令和二年十一月五日(木曜日)
○滝田委員 今回から経済・港湾委員会の委員となりましたので、一年間よろしくお願いいたします。
私の大学時代の専攻は、都市計画、まちづくりでありましたので、これまで三年間担当してきました都市整備委員会、あるいは環境・建設委員会の事業、まさに専門に近い領域でありました。両委員会でも申し上げてきましたけれども、これまでの都市化の流れの中で、いわば犠牲にされてきた水辺、緑、空、こうしたものを都市に取り戻す、人の手に取り戻す転換点に来ているというふうに考えております。その観点から、さまざま質疑を重ねてまいりました。
港湾局におきましても、臨海部におけるヒューマンスケールのまちづくりへの転換、特に水辺を生かすまちづくり、舟運の活用の加速など、重要な役割を担っていただいておりまして、都市整備局や関係各局と連携して取り組むことを期待いたしております。
初めに、臨海部の都市づくりについて伺ってまいります。
臨海副都心は、ヒューマンスケールではないまちとなってしまっているといった指摘、かつて私が大学で学んでいたころには既にいわれておりました。
臨海副都心が計画された当初と時代や価値観が変わり、大規模で車が中心のまちではなく、人が住み、働き、憩うといったことにおきまして、人間の目線や大きさに合わせて居心地のいい空間や歩ける回遊性の高いまちをつくるべきであると、一般的にまちづくりの基本的な考え方が変わってまいりました。
臨海副都心において、今後のまちの更新や機能強化もしていく上で、あるいは新規に開発するエリアにおいて、ヒューマンスケールの観点から、回遊性の向上、新たなモビリティーの活用、用途の混合などを実現していくべきであります。また、新技術の実現で、東京全体をリードする取り組みも実現していくべきであります。
中長期での臨海副都心の都市づくりにおいて、ヒューマンスケールなまちづくりを目指していくべきと考えますが、現在の都市についてどのような課題認識をし、今後取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 臨海副都心は、シンボルプロムナード公園を中心とした大規模な区画によるまち並みを整備し、現在では、ビジネス、観光でにぎわうまちに発展しております。
一方、道路、公園などの公共空間を十分にとっていることから、建物間の距離が離れ、エリア内の移動が不便といった声もございます。
今後、商業、観光施設やコンベンション施設などが集積しているまちの強みをさらに伸ばし、にぎわいを活性化させるためには、エリア内の回遊性を向上させていく必要があると認識しております。
○滝田委員 今、回遊性を向上させていく必要があるといった認識を示していただきました。
一方で、有識者や民間事業者などの話を聞きますと、臨海副都心では、さまざまな制限がかなり細かく定められているということで、新たなニーズに合った魅力的なまちづくりをしにくい硬直性を生んでいるのではないかというふうなこともいわれております。
容積や高さの制限、用途の制限などが細かく設定されており、統一的なまち並みを形成している一方で、近年のまちづくりでは重要とされている用途を混合させることでの魅力づくりなどが行いにくいという指摘もありますけれども、見解を伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 これまで臨海副都心は、計画に基づき、職、住、学、遊のバランスのとれたまちづくりを進め、にぎわいのあるまちとして発展してまいりました。
一方、都内各地で大規模な再開発等が行われていく中、引き続き臨海副都心が東京の持続的な成長を牽引していくためには、民間の発想を活用し、今後の時代の変化に柔軟に対応できるまちづくりを進めていくことが必要と考えております。
○滝田委員 都市間競争であったり、答弁にありましたけれども、都内の中でも新規の再開発地との競争という面もございます。臨海副都心を初めとする副都心を戦略的にバージョンアップしていくことは重要な課題であるというふうに考えております。
今後、より魅力的なまちづくりに向けて方針を定めて、きょう明確には答弁なかったというふうに思いますけれども、柔軟に容積率や用途などを検討していくことを強く要望したいと思います。
また、開発ポテンシャルのある未利用地として、青海や有明北地区などもあります。東京二〇二〇大会後を見据えて、どのようなまちづくりを行っていくのか、今後検討していく上でも、回遊性を高める工夫というものは重要であるというふうに考えます。歩きやすく、歩いて楽しいまちを形成するとともに、新しい技術の活用も図るべきであるというふうに考えております。
