○滝田委員 私からは、地元八王子に立地をいたします、先ほど令和四年秋から開業ということでありましたけれども、東京都立多摩産業交流センターの指定管理者の選定について伺っていきたいというふうに思います。
我が会派では、多摩地域を区部と両輪となる成長のエンジンとしていくべきということで、これまでも本会議や各委員会などでも、多摩地域の産業振興等の質問を重ねてまいりました。
都は、長期戦略ビジョンの中で、ユニコーン企業の創出や、創業率、開業率の倍増ということを掲げております。多摩地域においては、仮称多摩イノベーションパーク構想として、多摩地域にある大学、研究機関、専門人材、ハイテク企業や高い技術力を有する中小企業等の集積と、国内外の先端産業やスタートアップなども融合させながら、世界有数のイノベーション先進エリアとしていくというような大きな挑戦を描いているところであります。
この挑戦におきまして、東京都立多摩産業交流センターは中核の施設でありまして、その運営は非常に重要であるというふうに考えます。先ほど、他会派の方から、都の直営であるべきというご意見ございましたけれども、ビジネスの創出、振興でありますので、むしろ民間の力をしっかりと生かしていくということが望ましいということを私及び我が会派の意見として、最初に申し上げておきたいというふうに思います。
まず、東京都立多摩産業交流センターの設置の目的、意義について、改めて都の見解を伺いたいと思います。
○土村商工部長 本施設は、多摩地域の持つ産業集積の強みを生かし、広域的な産業交流の中核機能を担うことにより、産業の振興を図ることを目的に設置するものでございます。
見本市や展示会などによる販路開拓や、大学、研究機関と中小企業とのマッチング、他の産業支援機関との連携の場づくりのほか、都域を超えた広域的な産業交流も促進してまいります。
○滝田委員 まずは基本的な意義についてご答弁をいただきました。
産業の交流と振興を図ることを目的に設置していくということでありますけれども、今後、指定管理者が正式に決定をして、具体的な事業計画やコンセプトを詰めていくという形になるというふうに思いますが、産業の交流や振興ということが具体的に新しい製品やサービスの創出、販売の増加、創業の数の増加といった形で成果に結びついていけるよう、何を目指していくのかということを、より明確化、具体化をしていくことを求めたいというふうに思います。
次に、この多摩産業交流センターが、多摩地域、八王子に立地をするということに関して伺いたいと思います。
指定管理者の候補者選定に当たり、施設の設置意義や立地特性等を踏まえ、どのような観点を重視して選定を行ったのか伺います。
○坂本次長 多摩産業交流センターでは、多くの大学、研究機関が立地をする多摩地域の特性を踏まえ、中小企業を中心とする多様な産業交流を創出し、産業の活性化につなげていく必要がございます。
このため、同交流センターの指定管理者の候補の選定に当たりましては、多様な事業者同士や事業者と研究機関の交流を効果的に後押しして産業の活性化に結びつける能力のほか、多摩エリアを中心として、自治体の区域を超えた広域的な産業交流について、計画性を持ちサポートをする取り組み内容、展示会場の運営実績などを重視して審査を行ったところでございます。
○滝田委員 多摩地域、特に八王子の立地の特性としましては、東京都心を向くだけではなくて、山梨県や埼玉県、神奈川県とそれぞれ、鉄道や中央道、圏央道などで直接結ばれているということが、非常に重要な特性であるというふうに思います。
これまで、どうしても都心との関係性ということが重視をされてきたというふうに思いますけれども、むしろ地理的に、このエリアの強みは、他県との連携の核となり得るというところであります。
そうした観点から、答弁でも、自治体の区域を超えた広域的なサポート体制ということを重視して選定をしたということを評価するとともに、都県境を超えた取り組みを含めて、具体的な取り組みに期待をしたいというふうに思います。
さて、今回、四団体の指定管理者の応募があったというふうに聞いております。応募者ごとの評価点についても、公表されている情報を拝見させていただきました。その中で、今回の候補者が最高得点をとっているということであります。
今回、指定管理者の候補者として選定された多摩産業交流センター指定管理共同企業体について、当該候補者の事業計画の概要について、どのようなものであったのか伺いたいと思います。
○土村商工部長 多摩産業交流センター指定管理共同企業体は、日本コンベンションサービス株式会社を代表団体としており、独自のノウハウを生かした事業計画の提案を行っております。
