令和元年都市整備委員会 2019-06-13①

◯滝田委員 私から、東京都住宅政策審議会の答申、都営住宅における管理制度等の在り方についてお伺いをいたします。
 都では、おおむね五年ごとに住宅マスタープランの見直しを行っておりまして、その時々の都の住宅政策のあり方について見直しを図ってきたものと理解をしております。
 現行の住宅マスタープランは、二〇一七年、平成二十九年三月に策定をしておりまして、その際にも住宅政策審議会に諮っているものであります。
 ついては、次回の住宅マスタープランの見直しを待たずに、今回、住宅政策審議会に都営住宅における管理制度等のあり方について諮問をすることとなった政策的な背景をお伺いいたします。

16◯澁谷住宅政策担当部長 都は、平成二十九年三月に現行の住宅マスタープランを策定し、社会情勢の変化や人口減少による地域の衰退などが懸念される中、住宅政策の基本方針を豊かな住生活の実現と持続とし、八つの目標と将来像を設定しております。
 ただ、これは、住宅政策の重要な指針となり礎となるものではございますけれども、個別特定の分野の施策を深く導き出すというようなものではない、そういうような性格のものでございます。
 一方、今後も、住宅政策に大きな影響を及ぼす少子高齢化や世帯の単独化の急速な進行が予測され、とりわけ都営住宅においては顕著に進んでいるということから、都は、平成二十九年度から、都営住宅の管理等につきまして検討を進めまして、平成三十年七月には、見える化改革報告書を取りまとめまして、多世代共生を推進していく必要がある、そのような課題を示したところでございます。
 この課題を解決していくためには、都営住宅の管理制度の見直しが必要でありまして、そのためには、都民共有の財産であります都営住宅につきまして、専門家の知見を含む広範な観点からの深い検討、審議を要するというふうに考えまして、そこで、東京都住宅政策審議会に、さまざまな世代がともに暮らせる都営住宅の実現に向けた管理制度等のあり方につきまして昨年十月に諮問を行いまして、このたび答申をいただいたところでございます。
 この答申を踏まえまして、今後、可能なものから取り組みを進めてまいります。

17◯滝田委員 説明にありましたけれども、見える化改革、昨年七月に、都営住宅建設、管理について、報告書が出されておるということで、私も拝見をしております。
 そこでは、多世代共生の推進に加えまして、持続的な経営、災害対応力の強化の三本が柱になっているというふうに理解をしております。
 今回の審議会では、多世代共生の推進を管理制度において具体化するということを諮問しておりますけれども、見える化改革に掲げている残りの課題、持続的な経営、そして災害対応力の強化についても、一層の検討を深めて、具体的な政策を進めていただきたいというふうに思います。
 また、我が会派の代表質問でも指摘いたしましたけれども、都営住宅事業の資産価値の見える化や土地の有効活用の視点、民間との連携、テクノロジーの活用など、幅広い視座で都営住宅のあり方を検討していくべきであります。
 その際に答弁いただきました、今後の住宅政策審議会での議論を期待するところであります。
 さて、このたびの住宅政策審議会答申では、子育て世帯への支援の一層の充実、就職氷河期世代など単身者の入居制度の拡大、そして高齢者の生活支援サービスの向上の大きく三つの施策の方向性が示されました。
 それぞれの施策の効果と、特に若年単身者については入居がどのぐらい広がるのかお伺いをいたします。

18◯土屋経営改革担当部長 まず、子育て世帯への支援の一層の充実につきましては、同居する子供の就学期に応じた期限つき入居期間の延長などにより、子供が小中学校在学中に退去し転校を余儀なくされることがなくなるなど、子育て世帯のニーズにより的確に応じることができるようになると考えてございます。
 また、単身者の入居制度の拡大につきましては、単身者向け住戸のあっせん基準の弾力化や、就労事業の事業主体との連携などにより、就職氷河期世代などの都民の居住の安定が図られ、就労や将来的な家族形成につながると考えてございます。
 さらに、高齢者の生活支援サービスの向上につきましては、地域福祉や民間事業者等と連携した多様な生活支援サービスの充実、自治会活動への支援などにより、見守りの充実が図られるとともに、地域の高齢者が安心して暮らせるようになると考えてございます。
 若年単身者の入居を可能とする仕組みによって入居がどれぐらい広がるかにつきましては、答申の既存の応募有資格者の入居の機会を減ずることのないように配慮すべきとの提言も踏まえまして、今後適切に検討してまいります。

