平成28年度各会計決算特別委員会第3分科会 2017-10-25(建設局・決算)

◯滝田委員 私からは、六点のテーマについて質問させていただきます。
 一つ目のテーマとして、外かく環状道路の整備について質問いたします。
 外環道は、都心の渋滞解消などによる経済効果や都民の利便性向上など、整備効果の高い重要な道路と考えています。
 まず、外環道の関越から東名区間のこれまでの用地取得及び工事の進捗状況についてご説明願います。

6◯辻三環状道路整備推進部長 国及び高速道路会社が整備を進める外環は、大深度地下を使用するトンネル構造となりますが、各高速道路と接続するジャンクション部などは用地買収及び区分地上権の設定が必要となります。
 用地の進捗状況につきましては、本年六月末で買収部の九〇%を取得しており、また大深度地下より浅い地下空間を使用する区分地上権の設定は七一%となっております。
 工事につきましては、各ジャンクションで整備が進められており、東名ジャンクションでは本年二月に本線トンネルのシールドマシンが発進し、本掘進に向け、マシンの後続設備を組み立てながら掘り進める初期掘進が行われております。

7◯滝田委員 用地買収が進み、トンネル部の工事も開始されたということで、事業は進捗していると理解いたしました。
 事業者は国及びNEXCOではありますが、早期開通に向けて、都も積極的に支援に取り組むことが重要と考えています。
 外環道の事業推進に向けた都の取り組みについてお伺いいたします。

8◯辻三環状道路整備推進部長 都は、外環事業の整備推進に向け、平成二十二年度から大泉ジャンクションの用地取得を国から受託し、本年六月末で九九%を取得するなど支援してまいりました。
 今年度から受託している青梅街道インターチェンジの用地取得につきましては、本年七月に国とともに地元説明会を開催し、測量を進めております。
 引き続き、用地取得を進めるなど積極的に支援を行ってまいります。

9◯滝田委員 ご説明いただきましたように、引き続き都も事業推進に向けて精力的に取り組んでいただきたいと思います。
 外環道の関越から東名区間の整備に関する費用便益比は、時間短縮の直接便益のみで一・九と推計されています。加えて、都心部の防災性の向上や環境の改善にも資するものと、このことを鑑みると非常に大きな整備効果が期待されるといえます。
 一方で、延長十六キロにもなる地下トンネルを建設するプロジェクトであり、多額の事業費を必要とするのも事実です。
 そこで、外環道の関越から東名区間の整備における総事業費の見込みと、平成二十八年度における都の負担額についてお伺いしたいと思います。

10◯辻三環状道路整備推進部長 外環の関越から東名間の総事業費につきましては平成二十八年六月に国が公表しておりますが、約一兆六千億円となっております。
 本事業は、有料道路事業と国の直轄事業により整備を行っており、平成二十八年度の都の負担額については、国直轄事業費の四分の一である百五十億円となってございます。

11◯滝田委員 繰り返しとはなりますが、外環道の整備効果は高く、できる限り早期の開通に向けて着実に整備を進めていただけるように尽力願います。
 技術を駆使した工法となることには理解をいたしますが、安全性や環境面を優先しながらも、事業費の抑制には国、NEXCOに対して働きかけに努めていただきたいと思います。
 また、地上部や都道、外環ノ2の整備に当たっては、引き続き地元からの意見反映に努めてほしいと思います。
 続きまして、二つ目のテーマとして、都が進めている遮熱性舗装等の整備について伺います。
 まず、都道の暑さ対策として実施している遮熱性舗装と保水性舗装の違い、整備効果についてお伺いいたします。

12◯田中道路保全担当部長 都では、ヒートアイランド対策の一環として、センター・コア・エリアを中心とした重点エリアで遮熱性舗装などの整備を進めております。
 遮熱性舗装は、太陽光を反射する塗料を路面に塗布することで、また保水性舗装は、舗装内に蓄えた水分の蒸発により路面温度の上昇を抑制する舗装であります。抑制効果は、遮熱性舗装は約八度、保水性舗装は約十度であります。
 現在では、路面温度の上昇抑制効果に加え、路面の騒音低減効果にもすぐれた遮熱性舗装を主に整備しております。

13◯滝田委員 遮熱性舗装をより有効な手段として採用されていること、理解いたしました。
 東京オリンピック・パラリンピックの実施に向けても、道路路面の暑さを緩和するための環境整備は重要になります。
 次に、遮熱性舗装等の整備の考え方及び進捗状況と、平成二十八年度の決算額、一般的な舗装との単価差についてお伺いいたします。

