○滝田委員 葛西臨海水族園に関しての陳情三件について一括して質問をさせていただきます。
本年第一回定例会で葛西臨海水族園事業計画検討会の検討結果が報告案件となっておりましたことから、三月十八日の当委員会におきまして、私の方からも細かく質疑をさせていただきました。
その際に、今後、都でも人口減少が見込まれ、インフラの老朽化対策など財政負担も見込まれる中で、都立の施設においては、公益性とともにコスト面も含めて総合的に考えざるを得ないということを指摘させていただきました。
また、水族園を更新していくに当たっては、運営の効率性、安全性や、省資源、省エネルギーであること、生物の生育環境も水族園には重要な要素でありまして、多角的に評価していくことが重要であるということも指摘をさせていただきました。
こうした観点から、総合的、多角的に事業を精査し、多額の公費を投じることに都民が納得できる形で進めることを改めて求めておきます。
また、水族園だけではなく、葛西臨海公園全体としてどのようにあるべきか、そのあり姿を描くことは、整備効果を最大化するためにもとても重要でありまして、その点についても強く要望をしてまいりました。
水族園だけではなく、葛西臨海公園全体としてどのようにあるべきか、今後、水族園の更新を進めようという取り組みの中でどのように考えていくのか、見解をお伺いいたします。
○根来公園計画担当部長 葛西臨海公園一帯は、ラムサール条約湿地に登録された葛西海浜公園を含め、自然環境の面で大きなポテンシャルを持っております。公園を訪れる多くの方々が海や生き物の多様性を感じながら楽しめるよう、この豊かな自然環境を生かしていくことが重要でございます。
今後、自然生態系保護の観点に立ち、新たな水族園の整備や管理とともに、花の名所や東京湾を一望できる広大な景観なども生かしまして、葛西臨海公園の周辺環境全体の魅力向上を目指してまいります。
○滝田委員 生物多様性の観点や東京湾との一体的な景観など、葛西海浜公園を含めた自然のポテンシャルはより一層生かしていただきたいなというふうに思います。
加えて、公園全体として、にぎわいであったり、あるいは収益を上げられる部分ということについても強化をしていただくことで、来訪者や地域のより多くの方々に付加価値の高い公園としていくことが重要だというふうに考えます。
また、カヌースラローム会場も隣接しておりまして、大会後の活用ということを見据えた公園づくりということも必要であります。
こうした観点から、水族園だけではなく、葛西臨海公園全体としての価値を高めていけるよう、あり姿を描くことを求めておきたいというふうに思います。
さて、今回の陳情の中にも、水族園の新設による更新を進めた場合において、既存施設の保全、活用についての要望がございますけれども、私の三月の委員会においても、この点については質疑、要望させていただきました。
その後検討が進んでいるというふうに思いますので、改めて伺いたいと思います。
水族園の新設による更新を進めた場合でも、もとの建築物の利活用についてしっかりと検討を進めていくべきですが、今後の方針をお伺いいたします。
○根来公園計画担当部長 既存施設につきましては、新施設整備の取り組みと並行して、利活用の可能性とその採算性等について検討いたします。その際、葛西臨海公園やラムサール条約登録湿地であるなぎさ等の周辺環境も含めた全体の魅力の向上という視点に立ち、既存施設を有効に活用する方向で検討を行います。
最終的に水族園の機能を移設した後、その状態を調査し、あり方を決定いたします。これらを事業計画に明記いたします。
○滝田委員 新施設整備と並行して、既存施設の利活用の可能性と採算性等について検討していくということで、これは新たな答弁だったというふうに思いますけれども、ぜひさまざまな観点からアイデアを取り込んで検討いただきたいというふうに思います。
さて、一方で、三月の委員会質疑の後、新型コロナウイルス感染症が本格的に感染拡大をいたしました。人々の暮らし、社会経済、そして東京都の財政等、あらゆる環境が激変をいたしました。
また、終息後も、ポストコロナの時代に求められてくるものというのは大きな変化があるというふうに想定されます。
そうした中で、長期的な取り組みとなる水族園におきましても、施設運営などさまざまな観点から、ポストコロナを見据えた水族園のあり方等を検討する必要があると考えますが、見解を伺います。
○根来公園計画担当部長 新たな水族園では、感染症対策として、給排気口及びファンの適切な配置等により施設内の換気機能を強化することや、来園者の感染が疑われる場合に移動ルートを分離できるよう対応してまいります。
その他、感染症対策だけでなく、災害時を想定した設備の機能強化や、必要に応じてスペースをさまざまに活用できるよう検討、整備していく予定でございます。
また、情報発信技術を活用しまして、家にいながらも水族園の展示や演出が楽しめるサービスの充実等を検討、整備してまいります。
○滝田委員 今、答弁としまして、建築物の空気の循環であったり、あるいは感染症対策だけではなくて、災害時等を想定した機能強化ということを検討していくというふうにありました。
デジタルとの融合といった技術革新の面もございますし、ポストコロナの環境変化ということについては、まだこれから明確になってくるということも多くあるというふうに思いますので、こうしたポストコロナの変化というものを視野に入れながら、今後の計画具体化の中でブラッシュアップを図っていただきたいというふうに思います。
今般の新型コロナウイルス感染症の影響による都税収入の減少というのは、リーマンショック時の一兆円を超える可能性ということも懸念されておりまして、財政事情などの前提となる事業環境が大きく変化をしてきております。
施設整備費用やその後の運営費用、入園料その他の収入について厳しく精査をしまして、都民の納得を得られる水族園更新計画と経営計画を検討していく必要があるというふうに考えますが、見解を伺います。
○根来公園計画担当部長 新たな水族園の整備におきましては、PFI手法を用いて、施設の設計、施工、維持管理を一括して発注することで、工期の短縮やコストの縮減を図ります。
また、支出の削減のため、施設や設備の劣化が進行する前に対策を講じることにより、修繕費の縮減を図ります。
さらに、多額の運搬費用を要する海水の再生利用を進めることや、エネルギー効率の高い機器の導入により消費電力を削減するなど、維持管理費の削減に取り組みます。
入園料につきましては、維持管理費や利用者数等から成る原価を基本としつつ、類似施設の入園料を勘案し、設定してまいります。
運営面では、指定管理者と連携しながら、収入の確保のため、適切な時期に展示のリニューアルを行い、継続的な入園者数の確保を図るとともに、バックヤードツアーや環境学習の充実、ユニークベニュー等の特別な体験の提供など、ICT技術も活用し、魅力あるサービスを提供してまいります。
このような経営の工夫によりまして、長期的、安定的な運営を目指してまいります。
○滝田委員 先ほど公園全体としてのあり姿というお話をさせていただきましたけれども、水族園の部分だけではなくて、葛西臨海公園全体としても収益を上げられる部分を強化していくということについても検討していただきたいということを最後に求めておきます。
本日、新施設整備と並行して、既存施設の利活用の可能性、採算性等について検討していくという答弁も新たにございました。
また、陳情二第二三号、葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画に関する陳情については、趣旨採択すべきということを意見いたしまして、私の質問を終わります。
以上です。