19◯滝田委員 事前にも確認させていただきましたけれども、そもそもセーフティーネットとしまして、ひとり親を含む子育て世帯や就職氷河期世代など、どの程度の規模感で支援が必要となってくるのかということについて、あるいは都営住宅とそれ以外の施策をどのように組み合わせて実行していくのか、貴重な都有財産と予算を効果的に、真に必要な課題に対応するために使っていただくよう、検討を深めていただきたいというふうに思います。
 都営住宅の役割は、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸する住宅であるとされています。また、公営住宅法上の住宅に困窮する低額所得者とは、最低居住水準の住宅を住宅市場において自力で確保することが困難な者と定義されていると答申の解説にも記載がされています。
 首都東京は、都心の千代田区から奥多摩まで──まあ、もちろん島しょもありますけれども、非常に多様な環境を一つの広域自治体で抱えております。また、その多くは、自治体をまたいで都市が連担した都市域となっているため、ほかの道府県とは状況が大きく異なります。
 低額所得者だけではなくて、仮に中位の所得水準であっても、最低居住水準の住宅を都心部において自力で確保するということは、当然容易ではありません。
 一方で、多少郊外からでも都心に通勤通学するなども可能であるのが、東京の特徴であります。
 答申には、今後の課題としまして、利便性係数の再検討が掲載されております。都営住宅の入居者間での公平性の問題だけではなくて、そもそも都営住宅は都民共通の巨額の資産を活用しているということでありますので、都営住宅入居対象者だけではなく、都民全体に対しても説明のつく、公平かつ最適な資産の活用を図らなければなりません。
 その点からも、住宅市場の実態と著しく乖離をするような場合において、係数は見直さなければならない課題であるというふうに指摘をいたします。
 公営住宅法におきまして、市町村立地係数や利便性係数がどのように規定されているのか、また、都において特例をつくることが可能であるのかについてお伺いをいたします。

20◯土屋経営改革担当部長 都営住宅の家賃は、法令の定めるところにより、毎年度、入居者からの収入の申告に基づきまして、当該入居者の収入及び当該公営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数、その他の事項に応じて定めることとされてございます。
 このうち、市町村立地係数につきましては、国が入居者の負担能力に応じて定める家賃算定基礎額を補正する四つの係数の一つでございまして、公営住宅の存する市町村の立地条件の偏差をあらわすものとして、各市町村の地価の状況を勘案して、〇・七から一・六までの範囲内で、国土交通大臣が市町村ごとに定める数値となってございます。
 また、利便性係数につきましては、事業主体が、公営住宅のある区域及びその周辺の地域の状況、公営住宅の設備その他の当該公営住宅の有する利便性の要素となる事項を勘案しまして、公営住宅法施行令に基づき、〇・五から一・三の範囲内で定める数値となってございます。
 ただし、同施行令の規定により、利便性係数の上限については、一・三、または一・六を市町村立地係数で除した数字のうち、いずれか小さい数値以下で定めると定義されてございます。
 このため、市町村立地係数が最高値の一・六である千代田区につきましては、区内にある公営住宅の利便性係数の上限が一・〇となることから、それを踏まえ、都営住宅の利便性係数の上限は一・〇としてございます。
 都は、同施行令が定める使用料算定の係数の範囲の見直しを行うよう国に要望してございます。
 また、答申におきましては、利便性係数の再検討については将来的に検討することも考えられると、このように提言されてございます。

21◯滝田委員 詳細に説明いただきまして、ありがとうございます。
 全国一律に国で決められてしまっているということであるというふうに、まず思います。
 都の実態にそぐわない部分もあるのではないかなというふうに私自身は認識しておりまして、市町村立地係数も含めまして、自治体での特例や裁量を持てるように国に働きかけていただきたいというふうに考えております。
 また、現行の係数が所与の条件だとしましても、都として、公平性を高めるように都営住宅の立地を変えていくというようなことも長期的には可能であるのではないかというふうに思います。
 三月の委員会でも指摘しましたけれども、都営住宅資産の見える化とともに、公平性を高めていくということ、あるいは先ほどもお話ししましたけれども、セーフティーネットをどうやって確保していくのかといった課題もありますので、ぜひともあり方をしっかりと検討していただきたいというふうに要望をいたします。
 以上をもちまして、私からの質問を終わります。

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