延期となったオリンピック・パラリンピックまで、半年を切りました。
未知のウイルスである新型コロナウイルス感染症の流行によって、1年の延期となり、様々な対応が必要となったことに加えて、先が見通せない中でも、大会の開催に向けて準備を進めている職員の皆さまのご尽力に心より敬意と感謝を申し上げます。
今後も、安全に大会を開催するために様々なことを想定しなければなりません。特に、「選手アスリートの皆さま方が安心して競技に打ち込める環境」は大会開催の大前提であり、しっかりと準備をすると共に、対策等について丁寧に共有し、不安の払しょくにも努めて頂きたいと思います。
まさに、一昨日には、詳細な「プレイブック」が示されました。今後、選手やメディア関係者を対象としたものが作成されていくということですが、具体のものが出てきたことで、不確かさが減って、選手が競技開催できる環境にあるのだという安心感につながっていくものと思います。
さて、我が会派で、改めて大会に出場予定の日本人選手の声も伺いました。引用して紹介します。
『ワクチンについて義務化すべきかどうか、といったことや、無観客とすべきではないか、といったことなど、様々議論がでていると承知をしていますが、選手としては「この大会に命を懸けています」。大会が無くなるリスクや出られなくなるリスクを減らすことができるのなら、それらがどういう形に決まっても、まったくもって気にならない。「僕は、大会で、競技がしたい、それが全てです」』と仰っていました。
ワクチンを打てというのであれば打つし、選手ができることであれば何でも協力する。無観客でも良いから、とにかく競技ができる場をつくって頂けるのであれば、全力を尽くす。そのような覚悟で選手は取り組んでいると仰っていました。
そうした、選手アスリートの声、競技大会にかける想いを受けとめて、私たちは「選手アスリートの皆さま方が安心して競技に打ち込める環境」を最優先に確保していくべきではないでしょうか。それが大会を開催する土台、大前提ではないでしょうか。
その上で、今後の国内外の感染状況については、未だ予測し切れないところですから、観客については、「無観客も含めて様々なシナリオを選択肢として」準備すべきです。観客をいれた大会は、どのような形であれば安全に実施できるのか、様々な観点から冷静に、分析・精査した上で判断していくべきです。
まず、前提となる選手アスリートの安全についてです。
Q1.大会の開催にあたっては、世界各国から参加する選手アスリートおよび関係者の安全が大前提となります。入国から競技の準備と実施そして帰国まで、選手等が安心して準備と競技に集中できる環境を確保するべきですが、対策について伺います。
概要を答弁頂きましたが、内容についてもう少し詳しくお聞きします。
Q2.出入国時等の検査や、行動管理・健康管理などの対策を徹底するとのことですが、具体的な取り組み内容について伺います。
具体的な説明をありがとう御座いました。
選手等の皆さまには、ご不便をおかけするところはありますけれども、「検査や、健康観察を定期的に実施するということや、行動範囲に制限が設けられる」ということで、かなり厳しく対応をいただくことが分かりました。入国してから、国内での準備、競技の実施、そして帰国するまで、健康で、最高のパフォーマンスを見せられるようにして頂きたいと思います。
Q3.新型コロナウイルス感染症に関する、選手や関係者等の安全を確保するための対策に必要な経費として、どのようにV5予算で計上されているか伺います。
観客に関するコロナ対策費用との間で、明確には切り分けできない中で、選手・関係者等に対する対策がメインである項目をお答え頂いたと理解しております。経費の規模感としては、いまご答弁のあった合計金額500億円弱でしたが。こちらの中から、選手等に対するコロナ対策をしていくことを予算で想定していると理解できました。
選手アスリートに関してのコロナ対策の具体的な内容や、予算について伺いました。徹底した内容で、予算もしっかり確保していると思います。こうした取り組みについて、国内も当然として、国際的にも、しっかりと伝えていくことが非常に重要です。
Q4.開催国・開催都市である我が国、そして東京の感染状況や対策に関して、派遣各国や競技団体との間で、選手等の安全が適切に確保されることについて、取組み内容を示し意見を取り入れるなど、派遣各国や国際競技団体等の国際的な理解を得られるよう、取り組むべきでありますが、見解を伺います。
繰り返しとなりますが、選手が安全に競技できる環境にあることがまず最優先、土台であります。これらの対策が講じられることについて、都民・国民や、各国・選手等に対して丁寧に伝え、理解を求めていくことが極めて重要でありますので、今後も折に触れて発信していくよう求めます。
次に観客についてです。
大会の延期に伴う、払い戻しの受け付けを昨年末に実施したところです。組織委員会が公表した数字では、一般向け販売分で、オリンピック約445万枚のうち約81万枚、パラリンピックは、約97万枚のうち約20万枚の払い戻しが行われるとのことです。
競技ごとのばらつきがあると思われますが、国内一般向け販売数の2割程度にあたります。国内一般向けの販売以外に、いずれも枚数は非公表でありますが、海外販売やスポンサー席などもあることから、観客総数からの減少はさらに限定的で、1割~2割の間であろうと思われます。
