○滝田委員 私からは、東京における自然の保護と回復に関する条例施行規則の改正、中間まとめについてお伺いをしたいというふうに思います。
私の地元八王子市におきまして、三年前、平成二十九年に、土砂崩落事故が発生をいたしました。その原因は、建設残土の盛り土におきまして、事業者の安全対策が不十分であったことによるというふうに聞いております。
さらには、事業者が不在となりまして、責任を果たせない状況の中で、最終的には、都が代執行により、道路の復旧や安全対策の処理をしたというふうに理解をしております。
不適切な事業者により、都民の安全が危険にさらされて、道路が不通となっただけではなく、都税によって後処理をしなければならない、このような事態は今後避けなければなりません。
まず初めに、東京における自然の保護と回復に関する条例、いわゆる自然保護条例につきまして、条例を定めている意義及びその対象についてお伺いをいたします。
○近藤自然環境部長 東京における自然の保護と回復に関する条例、通称自然保護条例は、昭和三十年代後半からの高度経済成長による急速な都市化と開発によって自然破壊が問題となった大都市東京において、失われた自然を回復し、保護していくために、昭和四十七年に制定され、翌四十八年から施行されたものであります。
自然保護条例の主な内容といたしましては、都内に残された貴重な自然地の保護と回復を図るために、地域を指定して行為制限を行う保全地域制度や、今回の規則改正の対象としている一定規模以上の自然地を含む土地の形質を変更する開発行為に対し、知事の許可を求めることで自然の保護と回復を図る開発許可制度でございます。
平成十三年度からは、ヒートアイランド現象の緩和などのために、建築物の屋上緑化などの緑化計画書の届け出を義務づける緑化計画書制度を規定するとともに、開発許可の対象に土砂等の埋め立て、盛り土事業が追加されております。
○滝田委員 そもそも自然を保護する観点から、既に高度成長期の昭和四十年代から、都で条例を定めて取り組んできた、このことは評価されるべき事柄であるというふうに思います。
また今後、東京においても人口減少の時代を迎えますけれども、都内に残っている貴重な緑や自然を適切に保全していくべきであります。そうした観点からも一層重要な条例であるというふうに認識をしております。
先ほど答弁にもありましたけれども、土砂埋立事業も自然保護条例の開発許可の対象となっているにもかかわらず、なぜ平成二十九年十月の台風二十一号の影響で、残土処分場からの土砂崩落事故が八王子市で発生してしまったのか。また、自然保護条例以外の他法令の適用を受けなかったのかについてお伺いいたします。
○近藤自然環境部長 八王子市で発生した土砂崩落事故のあった残土処分場は、建築物の建築等を目的としないため、都市計画法の開発許可の対象となりません。
また、開発面積や開発地域の関係で、森林法の林地開発許可や宅地造成等規制法の工事の許可の対象外であり、市の土砂埋立事業等に対する規制条例の対象ともならず、自然保護条例のみが対象となっておりました。
一方、自然保護条例の開発許可の基準につきましては、これまでは自然の保護と回復の視点が中心であるため、都市計画法の開発許可等の基準に比べると土砂災害未然防止等の点で不十分でありました。
こうしたことから、近年増大化する台風の影響等による土砂崩落を未然に防ぐことができなかったものと考えられます。
○滝田委員 今答弁ありましたけれども、少し細かいので、質疑はいたしませんが、私の理解としましては、自然地で、かつ宅地造成工事規制区域とされていない一ヘクタール未満の敷地において、例えば残土処分や資材置き場など、建築物を建てるわけではない目的の場合において、他法令ではカバーし切れていないというふうに理解をしております。
そうした場合において、敷地面積千平米以上が対象ではありますけれども、自然保護条例の開発許可だけが事業者に適切な事業を促すとりでとなっているというふうに理解をしております。
こうした場所が都内全域で必ずしも多いわけではないというふうに思いますけれども、まさに私の地元の八王子市、あるいは西多摩の地域におきましては、市街地と郊外部の際になるようなエリアということで、こういった場所というのが重要な話というふうになっておりまして、場合によっては、不適切な事業者が法令等の抜け穴をついてきかねないという話であるというふうに思います。
平成二十九年に八王子市で発生をしました土砂崩落事故の案件においては、まさに〇・七ヘクタールの規模、ちょうど宅地造成工事規制区域を外れている地域ということでありまして、都市計画法などの他法令の適用を受けないケース、かつ先ほど答弁がありましたけれども、自然保護条例の基準も土砂災害防止の観点からは、都市計画法に比べて不十分であったということであります。
今回の改正では、自然保護条例の安全面の基準をどのように改正しようとしているのかについて、八王子市の件も引き合いにお伺いをいたします。
○近藤自然環境部長 自然環境保全審議会の中間のまとめでは、条例の開発許可の基準を都市計画法等の開発許可の基準と同様なものになるように改正すべきであるとされております。
具体的には、盛り土等を行う地盤の改良や盛り土の安定のための措置、地下水の処理や崖面の保護、擁壁や堰堤、排水施設の構造といった安全のための施設等の基準について、これまでより詳細に規定すべきとされております。
特に八王子市で発生した土砂崩落事故のあった残土処分場のように、盛り土ののり高が十八メートルを超える場合等には、事業者は専門家等、知事が指定する複数の者の意見を聞いた上で計画を策定し、その計画が土砂崩落等による被害等が生じるおそれのないものであると知事が認める場合に許可するように設定すべきであるとされております。
こうしたことを踏まえ、基準の改正を行う予定であります。
○滝田委員 私も現地を見ておりますけれども、八王子市の事例においては、のり高は十八メートルを優に超えていたかというふうに思います。
今回の改正におきまして、都市計画法と同水準の基準となれば、高さを下げなければならなくなりまして、それ以外にも安全性確保のための工法や、施設等の基準が適用されるようになるということでありました。審議会の答申をもとに自然保護条例の強化を迅速にお願いしたいというふうに思います。
さて、条例の開発許可の基準を都市計画法等の開発許可の基準と同様なものとなるように改正する方針とのことでありますけれども、八王子市で発生した土砂崩落事故の例を教訓としまして、開発許可後も事業者が責任を持って対応しなければ十分ではないというふうに考えます。
こうした事業者の信用という観点で今後どのように対応していくのか、お伺いをいたします。
○近藤自然環境部長 中間のまとめでは、申請者の資力、信用や工事施工者の能力といった事業者の能力についても、開発許可の基準として規定すべきとされております。
また、事業前の事前審査だけでなく、既に事業に着手しているものも含めて、事業を計画どおり執行させるため、定期的に切り土、盛り土の出来高、施工状況の報告を行うことを許可条件に追加したり、適切な監視指導を行うための新たな指針を策定することが望ましいとされております。
現在、中間のまとめについて都民の意見を募集しているところでありますが、今後、審議会の答申を踏まえて規則改正等を行い、事業を行う前も、事業の実施中も適切に行政が関与していくことで、自然地における土砂災害の未然防止策に取り組んでまいります。
○滝田委員 近年、豪雨災害等が増大しております。昨年の台風十九号でも、地元の八王子市内で、この平成二十九年の崩落箇所に近い場所も含めまして複数の土砂崩落などが発生をしております。
自然保護の観点に加えまして、都民の安全を守る観点でも、今回のような事故が起こらないように条例の迅速な改正と、特に今後の残土処分などの事業におきまして、不適切な事業者による不適切な事業が行われることのないように、適切な対応を強く求めておきます。
以上で質問を終わります