施設の運営につきましては、MICE誘致などの経験を有する人材を配置するとともに、企業、大学、研究機関のニーズとシーズをつなぐ専門職を配置し、施設の役割を踏まえた、適切かつ効率的な業務運営が遂行される体制を構築することとしております。
こうした体制のもと、民間ならではの営業力や機動力を発揮して、中小企業のニーズなどを拾い上げるとともに、多摩地域を中心として、近隣県も含め、大学、研究機関や中小企業支援団体等との連携などの取り組みを着実に進めていくこととしてございます。
○滝田委員 私からは、前回、十一月の事務事業質疑におきましても、立川にできました創業拠点、TOKYO創業ステーションTAMA、あるいは都立大学など多数の大学が多摩地域に立地をしているということを生かして、連携をしながら新たな事業やサービスを生み出していくということが、この地域の強みになり得るということを指摘いたしました。
先ほどの答弁の中にも、企業、大学、研究機関のニーズとシーズをつなぐ専門職を配置するといった事業計画の提案があったというふうにご答弁がありました。これは、ぜひ事業者には実行していただきたいというふうに思いますし、産業労働局としましても、事業者任せということではなくて、行っている他の事業と連携をしたり、あるいは、他局の所管ではありますけれども、都立大学にも連携を促すなど行いまして、主体的な取り組みを求めます。
次に、こうした取り組みの実現性という観点から質問をいたします。
応募団体の組織の能力や信用といった資質に関連する部分で、今回、指定管理者の候補者として選定されました多摩産業交流センター指定管理共同企業体がどのように評価されているのか、特に展示場等の運用実績の部分を中心にお伺いいたします。
○土村商工部長 多摩産業交流センター指定管理共同企業体の代表団体でございます日本コンベンションサービス株式会社は、国内初となるコンベンション運営会社として、国際会議や学術集会など、企画、運営などの五十年にわたる業績を有してございます。
これまで、中小企業のマッチング展示会の運営を手がけたほか、神戸国際会議場などの管理運営において、国際会議の誘致などですぐれた実績を上げている会社であると聞いてございます。
○滝田委員 今回の指定管理者候補となっている共同企業体の中核は、日本コンベンションサービス株式会社というコンベンション国内大手ということであります。その点では期待が持てるところでありますけれども、世界と比較をしますと、日本のMICEも含めたコンベンションの経験値、ネットワークというものは、まだまだ磨いていかなければいけない分野でもあるというふうに考えます。
事業者には、国内でのこれまでの経験を生かすとともに、最新の世界の状況を注視しながら、さらなるノウハウの取得や世界的なネットワークの強化というところにも尽力をしていただけるように、都からも働きかけをするよう求めておきたいというふうに思います。
また、都としての情報収集や知見の獲得ということも、ご尽力を求めたいというふうに思います。特にMICEについては、展示場スペースだけ整えればできるというものでは到底ありません。周辺の観光資源や宿泊、ミーティングスペース、テレワークのスペースといったものも含めて、受け入れ環境をハード、ソフト両面で整える必要があります。八王子市や周辺自治体との連携をして、この観点での取り組みの強化、MICE拠点の周辺環境整備について、都としてもしっかりと支援をしていくよう求めます。
応募のありました四団体で評価点の差がついたのは、最も配点が高く、民間事業者の創意工夫等があらわれる、施設の効用発揮というところが大きな差となりました。ほかには、応募団体の組織の能力や信用といった資質に関連する経営基盤、展示場等の運用実績、施設管理、事業スキームの実現性などの項目の部分であるというふうに理解をしております。
民間事業者の創意工夫等があらわれる施設の効用発揮について、具体的にすぐれていた提案内容や実現性についてお伺いをしたいと思います。
○土村商工部長 施設の機能を最大限に発揮し、地域における産業振興へとつなげていくため、指定管理者候補者が有するノウハウを生かした、施設利用者の利便性向上を図る取り組みや、指定管理者の自主事業などの提案がなされております。
利便性を高める取り組みとしましては、利用者が必ず通るエントランスホールや敷地内の共有部分などで、地域の研究開発の展示を行い、有益な情報発信を行うことにより、商談の活性化につなげるといった提案などがなされております。
また、若い発想、アイデアによる多摩地域の産業創出を支援していくため、学生などによるビジネス提案の企画なども提案されており、いずれもこれまでの実績や独自のノウハウに基づく実現性の高い提案となってございます。
○滝田委員 施設の管理運営や展示場としての貸し出しといったところのみならず、自主企画によって、みずから施設の価値を高めたりPRにつなげたりしていくというところも重要であるということかと思います。