一方、観客について、「上限なし、50%観客あり、無観客」の三段階のシナリオを検討しているとの報道も先日ありました。その三段階かは別として、国内外の感染状況を見極めながら、無観客も含め、様々なシナリオを考えて進めていくことは当然必要なことであると考えます。
Q5.観客について、観客数の上限に加えて、国外からの観客を受け入れるかどうかも重要な論点でありますが、国内外の感染状況が見えない中で、今後どのように対応していくのか伺います。
この春までに、観客数の上限や外国人観客の取り扱いなどについて、具体的な措置内容とあわせて決定していくとのことでした。
Q6. そうした状況の中で、観客の安全を守り感染拡大を予防する対策について必要な経費として、どのようにV5予算で計上されているか伺います。併せて、観客数の上限により対策費用がどの程度変わってくるか見解を伺います。(※質問省く可能性あり)
観客数の変化によりどの程度費用が変わってくるかは、まだこれから春に向けて決定する中でということと理解をしました。
※(質問省略した場合の演説:)
観客に対する感染予防対策の経費に関して、観客数の変化によりどの程度変わってくるかということについては、まだ検証中との理解ですので質問とは致しませんが、重要な論点であり対応を求めます。
Q7.観客数の変更によりチケット収入の減少等が起こりますが、V5予算において観客数はどのような想定で収入に反映されているか、また昨年末にチケットの払い戻しが行われましたが、その取扱いはどうなっているか、伺います。
V5予算のチケット収入900億円には、昨年末の払い戻し分は反映されていないベースであるということが確認できました。
様々なシナリオがあり得ると思いますが、「仮に」、観客数に上限を設ける場合には、販売が既に決まっているチケットに対して、実際に来場できる観客数にまで絞り込みを行わねばならず、公平で透明な対応を求めます。
さて、顔が見えている選手関係者に向けての対策と異なり、不特定多数となる「観客」に向けての対策においては、実効性を高めることも課題となります。
Q8.安全安心な大会に向けて、観客に対する対策を具体化し、実効性を担保していくことが必要でありますが、今後どのように対応していくのか伺います。
答弁の前半は、観客全般について、会場や会場周辺における取り組みをお答え頂いたと理解しました。また後半は、外国人観客についての措置についてお答えを頂きました。
それらに加えて、国内の観客に関して、「国内の往来が相当数発生すること」に対しても感染拡大につながらないよう対策が必要ではないでしょうか。検査、ワクチン、アプリなども含めて、どのように対策強化をするのか、これは国が広域的に取り組む必要があり、国に対しても検討を要請するよう求めます。
Q9.新型コロナウイルス調整会議において12月に示された中間整理では今後の対応課題とされたものもありますが、どのような課題が残されているか伺います。特に、都内の医療資源も使用することになる中で、保健衛生・入院・療養体制の確保について方針を伺います。
選手・関係者等や、観客の保健衛生は非常に重要であることは言うまでもありません。しっかりと拠点を整備して、大会に関する保健衛生・入院・療養体制について対応する必要があります。
Q10.選手アスリートだけで約1.5万人、その他関係者やボランティア、観客はさらに数百万人規模となり、これらに対応するための医療拠点や資材など様々必要となりますが、何よりも逼迫する可能性があるのが医師・看護師であり、そもそも当初から大会に必要と想定していたものに加えて、どの程度の規模で必要となるのか見解を伺います。
都内の新型コロナ対応、通常の医療提供をしながら、大会に対応しなければなりません。都内の医療資源だけでは到底、十分ではなく、国による広域的な確保や調整が必要です。医師会や専門家の皆さまのご意見を頂きながら、しっかりと国や他県などとも連携して対応するよう求めます。
次に、会場関係・大会関係の経費について聞いていきます。
Q11.会場関係・大会関係に関するV4予算からV5予算への経費増減は、延期に伴う費用増加と大会の簡素化に係る経費削減効果を反映したものと理解していますが、主要な経費の増減について概要を伺います。(※質問省く可能性あり)
1年延期に伴って必要となった、仮設等の再設置や、会場や人員を延長するなどにかかる見込みのものが計上されていると理解しました。
Q12.収入の増減について、増収見込み額760億円の内訳を確認すると共に、150億円となっている収支調整額の取り扱いについて伺います。
組織委員会の収支不足額について、東京都が負担する形となっていることに関しては、かねてより我が会派では懸念を示してきました。
延期に伴う経費分担の合意形成において、大会の延期という異例の事態があったことから、「都の負担やむなし」と判断したことについては理解します。一方、今回のV5予算で、既に「組織委員会の収支が、不足する見込み」となったわけですので、今後、更なる、東京都負担・都民負担が増大していかないよう、経費の管理を徹底することが必要です。
