◯滝田委員 東京都駐車場条例の改正についてお伺いをいたします。
昨年七月の都市再生特別措置法の改正において、都市再生緊急整備地域内で駐車施設配置計画を定めた場合の特例が設けられました。今回の条例改正によりまして、附置義務によらずに、配置計画に基づいた駐車施設の設置が可能となります。
まず、今回の条例改正の内容の前に、現行の駐車場条例について確認をいたします。
現行の東京都駐車場条例における附置義務について、基準の概要及び平成二十六年に改定をした際の附置義務台数の見直しの根拠を、区部、市部に分けてお伺いをいたします。
97◯青柳市街地建築部長 現行の駐車場条例における附置義務基準は、地区や建物用途に応じて定めた基準床面積で建築物の延べ床面積を除して附置義務台数を算出することを基本としております。
平成二十六年の条例改正では、区部の共同住宅及び大規模事務所の附置義務基準を緩和する改正を行いました。この改正では、所有者や管理者等に対するアンケート調査のほか、駐車場の実台数や附置義務台数、最大利用台数など、利用状況調査を根拠といたしました。
同調査では、共同住宅について、区部では附置義務台数に対する駐車場の最大利用率が平均して七五%程度であったのに対し、市部では附置義務駐車場が十分利用されているという結果でございました。また、大規模事務所について、区部では六千平方メートルを超えるものでは平均七〇%程度の利用率でありましたが、市部については地域によって利用率にばらつきがあり、一定の傾向は見られませんでした。
98◯滝田委員 ありがとうございます。平成二十六年に改定した際には都におきまして調査を行いまして、一定程度、附置義務の緩和は可能であろうということで改定をしたということであります。
そのころの調査につきましては、区部、市部全体の大まかな把握であるというふうに理解をしておるのですけれども、地域ごとの状況の詳細な把握、それに沿った対応というのも重要であるというふうに考えます。
個別地域の事情等に応じました駐車施設の整備も必要ではないかと考えますけれども、現行の取り組みをお伺いいたします。
99◯青柳市街地建築部長 個別の地域の実情に応じた駐車施設の整備につきましては、既に平成十四年の条例改正で、行えることになっております。
具体的には、都心、副都心など公共交通網が発達している一定の地区において、区市が地域特性に応じた駐車施設の位置や規模等の地域ルールを定めた場合には、条例の附置義務基準によらず、当該計画に基づき駐車施設を整備できるというものでありまして、現在、四つの区で適用しております。
さらに、平成二十六年には、区市が一定の区域について都市の低炭素化の促進に関する法律に基づく低炭素まちづくり計画を作成し、車に依存しないまちづくりがなされると認められる場合、条例の適用を除外し、当該計画に沿って附置義務台数の低減が可能となっており、現在、一つの区で適用しております。
100◯滝田委員 今ご説明にありましたとおり、これまでの施策におきましては、附置義務を緩和する取り組みというのができたのは全部で五つの区であるということで、一部にとどまっているものかなというふうに思います。
続けて伺いますけれども、今回の条例改正によりまして期待される効果を伺います。
101◯青柳市街地建築部長 今回の条例改正は、都市再生特別措置法の改正を受けて、都市再生緊急整備地域内で、当該区域の整備に関して協議を行うための都市再生緊急整備協議会が、駐車施設の位置や規模に関する計画を定めた場合には、条例の附置義務に関する規定にかかわらず、当該計画の内容に即して駐車施設を設けるとするものでございます。
これによりまして、活発な都市開発が想定される都市再生緊急整備地域内においても、地域ルールを定めることが可能となります。
また、現行の条例に既に位置づけられている地域ルールでは、策定主体が公的機関に限られておりますが、今回の条例改正で加わる地域ルールでは、民間が主体的に地域ルールの作成に取り組めることになり、地域の実情をより踏まえた駐車施設配置計画を定めることが期待できます。
102◯滝田委員 実質的に都心に限られるわけでありますけれども、都市再生緊急整備地域内におきましては、民間も参画して、より柔軟に駐車施設配置計画を定められるということであります。
法改正に当たりまして国土交通省が分析をしておりますけれども、特に東京二十三区におきましては、平成二十八年までの過去十年間で、駐車場台数が約一・二五倍増加している。一方で、自動車保有台数は約〇・八九倍と減少しているということです。中でも八重洲地区での分析につきましては、乗用車の駐車場に関して、供給量に対する需要量が六割から七割であったとのことです。今回の条例改正で、こうした場所での制度活用による改善は期待をするところであります。
他方で、私の地元の八王子市では昨年、駐車場整備計画を策定しまして、地域ルールの導入も検討をしております。その際の調査では、八王子駅周辺の中心市街地に五千六百五十台の駐車場があるのに対して、ピーク時でも七割程度しか需要がないということが明らかとなっています。
先ほどの答弁にもありましたとおり、今回の条例改正以前より、区市において駐車場整備計画を策定する、あるいは低炭素まちづくり計画を定めた場合には、附置義務によらず、駐車場施設の設置が可能でありましたけれども、取り組みは一部の区にとどまり、市では取り組みが見られませんでした。
駐車場の附置義務により、都市部に駐車場が過剰に整備され、社会的損失が発生している可能性がある中で、実態の把握、整備計画の策定、余剰の駐車場を別の用途に転換するなどの駐車場をマネジメントするための区市の取り組みを支援するべきではないかと考えますが、見解を伺います。
103◯青柳市街地建築部長 駐車施設附置に関する地域の実情に即した地域ルールの策定や適切な運用を行っていく上で、地元区市が担う役割は重要でございます。
このため、都は、区市に対し、地域ルールに関する情報提供や技術的助言を行うなど、引き続き、区市の取り組みを支援してまいります。
104◯滝田委員 引き続き区市の取り組みを支援していくという答弁がありましたので、しっかり取り組んでいただきたいと思いますが、国土交通省の資料によりますと、駐車場について、まちづくりの観点から、実態調査から計画策定、整備、転用まで一体的に支援することにより、駐車場の量と配置の適正化や有効利用を誘導するとの大きな方針が書かれています。
条例と附置義務の基準を定める都としても、八王子市のように新たに取り組みを進めようとしている自治体がほかの自治体のモデルとなるように、後押しを強化していただきたいと要望をいたします。
また、既存の駐車場につきましても、備蓄倉庫や荷さばきスペース、二輪車の駐車場など不足する用途への転用を図るなど、都として、区市が取り組むことへの支援をしていただきたいと要望をいたします。
人口増加や車がふえていくモータリゼーションの時代からはもう移り変わっております。今後は、人口減少も見据え、また車離れも一層進んでおります。そのような中で、一律の附置義務があることがベースとなっているというのも、時代にそぐわなくなってきていると思います。
国の法改正を待つのではなくて、駐車場や荷さばきスペースなど、都におけるあり方を検証しまして、魅力的で効率的な都市を構築していただくように取り組んでいただくことを要望いたします。
私からの質問を終わります。