14◯田中道路保全担当部長 二〇二〇年東京大会までに、マラソンコース等が想定される道路を含む都道において、路面補修工事とあわせて遮熱性舗装などを約百三十六キロメートル整備する計画であり、平成二十八年度までに約百六キロメートル完了しました。また、平成二十八年度の決算額は約三十二億円で、十キロメートルの整備を進めました。
 なお、遮熱性舗装の一平方メートル当たりの単価は、一般的に都で採用している低騒音舗装のおおむね一・三倍の約三万円でございます。
 今後とも、二〇二〇年東京大会に向け、残る三十キロメートルを着実に整備してまいります。

15◯滝田委員 二〇二〇年に向けて整備が順調に進捗しているとのことですので、しっかりと前に進めていただきたいと思います。
 一方で、普及していくためにはコスト低減が不可欠ですので、その努力も求めておきたいと思います。
 なお、二〇二〇年東京大会に向けてという面もあり、まずは路面温度が注目されていますが、都市のヒートアイランド対策としては、街路樹による日陰の創出、屋上緑化等の整備効果が大きいとの研究もあります。
 中長期での取り組みとしては、路面舗装の対策だけではなくて、最適な施策の組み合わせを考えて実施すべきと考えます。費用対効果を検証の上、関係各局で進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続けて、三つ目のテーマとなりますが、都が進めている道路照明の省エネ化について伺います。
 省エネ型の道路照明を導入することは、環境負荷の軽減や行政コストの削減に有効と考えますが、都道の道路照明について、これまでの取り組み状況と取り組み効果についてお伺いいたします。

16◯田中道路保全担当部長 都では、現在約十六万灯の道路照明を管理しております。そのうち、消費電力が大きい水銀ランプ七万三千六百灯について、平成二十年度から省エネ効果の高いセラミックメタルハライドランプなどへの転換を進め、平成二十五年度までに完了しました。セラミックメタルハライドランプへの転換により、既存の水銀ランプに比較して消費電力、CO2排出量ともに約四割削減しました。

17◯滝田委員 ご説明いただきましたとおり、これまでの取り組みで省エネ化が進んでいると理解いたしますが、今後さらに省エネ化を進めていくために、省エネ効果が高いといわれるLEDの活用などが考えられます。
 今後の取り組み方針について見解を伺いたいと思います。

18◯田中道路保全担当部長 LEDの道路照明につきましては、平成二十六年度の道路工事設計基準の改定において標準化しております。これに伴い、設置に際し障害が少ないトンネル等において、照明の改修にあわせてLED照明を採用しております。
 平成二十八年度までに十五カ所のトンネルや地下歩道等でLED化を完了し、トンネル照明の消費電力、CO2排出量ともに二割から三割程度削減しました。平成二十九年度は、十四カ所のトンネル等で照明工事を実施する予定であります。
 道路の新設、拡幅時や道路照明の更新等にあわせて順次LED化することでさらなる省エネ化を図ってまいります。

19◯滝田委員 LED化については、省エネ化がまだ進んでいないトンネル照明などから優先して整備を進めていくことで承知いたしました。
 LED照明について、明るさやブルーライトの量を問題視する意見も聞きますので、適切な品質規格や光度設計を採用して配慮した上で、進めてほしいと思います。
 ご説明いただきましたとおり、道路照明の省エネ化は費用対効果が十分にあり、投資する価値のあるものと理解いたします。
 一方で、市区町村道の照明においては省エネ化が進んでいないところもありますので、都での取り組みや整備効果を共有し、東京全体の省エネ化を促してほしいと思います。
 次に、四つ目のテーマとなりますが、新たなまちのにぎわい空間の創出として、河川占用許可の特例を都としてどのように活用して進めていくのかお伺いしたいと思います。
 まず、河川占用許可の特例の概要についてご説明をお願いいたします。

20◯東野河川部長 都は、隅田川におけるスーパー堤防やテラスの整備、防災船着き場の一般開放など、人々が水辺に集い、親しめる河川空間の創出に努めてまいりました。また、全国各地で河川空間を活用したまちづくりの動きを背景に、河川敷地の多様な利用を求める声が高まっております。
 こうした中、国は、平成二十三年に規制緩和として河川敷地占用許可準則を一部改正し、地元の発意や地域の合意形成など一定のルールのもと、河川のにぎわいに資する施設等の設置について、民間事業者による河川敷地の占用が可能となりました。