臨海副都心においては、高規格の道路網や都有地も多く、自動運転やパーソナルモビリティーといった新たなモビリティーなど、先端技術を社会実装していく上での適地であるというふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 臨海副都心の魅力をさらに高める上で、歩いて楽しいまち並みの整備や自動運転を初めとする新たなモビリティーの導入は、来訪者の回遊性を向上させ、まちのにぎわいを活性化することができる取り組みとして期待されております。
都では昨年度、域内交通の円滑化を見据えて、臨海副都心における自動運転の事業スキームに関する検討調査を実施したほか、国においても、今年度、自動運転の実証実験が行われるなど、自動運転の社会実装に向けた取り組みを展開してきております。
一方、自動運転をまちに実装していくためには、法令の整備や、さらなる技術開発の必要性に加え、安全性や事業性の確保など、さまざまな課題があるため、引き続き国や民間企業等の動向も踏まえながら、これらの課題を整理し、実装に向けた取り組みについて検討してまいります。
○滝田委員 実装に向けた取り組みを進めていきたいということで、力強い答弁をいただきました。ありがとうございます。
先端技術の実現ということで続けて伺いたいというふうに思いますが、ドローンによる物流であったり、あるいは空飛ぶタクシーなど、空の活用についても、臨海部で社会実験をするなど、推進していくべきだというふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 臨海副都心では、シンボルプロムナード公園でのセグウェイや自動運転の走行など、さまざまな最先端技術の実証実験を行っております。
昨年度は、臨海副都心で開催された東京モーターショーにおいて五百機のドローンによる編隊飛行の実証実験が行われました。
実施に当たっては、会場となったシンボルプロムナード公園において、公園利用者の安全確保のため、警備員配置や通行制限の措置を講じた上で、多くの来訪者にドローン飛行とともに展開された光と音のショーを楽しんでいただいたところでございます。
こうした実証実験は、臨海副都心の強みであるショーケース機能をまちの魅力として引き伸ばしていくことにつながるものであり、引き続き最先端の実証実験を展開してまいります。
○滝田委員 先ほどのモビリティーにつきましても、空の活用ということにつきましても、実証実験から実装の段階へと今後進んでいくためにも、技術面のショーケースというだけではなくて、規制の緩和、あるいは関係者間の調整などにおいても、他の地域に先駆けてモデルとなっていくということを進めていくよう求めておきたいというふうに思います。
さて、冒頭で述べましたけれども、水辺を生かすまちづくりにおいて、港湾局の役割は大変重要であるというふうに考えております。
にぎわいや人が集う空間を水辺に向けて創出をし、また、それらが連続的につながり、あるいは舟運でつながっていくなど、水辺に顔を向けたまちづくりが臨海部で集積するように取り組んでいくべきだというふうに考えております。
港湾局は、東京二〇二〇大会で活用される選手村エリアのまちづくりにおいて、水辺の空間づくりを担っておりますけれども、どのような考え方のもとに取り組みを進めてきたのか伺いたいというふうに思います。
○中村臨海開発部長 大会時に選手村の一角として利用される晴海ふ頭公園は、大会後に生まれる新たなまちの住民を初め、地域の人々がレインボーブリッジなど、水辺の風景を楽しみながら憩える空間となることを目指し、公園の再整備を行ってまいりました。
さらに、再開発事業エリアの南側に、新たな晴海緑道公園、約三・六ヘクタールを整備することにより、先ほどの晴海ふ頭公園とあわせて、このエリアの歩いて楽しめる水辺空間の拡充を図ったところでございます。
今後も良質な水辺空間の創出を通じて、臨海地域の魅力向上に取り組んでまいります。
○滝田委員 晴海の整備におきまして、水辺空間の創出に力を入れていくということがわかりました。
例えば、建設局の所管ですけれども、河川や橋の活用、あるいは、港湾局の所管でもあると思いますが、運河であったり、ふ頭の魅力づくり、海上公園の活用など、東京湾の湾の中をぐるっと魅力的な空間をつなげていけるように今後方針を定めて、水辺の空間を生かしたまちづくりということを、取り組みを重ねていただくことを求めたいというふうに思います。
一方、海上公園の魅力向上については、民間活用の観点で取り組んでいく必要もあるというふうに考えております。
近年、民間の知見を生かした公園活用というものが、海上公園だけではなくて公園全般におきましてですけれども、重要なテーマというふうになっておりまして、私も一般質問等でもさまざまこのテーマについて取り上げてまいりました。全国を見渡しても、魅力的な空間と機能を持った公園が民間の知見を生かして生まれてきているというような状況にあります。