そうしたことの提案の一つとして、先ほどご答弁にありましたが、若い人たち向けの、若手創業希望者や学生を対象にしているのだというふうに思いますけれども、ビジネスの企画提案、コンテストのようなものを想定しているのか、ちょっとわかりませんけれども、民間の発想で、ぜひ取り組んでいただければというふうに思います。
私自身の話をしますけれども、大学生時代に学生向けのビジネスコンテストを企画、運営する学生団体で活動しておりました。その際にも、単純なアイデア募集の提案ということだけではなくて、要所でプロのコンサルタントをつけながらグループワークをして、一週間泊まり込みの缶詰でプランを練り上げるといった取り組みを行っておりました。
形はさまざまあると思いますけれども、実際のビジネスの実現につなげるために、アイデア出しにとどまらず、ノウハウの習得やネットワークにつなげたり、実際にやってみるリスクテークを促進するなどの支援につなげていくということが重要であります。
ぜひ、これから民間の事業者とともに企画を練り上げていくということになるというふうに思いますけれども、そういった観点からも支援ができるように、あるいは企画が詰めていけるようにお願いをしたいというふうに思います。
こうした取り組みについて、成果を評価していくことで、民間事業者がより工夫を進め、事業の効果を高めていくということを進めていかなければいけません。今後、事業実施段階の際に、施設の回転率、創業や大学、企業等との連携実績、MICEの誘致実績などの成果を見ていく必要がありますが、当該指定管理者の取り組みをどのように評価していくのか、方針を伺います。
○土村商工部長 指定管理者の取り組みにつきましては、毎年度評価を行いまして、その結果を管理運営業務に反映させるPDCAサイクルを構築することで、より一層のサービス向上を図ってまいります。
外部有識者で構成されます指定管理者評価委員会の設置などにより、施設の設置目的や指定管理者が果たすべき役割などを踏まえ、例えば施設の稼働状況や利用者の満足度など、管理運営状況に関する評価項目を複数設定して評価を行います。
こうした取り組みによりまして、指定管理者による管理運営のさらなる改善へとつなげていくこととしてございます。
○滝田委員 今回、質問といたしましては、成果のアウトプットの側面の方を質問いたしましたけれども、最初の質問でも申し上げましたが、具体的に新しい製品やサービスの創出、販売の増加、創業の数の増加といったことにつなげる必要がありまして、そうした政策のアウトカムの成果についても評価ができるよう、難易度は高いのですけれども、分析の仕組みをしっかりと構築することも求めておきたいというふうに思います。
次に、最後の質問をいたしますけれども、多摩産業交流センターは、JR八王子駅からも京王線京王八王子駅からも徒歩五分のところにございます。
以前、おととしの私の質問でも、この観点を取り上げましたけれども、地域とのかかわりが不可欠の場所であります。六月の当委員会においても、我が会派のおじま都議からも、改めてその点を指摘させていただきました。
八王子駅、京王八王子駅至近の中心市街地であることから、産業振興のみならず、周辺地域との連携によるにぎわい等、さまざまな観点で、まちの核として機能することが求められますが、地域での多様な取り組みとどのように連携していくのか伺います。
○土村商工部長 指定管理者候補者からは、地域の交流促進に寄与するため、地元でのイベントへの積極的な協力や、自主企画として、多摩地域の食などの魅力を発信するイベントの開催などが提案されております。
施設の運営に当たりましては、地元の方々の理解を得ながら、地域活性化に貢献するとともに、多摩地域の各自治体や近隣県とも連携を図ることが重要でございまして、こうした視点も重視しつつ、施設の開業に向けた準備を着実に進めてまいります。
○滝田委員 八王子や多摩地域には、さまざまなお祭りであったりとか、あるいは歴史、文化的な資源、イベントがございます。ぜひ活用ができるよう、協力をお願いしたいというふうに思います。
また、大田区でやっているオープンファクトリーというもののように、町工場等をまちに開いていく取り組みについても、多様な事業者の集積する多摩、八王子で目指していくべきというふうに考えております。
今回、産業交流センターを核としまして、さまざまな取り組みがさらに広がって、センター内のみならず、内外で新たな取り組みに発展していくということを促していただきたいというふうに思います。
ポストコロナの時代も見据えた、真の多摩地域の産業振興を実現していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。