また、観客数を絞り込むこととなった場合における、更なる収入減少については、関係者間で適切な負担となるよう協議されることを求めます。
延期に伴う会場関係・大会関係の経費の増額について、その中身の個々の事業はもちろんのこと、また特にコロナ感染症対策についてはV5予算の策定段階において対応が定まっていないところも多く、今後精緻化していく必要があります。
我が会派ではこれまでも、「予算の計上金額が粗く、経費の管理が緩くなりはしないのか」懸念を指摘し、都として事業の一件・一件をしっかりと見て適切な支出の管理をしていくべきであると、この特別委員会の中でも、強く申して参りました。
そして、その成果の一つとして、「共同実施事業 管理委員会」におけるチェック機能が強化されてきたと理解しています。
Q13.「共同実施事業 管理委員会」、およびその中の東京都作業部会など、各種経費を管理していくための仕組みについて、取り組み状況を伺うと共に、延期に伴う費用やコロナ対策費用などのV5で新たに計上された追加費用等に対してどのように取り組んでいくのか伺います。
地道な取り組みではありますが、都民・国民の負担のもとで実施をする大会でありますので、経費の精査・削減の徹底については最後まで緩めず対応していくよう求めます。
最後のテーマになりますが、輸送運営計画V2の改定についても幾つか伺います。
Q14.輸送運営計画V2の更新案の中で、主な改定箇所は何か、そのうち特にコロナ対策としてはどのように考えているのか伺います。(※質問省く可能性あり)
更新案では、大会の延期決定に伴い必要な更新を行うと共に、検討の進捗の有ったものについても記載がされていると理解しています。
特に、我が会派ではこれまで、車いす利用者等も含め、観客の誰もが、会場にアクセスし易い取組みを行うべきと求めてきました。
Q15.そこで、観客のアクセシビリティの改善として、特に、アクセシブルシャトルの取り組み内容と今後の予定を伺います。
輸送運営計画においてはTDMの取り組みが重要であり、これまでの我が会派の質疑でも重ねて取り上げてきました。
Q16.今般のコロナの影響により、テレワークや時差出勤などの多様な働き方について都民・事業者の蓄積が進んできましたが、改めて大会期間中の協力を中小企業等も含めて促し、レガシーとして、テレワークや時差出勤の更なる定着や、TDM交通需要マネジメントの社会実装に繋げていくべきですが、見解を伺います。
最後に、大会の開催に向けて、
Q17.選手アスリートの安全を確保し競技に集中できる環境を全力で整えると共に、観客の安全を守り、感染拡大につなげないことは最も重要でありますが、選手アスリート・大会関係者やボランティア、そして観客の健康・安全を守り抜く決意を改めて局長に伺います。
局長からの力強い答弁を頂きました。何としても、選手アスリート・大会関係者やボランティア、そして観客の健康・安全を守り抜き大会を開催できるよう、あらゆる手段を尽くして頂きたいと思います。
さて、最後に一言を申し上げます。
コロナ禍における東京2020大会の成功のためには、都民・国民の皆様の理解と共感を得ることが必要不可欠です。
そのような中、組織委員会のトップである森会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」など、女性蔑視と受け取られても仕方のないご発言をされたことは、極めて深刻な問題です。森会長はご発言を撤回されましたが、その記者会見の場でも質問する記者に対して「面白おかしくしたいのではないか」というご発言をされるなど、真摯に反省されているのか、疑問の声が挙がっています。
オリンピック憲章には、「すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。」「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、『性別』…などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。」と規定されています。
森会長のご発言が、このようなオリンピック憲章の趣旨に反することは明確であり、世界に広く発信されてしまったことは、日本・東京の国際的信用を失墜させ、東京2020大会の成功に極めて大きな支障をきたすものです。現に、開催都市である東京都に対しても、多くの抗議の声が寄せられており、大会ボランティアの辞退の申し出もあると聞いています。
世界経済フォーラムの公表するジェンダー・ギャップ指数では、日本は153か国中で121位と世界最低水準となっています。私たち都民ファーストの会東京都議団は、所属議員の約3割が女性ですが、内部の議論で「時間がかかる」という事実はなく、多様な意見が政策・議論の「質」の向上に寄与しています。
あらためて、都から組織委員会に対し、オリンピック憲章の趣旨を組織委員会の内部で徹底することを強く求めるべきです。
あわせて、コロナ禍の中での、都民・国民の理解と共感を得られる大会の成功のために、森会長のトップとしての適格性を含め、現在の体制が本当に最適であるのか、組織委員会に対して、都からも真摯な自己検証を求めるべきと指摘して質問を終わります。