そのような中で、条例設置の海上公園においても、民間の提案を積極的に活用したにぎわいづくりを行っていくべきであるというふうに考えますが、現在の取り組み状況と今後の方針について伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 海上公園における官民連携の取り組みについてですが、都は、平成二十九年に海上公園ビジョンを策定し、民間事業者との連携を行うなどし、地域ニーズへの対応とにぎわいの創出に取り組んでいくことといたしました。
この方針に基づき、事前のヒアリングにおいて民間事業者から最も関心の高かった晴海ふ頭公園で官民連携施設の事業者を公募いたしました。その結果、飲食の提供だけでなく、コワーキングスペース、地域コミュニティ活動拠点、交流イベントなど多彩な利用に対応するカフェを提案した事業者を選定し、本年九月に公表したところです。
今後も、海上公園の魅力を高めていくため、民間事業者からの幅広いアイデアを取り入れながら、官民連携施設の導入の拡充を進めてまいります。
○滝田委員 海上公園における官民連携施設の導入ということで、第一弾というふうに理解をしておりますけれども、期待をしたいと思いますし、ほかの海上公園での民間連携の取り組みへの展開を求めたいというふうに思います。
また、より一層、民間のアイデアを幅広く取り入れていく方策としまして、民間施設の単純な導入というだけではなくて、指定管理のあり方にもかかわってまいりますけれども、今後、公園の企画運営も含めた民間提案を受け入れられるように検討することも求めたいというふうに思います。
次に、舟運の復興に向けた取り組みについて伺いたいというふうに思います。
先ほど、臨海部における水辺を生かしたまちづくりについて質問をいたしましたが、魅力的な水辺空間を都民や来訪する方々が楽しめる環境としても、また、今後は日常生活における移動の手段の一部としても、舟運の活用は重要であるというふうに考えます。私も都市整備委員会等でも取り上げてまいりました。
一方、これまでも、我が会派、都民ファーストの会東京都議団では、モビリティ政策研究会を設けて、その中でも特に舟運について注力して取り組んでまいりました。本年、令和二年予算特別委員会などにおいても、会派としてさまざまな角度から舟運について質疑をさせていただきました。
舟運が観光だけではなく日常的な移動手段として定着していくための取り組みや、今後も舟運を活性化し水辺の魅力を復活させるためにも、東京二〇二〇大会時こそ絶好の機会であるとして、今年度の新たな取り組みを求めてまいりました。
その後、新型コロナウイルス感染症の拡大や大会の延期となってしまいましたが、東京の競争戦略の一つとして、水辺を生かしたまちづくり、舟運の活用、定着が重要であることは変わりがないというふうに考えます。しかしながら、目下のところ、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けまして、舟運の利用客は大幅な減少が続いておりまして、屋形船などを運航する舟運事業者は大変な苦境に置かれております。
舟運を担う事業者の基盤が大きく揺らいでいる状況にあるということでありまして、こうした状況に対して、我が会派では、新型コロナウイルス感染症の影響により売り上げが大幅に減少するなど深刻な影響を受けている舟運事業者などから寄せられた要望を踏まえて、都に対して積極的な支援を強く求めてまいりました。
そこで、舟運事業者への支援として、都はどのような取り組みを行っているか、改めて確認として伺いたいというふうに思います。
○戸井崎港湾経営部長 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によりまして、舟運の利用客数は大幅に減少しておりまして、舟運事業者は厳しい経営状況にあるものと認識しております。
このため、都は、現在、屋形船等を係留する水域の占用料や港湾局の施設使用料の支払いが一時的に困難になった事業者等を対象といたしまして、支払いを最長で一年間猶予する措置を実施しております。取り組みを開始した本年の四月から九月末までの半年間において、支払いを猶予した事業者の数は全体で三十事業者、金額は約一億六千五百万円となっておりまして、うち舟運事業者の数は十一事業者、金額は約一千五百万円となっております。
また、本年七月には、ウエブを通じて船着き場の利用予約を行う舟運事業者を対象といたしまして、利用料金を半額に引き下げるとともに、乗船客から人気の高いお台場海浜公園の新たな桟橋の供用開始を、当初予定していた本年秋ごろから夏休みが始まる七月末に前倒しをするなど、舟運事業者のニーズを踏まえた取り組みを実施したところでございます。