21◯滝田委員 次に、これまでの取り組み実績と今後の展開についてお伺いいたします。

22◯東野河川部長 平成二十四年に、都、台東区、地元が連携いたしまして地域の合意形成を図るための協議会を設置し、二十五年にこの制度を都内で初めて活用した民間事業者によるオープンカフェを浅草の隅田川沿いに誘導いたしました。
 また、都は同じく平成二十五年に、水辺のさらなる魅力向上と地域の活性化を目的といたしまして、水辺の景観を楽しみながら飲食ができるかわてらすの社会実験を開始し、これまでに日本橋川において一店舗、隅田川において三店舗でかわてらすが設置されました。
 さらに、隅田川では、川沿いの観光拠点などがございます浅草や両国など四地区をにぎわい誘導エリアに位置づけまして水辺とまちの結びつきを強化し、地域全体のにぎわいを高める取り組みを行うこととしております。このうち、両国におきましては、都と墨田区の保有する公有地に民間活力を導入したホテルやレストランを有する複合施設を設置するほか、船着き場やスーパー堤防を一体的に整備いたします。
 本事業におきましても、河川占用許可の特例を活用し、例えば複合施設前面のスーパー堤防上におけるオープンカフェの設置などを検討してまいります。
 引き続き、地元区や地域と連携しながらにぎわい施設の誘導を図り、人々が集い親しめる魅力的な水辺空間を創出してまいります。

23◯滝田委員 多くの海外都市では、水辺を魅力的な都市空間として活用しています。急峻な地形で治水の難易度が高い本邦において、単純に海外都市と比較することはできませんが、限られた都市空間を有効活用して魅力を生み出すことは、競争力のある都市をつくる上で改めて意識して取り組むべき課題かと思います。
 また、あとの質問にもつながりますが、都市づくりのグランドデザインにある将来都市像の実現には、道路や河川といった公共空間の多面的な活用を具体化していくことが欠かせないと思っています。モデル事業において効果と課題をしっかりと検証し、民間の発想も取り入れながら、水辺空間のさらなる利用促進を図っていただきたいと思います。
 次に、五つ目のテーマとなりますが、先ほどの河川の件と類似いたしますが、まちのにぎわい空間の創出として、道路占用許可の特例について都としてどのように進めていくのか伺いたいと思います。
 まず道路占用許可の特例の制度概要についてご説明をお願いいたします。

24◯杉崎道路管理部長 東京の魅力を一層高めていくためには、公共空間としての道路を生かし、周辺地域と一体となったまちの活性化を図っていくことが重要でございます。
 道路占用許可の特例は、都市再生特別措置法や国家戦略特別区域法に基づく規制緩和によりまして、地域の民間企業や町会などが構成する団体が主体となり、オープンカフェ等の設置やイベントを実施することでまちのにぎわいを創出するものでございます。
 現在、都道では、環状二号線新虎通り、丸の内地区の行幸通り、新宿副都心四号線などが対象となっております。

25◯滝田委員 次に、平成二十八年度の実績と今後の展開についてお伺いいたしたいと思います。

26◯杉崎道路管理部長 平成二十八年度の実績でございますが、新虎通りでは、特例制度を活用して四棟の食事施設が本年二月新たに設置をされ、日本各地の自治体が出店し魅力を発信する旅する新虎マーケットが開催されました。また、行幸通りでは、東京の食材をPRする東京味わいフェスタなど六件のイベントが、新宿副都心四号線では、キッチンカーなどの出店により飲食を楽しめる新宿シェアラウンジが開催されました。
 今後も引き続き、地元区や関係各部署と連携し、にぎわいの場としての道路空間の活用に積極的に取り組んでまいります。

27◯滝田委員 交通安全の観点から適切な規制をしなければいけない役割は当然重要であります。一方で、都市づくりのグランドデザインにあるような魅力的な将来都市像を築いていくためには、道路空間も含めた公共空間の多面的な活用の推進が不可欠と考えます。部局をまたがる施策であり、かつ基礎自治体との連携も必要な施策であることから、推進していくためには旗振り役と全体計画が必要と思います。
 ご説明をいただいた事業を通じて知見を積み上げる一方で、今後の推進体制については検討をお願いいたします。
 最後に、六つ目のテーマとして、公園の多面的な活用についてお伺いをいたします。
 本年五月に、東京都公園審議会から都立公園の多面的な活用の推進方策について答申がなされました。また、六月には都市公園法が改正され、公園をより柔軟かつ多面的に活用できるようになりました。
 こうした流れの中で、まず、公園の多面的な活用について、これまでの実績をお伺いいたします。

