事項と考えております。今後の経営課題としてしっかりと目標を定めて、戦略的に収益拡大に取り組んでいただきたいと思います。
 以上、私からの意見を述べさせていただいて、質問を終わります

平成29年都市整備委員会 2017-11-28
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