○滝田委員 ただいま答弁のありました占用料等の支払いの猶予は、我が会派からも強く要望していたものでありまして、最長一年間猶予するという港湾局の対応を高く評価したいというふうに思います。
また、船着き場の利用料金の大幅な引き下げやお台場船着き場の新たな桟橋の前倒し開放など、舟運事業者からも強く要望されていたものと聞いておりまして、これらに適切に対応した取り組みを評価したいというふうに思います。
新型コロナウイルス感染症の終息がまだ見えない中で、依然として多くの事業者が厳しい資金繰りを強いられております。今後の感染症の状況によっては、特に占用料等の納付猶予をさらに延長していただくことも要望しておきたいというふうに思います。
一方で、舟運の復興に向けては、何よりも舟運を安全に利用していただける環境を整えることが重要でありまして、徹底した感染症対策が求められるところでございます。
特に、屋形船については、ことし二月の感染拡大の初期のころに利用客などの感染が確認されたことでイメージが悪化してしまい、誤った風評被害が広がってしまったというところもございます。
舟運事業者の話によりますと、こうした風評被害を払拭するために、船員のマスク着用や船内の徹底した消毒、あるいは換気、大皿での料理提供の中止などの対策に努めているということであります。
一方で、新型コロナウイルス感染症対策は、船内だけではなく、乗客が乗船前後で利用する船客待合所においても徹底していくということが重要だというふうに考えます。
そこで、船客待合所における感染症対策として、どのような取り組みが行われているのか伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 多くの方に舟運を安心してご利用していただくためには、船内だけでなく、船客待合所においても徹底した感染症対策を実施していくことが重要でございます。
このため、船客待合所では、待ち合い中及び乗下船時における乗客同士の間隔の確保や施設内の換気、設備等の定期的な消毒など、感染拡大防止に向けた取り組みを実施しております。
さらに、感染リスクをお知らせするサービスを導入し、万が一、新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した場合には、同一時間帯に利用していた乗船客等へメールにより通知することとしております。
今後も都は、舟運事業者等と連携し、こうした取り組みの徹底を図ることで、多くの人々が舟運による船旅を安心して楽しめる環境を整備してまいります。
○滝田委員 繰り返しとなりますけれども、舟運の復興に向けては、舟運を安全・安心に利用してもらえる環境を整備していくということが極めて重要でありまして、答弁にもございましたけれども、今後もこうした感染拡大防止の取り組みを一つ一つ着実に実施していただくことを求めておきたいというふうに思います。
一方、こうした感染症対策がしっかりと取り組まれているということを多くの人々に知ってもらうことに加えて、舟運の魅力や楽しさを改めて多くの人に認識してもらわなければ、舟運の利用客数の回復にはつながらないというふうに思います。
こうした観点から、我が会派からは、舟運を幅広くPRするとともに、風評被害の払拭等につながる取り組みの実施を要望してきたところであります。
そこで、都は、イベント等と連携をし、東京の水辺の魅力を存分に楽しめる船を企画、運航し、多くの人に乗船していただける機会を設けることで、舟運の魅力と安全性を積極的にPRしていくべきだというふうに考えますが、都の見解を伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 多くの人々に広く舟運の安全性をPRするとともに、舟運の楽しみや魅力を改めて認識していただくためには、船着き場周辺で開催されるイベントに合わせて企画船を運航することが有効でございます。
このため、都は、ご指摘も踏まえ、今年度、日の出ふ頭Hi-NODEやお台場海浜公園で開催されるイベントに合わせ、舟運のPRに資する企画船を運航いたします。
具体的には、Hi-NODE芝生広場で開催される音楽イベント等に合わせて、日の出ふ頭を発着し東京港を周遊する船を運航いたしますとともに、毎年多くの人に楽しんでいただいているイルミネーションアイランドお台場の開催時に臨海副都心の夜景を楽しめる船を運航いたします。
さらに、本年九月に開業した東京国際クルーズターミナルにつきましては、今後、都民向けの見学会の開催を予定しておりますが、この見学会に合わせ周遊船を運航する予定でございます。