28◯日浦公園緑地部長 多様化する都民ニーズに応えていくためには、公園をより柔軟に使いこなし、そのポテンシャルをさらに発揮させることが重要でございます。
 都はこれまで、上野恩賜公園や駒沢オリンピック公園におきまして、民間のアイデアやノウハウを活用したカフェやレストランを導入するなど、公園の多面的な活用を進めてまいりました。

29◯滝田委員 法改正に先駆けまして、汐入公園等で特区制度による保育所設置の取り組みも行ってきたかと思います。福祉面での活用も、引き続き関係部局と連携して進めていただけますようお願いいたします。
 先ほどご説明いただきましたような事例において、民間のカフェやレストランを導入したことにより、どのような効果があったのかお伺いしたいと思います。

30◯日浦公園緑地部長 民間を活用したカフェやレストランの導入によりまして、公園に新たなにぎわいが創出されただけでなく、その売り上げの一部を活用して公園の魅力向上や防災機能の強化が図られました。
 具体的には、上野恩賜公園では、花壇や植栽の整備によりまして来園者が快適に利用できる歩行空間が演出されるなど、公園の魅力が向上いたしました。また、駒沢オリンピック公園では、店舗に発災時の情報取得に役立つWiFiの配備や、紙おむつなどの備蓄を行うことで地域の防災機能の強化に寄与いたしました。

31◯滝田委員 ただ場所を貸して占用使用料の徴収をするということにとどまらず、お話しいただきましたように、民間の知恵などを使ってより効率的な公園管理や魅力向上策につながる仕組みにぜひとも挑戦していただきたいと思います。
 次に、公園の多面的活用に当たっての課題は何かお伺いいたします。

32◯日浦公園緑地部長 公園は、都民に安らぎとレクリエーションの場を提供し、潤いや風格のある都市づくりに寄与するとともに、都市環境を改善するですとか、防災空間を確保するなど重要な役割を担っております。こうした公園の本来持っている機能を確保しつつ、民間事業者の創意工夫を凝らした事業展開を実現していく必要がございます。
 多面的活用の推進に当たりましては、従前の公園利用との調整や民間事業者の事業採算性を含めた事業の実現性を見きわめることが課題であると認識しております。

33◯滝田委員 従来の利用者や近隣住民との関係など配慮が必要で、新しいことを進めるためには地域ごとにさまざまなハードルがあると思います。ぜひとも知恵を出し合い、解決策を見つけていく挑戦を続けていただきたいと思います。
 最後に、これからさらに公園の多面的な活用を進めるに当たって、その方針と今後の取り組みについてお伺いをいたします。

34◯日浦公園緑地部長 少子高齢化や社会の成熟化による価値観の多様化など社会状況が変化する中で、都立公園が潜在的に有する多面的な機能を一層発揮させることは、都立公園の魅力や価値を向上させるとともに、そのストック効果を高めることにもつながるものと認識しております。
 そこで、民間のアイデアやノウハウを活用し、さまざまな来園者がそれぞれの楽しみ方を見つけ快適に過ごせる場を創出する、こういう新たな取り組みを進めてまいります。
 実施に当たりましては、地域や公園利用者の理解を得ながら慎重に進めていくことが必要であることから段階的に進めることといたしまして、まずモデル事業を行います。
 現在、有識者から意見を聞きながら、対象公園の選定や公募要件を検討しておりまして、今後、民間事業者から事業採算性などについてヒアリングを行うこととしております。
 こうした取り組みによりまして、公園の多面的な活用をさらに推進してまいります。

35◯滝田委員 課題にも挙げていただきましたが、民間の多様なアイデアの発揮が促されることが重要になります。幅広く民間事業者や専門家と情報交換をし、可能性を広げることが大きな一歩となるかと思います。
 また、ニューヨークなど海外都市でも公園や緑地を活用しての都市戦略を打ち出しており、参考としつつ、引けをとらない魅力ある空間づくりに取り組んでいただきたいと思います。
 以上で私からの質問を終わりにいたします

平成28年度各会計決算特別委員会第3分科会 2017-10-25(建設局・決算)
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