都は、こうした企画船の運航を通じまして、多くの人々に舟運の安全性や魅力を認識していただくことで、舟運の利用客の回復につなげてまいります。
○滝田委員 感染症の拡大防止と経済活動や日常生活を両立させていくウイズコロナの局面にある中で、出おくれている舟運利用について、回復に向けた転換点となるメッセージ性のある企画というのは重要であるというふうに考えています。
都は、今、答弁にありましたけれども、舟運事業者への支援や利用客数の回復に向けた施策を、情報発信や企画なども含めて積極的に進め、舟運の復興が早期に実現するよう、しっかりと取り組んでいただきたいということを求めます。
東京は水の都でありまして、特に屋形船は江戸情緒を今に残す極めて重要な観光資源であるというふうに考えます。今年度実施ができなかった二〇二〇大会との関連事業については、来年度取り組みができるように検討を求めたいというふうに思います。
また、新型コロナウイルス感染症が終息した後には、改めて舟運の活性化に全力を注いでいただいて、舟運を東京の伝統的な文化や新たな魅力としても国内外に積極的に発信していただくことを強く要望いたしまして、次の最後のテーマに移りたいというふうに思います。
最後に、港湾の国際競争力について伺ってまいりたいというふうに思います。
私自身、三年前、都議会議員になるまでは商社に勤めておりまして、さまざまな貿易、物流を担っておりました。北米、南米、欧州、アフリカまで、さまざまな貿易で東京港を利用させていただいておりました。実感としまして、正直、直行便が減ってタイムリーな物流が難しくなってしまった、あるいは、直行便ではないためにトラブルがふえて商機を失ってしまうといったような経験もしております。
こうした経験がありますので、改めて今回、国土交通省が取りまとめをしている資料、国際コンテナ戦略港湾政策というものがありますけれども、確認をさせていただきました。我が国に寄港する欧米基幹航路の便数というのは減少が続いているということがこの資料からも確認をできました。
京浜港における寄港便数は、一九九八年に週五十二便であったものが、二〇〇八年には週四十便、二〇一八年には週二十三便まで減少をしております。
二〇〇〇年代前半には既に上海や釜山などにハブ機能として港湾の能力的には大きく水をあけられておりましたけれども、そこからさらに十数年が経過をいたしまして状況が悪化しているというふうに考えております。
基幹航路の寄港が減ることによりまして、コストの増加に加えて、輸送日数、つまりリードタイムが大きくなることが、我が国の各産業の競争力に深刻な影響を与えているのではないかというふうに考えます。
欧州から日本の間の航海所要日数はおおむね三十日程度ということでありますが、直行ではなくて経由をすることによりまして、五日程度この日数が増加をすることになります。
例えば、在庫を余分に持たなければならなくなれば、キャッシュ・フローの負担もふえます。新規のビジネスや需給変動に機敏に対応することも難しくなります。こういったことが重なりますと、輸出入全般の産業の競争力低下、ひいては雇用環境も含めた経済の悪化要因になるというふうに捉えております。
東京、そして日本の国際競争力を高める上で、港湾の競争力は非常に重要でありますが、競争力を高めるために、特にコストの削減や輸送時間の短縮に向けてどのような取り組みを行ってきたのか、また、今後の課題について認識を伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 東京港の国際競争力を高めるためには、船会社や荷主のニーズに的確に対応したサービスを提供し、使いやすい港としていくことが重要でございます。
このため、都は、大型船にも対応できるふ頭の整備を進めるとともに、荷役機械の更新等を行うことにより、貨物処理能力の向上を図ってまいりました。
また、東京港への入港を促進するため、一定の大きさを超えるコンテナ船の入港料の減免や新たに開設した航路の初回入港料の免除を行ってまいりました。
さらに、京浜三港を連続して寄港するコンテナ船の入港料について減免を行っているところでございます。加えて、ふ頭周辺における交通混雑を緩和させるため、我が国初となるコンテナターミナルのゲートオープンの時間の延長を実施しております。
こうした取り組みの結果、東京港のコンテナ取扱量は増加が続いておりまして、平成二十九年には我が国の港湾で初めて五百万TEUを突破するなど、多くの船会社や荷主に利用され続けております。
今後も東京港が選ばれる港であり続けるためには、ふえ続ける貨物に適切に対応し、効率的な港湾物流を実現するための取り組みを進めていくことが必要であるというふうに認識しております。
○滝田委員 さまざま取り組みをご説明いただきまして、取扱量も国内の記録を更新してきたというご説明でございました。このこと自体は、これまでのご努力、取り組みを高く評価したいというふうに思いますけれども、しかしながら、世界の物流環境ということを見ますと、コンテナ船を含む船舶の大型化というものは近年ますます進んでおりますし、競争相手である世界の主要な港もさらに投資を行って競争力を高めているという状況でございまして、戦略の再構築というのが必要ではないかというふうに考えます。中でも、港湾の自動化、AI活用のおくれは深刻であるというふうに捉えております。
国土交通省の資料によりますと、世界のコンテナ取扱個数上位二十港のうち、既に十三港が自動化を導入済みということでありますが、日本の港ではいまだ実証実験や検討をしている状態にとどまっているということであります。
自動化にも段階がありまして、第一段階として、テナークレーン等の遠隔操作の導入、第二段階は、ヤード内を自動化すること、第三段階は、ガントリークレーンも含めてターミナル全てを自動化するというふうに整理をされておりますが、世界では上海やロッテルダムなど既に複数の港湾がこの第三段階の完全自動化を実現し、コンテナ船からの荷おろし、ヤード内での積みおろし、トラックでの搬出、倉庫への輸送まで全て自動化がされているというふうに聞いております。
本来、自動運転化やAIの活用は、おくれていた東京港がその地位を向上するためのラストチャンスの転換点であるというふうに私は捉えております。
加えて、例えば釜山新港では、用地価格、賃貸料の低廉化、手厚い税制優遇策等によって流通加工系企業を誘致するなど、港湾の後背地まで含めた効率化を実現するよう取り組みを強化しています。
先端産業や製造業を中心とする輸出産業はもとより、輸入増大にも対応した流通加工系企業の臨海部への誘致を図り、我が国のロジスティクス、ハブ機能を強化する必要があるというふうに考えます。
また、圏央道沿線の物流拠点の活用など、保税輸送や内陸での税関処理など、内陸部も含めた物流戦略が本来は必要であるというふうに考えております。
そうした観点から、私は三年前の都市整備委員会におきまして、十年間更新されていない東京都の物流戦略を更新するべきだということを指摘しておりますが、港湾局主導でぜひ検討すべきではないかというふうにご提案を申し上げます。
また、貿易手続の自動化、電子化も取り組みを加速するべきというふうに考えます。我が国経済の国際競争力を強化し、雇用と所得を維持、創出していくためにも、船舶の大型化への対応のみならず、後背地や内陸も含めた物流の最適化、港湾の自動化、手続の電子化などの抜本的な取り組みにより、東京港を世界で戦える港に転換しなければなりません。
港湾戦略、物流戦略を刷新し、早期に具体的な実現に取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。
○山岡港湾整備部長 これまで都は、国内の港湾では最も早くからコンテナふ頭の整備を進めるとともに、船舶の大型化に対応できるよう、ふ頭の大規模改良を実施するなど、港湾物流を取り巻く環境変化に適切に対応し、東京港を国内最大のコンテナ貨物取扱量を誇る港へと成長させてまいりました。
その一方で、輸入貨物の急激な増加により、施設能力の不足や、ふ頭周辺での交通混雑の発生が依然として大きな課題となっており、港湾施設のさらなる整備や物流の効率化が強く求められている状況でございます。
こうした課題に適切に対応していくに当たっては、新たなふ頭の整備や、ふ頭背後地の効率的な活用などに加え、AI、IoTなどの最先端技術を活用した物流の効率化や港湾手続の電子化等の幅広い視点から施策を検討していく必要がございます。
このため、都は、有識者を交え、最先端技術の活用を含む、おおむね二十年先を見据えた施策の方向性を長期構想として来年度中に取りまとめる予定でございます。
今後は、この長期構想に基づく取り組みを積極的に進め、東京港をさらに進化させてまいります。
○滝田委員 私が貿易の仕事をしていた初期のころ、十数年前、二〇〇〇年代前半から後半にかけてでありましたけれども、日本の港湾の競争力が落ちており、国として国際競争力の高い港湾をつくっていくといった議論が既にあったというふうに記憶をしておりますが、その後の状況としては芳しいものではないと私は認識をしております。
今般、AI、IoTなどの最先端技術の活用や港湾手続の電子化等についても検討していくという形で答弁をいただきました。今回の取り組み、ラストチャンスであるとの危機感を持ちまして取り組んでいただくように強く求めまして、私からの質問を終わりたいと思います。