◯滝田委員 私からは、首都高速道路の日本橋周辺地区の地下化に関連しまして、都市計画道路の変更及び日本橋と八重洲の再開発が議題となっておりますので、一連のものとして質問をさせていただきます。
以前にも当委員会で申し上げておりますけれども、東京は、これまでの都市化の流れの中で犠牲にされてきた水辺、緑、空を都市に取り戻す、都市づくりの転換点にあると考えています。
東京の新たな活力と魅力を高めるため、水辺や緑、空を生かすハード面の整備に加えまして、エリアマネジメントなどのソフト面での施策についても、都市整備局がリーダーシップを発揮して促進していただきたいと思います。
また、本年度は都の長期計画の策定を進めるということですので、その中でも柱の一つとしまして、水辺、緑、空を生かす次世代の都市づくりについて具体的に盛り込むことを期待いたします。
韓国ソウル市では既に、二〇〇〇年代前半に清渓川という河川におきまして、上空を通していた高架道路を廃止して、魅力的な水辺空間を再生させておりまして、世界的にも有名な事例となりました。
東京でも同じ時期より、日本橋に空を取り戻し、水辺を取り戻すという議論はありましたけれども、これまで事業化には至っておりませんでした。
まず、首都高速道路日本橋地区の地下化の意義とこれまでの経緯についてお伺いをいたします。
101◯山下都市基盤部長 地下化の経緯でございますけれども、日本橋の上にかかります首都高は、近年老朽化が進む一方で、周辺景観に与える影響についてさまざまな議論がなされてまいりました。
こうした状況の中で、首都高の大規模更新の機会を捉えて、国家戦略特区の都市再生プロジェクトなど周辺のまちづくりと連携し、平成二十九年七月、国や首都高速道路株式会社と共同で、地下化に向けて取り組むことといたしました。
その後、国などとともに首都高日本橋地下化検討会を設置し、平成三十年七月に地下化の計画案を取りまとめました。
地下化の意義といたしましては、高速道路ネットワークの機能を将来にわたり維持するとともに、国際金融都市にふさわしい品格のある都市景観の形成や、歴史や文化、さらには貴重な水辺空間を生かした日本橋の顔づくり、沿道環境の改善などが期待されます。
102◯滝田委員 この二年間で方向性がぐっと進んだように思いますけれども、続けてお伺いしたいと思います。
長年構想にとどまっていたものが、今般、事業化に向けて加速できた経緯について、今後のほかの事業にも参考になりますので、補足の説明についてお伺いをいたします。
103◯山下都市基盤部長 補足説明いたしますと、日本橋周辺の首都高につきましては、これまで、有識者等によりさまざまな議論がなされ、地下化案を最も有力な案として推奨することや、高架橋を撤去し、地下化などを含め再生を目指すことなどが提言されてまいりまして、移設空間の確保や膨大な事業費を要するなどの課題がございました。
平成二十六年、首都高速道路株式会社は、老朽化が進んでいる区間を対象に更新計画を策定し、今回地下化する区間が含まれる竹橋ジャンクションから江戸橋ジャンクション間をその対象区間に位置づけ、大規模更新に向けた具体的な検討が開始されました。
平成二十八年には、日本橋周辺で検討が進む複数のまちづくりの取り組みが国家戦略特区の都市再生プロジェクトに追加され、地下化ルートの導入空間の確保など、民間プロジェクトの協力が得られることとなりました。
これらのことから、都は、国や首都高速道路株式会社と共同で、日本橋周辺のまちづくりと連携し、首都高の地下化に向けた取り組みを加速することになったものでございます。
104◯滝田委員 大きな事業費がかかるということも課題であったというふうに思いますが、インフラの更新事業、あるいは民間の再開発事業など、複数の分野や複数の事業主体を組み合わせて、総合的なプロジェクトとして問題解決をする。こうしたことは、今後の参考となるモデルになるというふうに思います。
この二年間特に、都が調整力やリーダーシップを発揮して、地元自治体や地権者、事業者の皆様と協力をして、都市計画まで至ったということを評価いたします。
水辺の再生というこれまでの都市空間を転換する事業であり、オフィスだけではなくて、人が集う場所、商業、観光も含めた多様な機能を備えた新たな日本橋ブランドを形成する。そして、ソウルの清渓川ではなくて、今度は東京日本橋だというふうに、世界中の都市づくりの専門家が視察に訪れるようなエリアをつくっていただきたいというふうに思います。
次に、事業費について確認をしていきたいというふうに思います。
今回の首都高地下化に係る概算事業費は約三千二百億円とされております。そのうちの約一千億円は、地下化をせずとも実施をしなければならない、もともとの大規模更新費用として、首都高速道路株式会社が支出を見込んでいたものとされています。
ついては、首都高都心環状線におきまして、大規模更新をしなければならないとされている箇所とその事業費及び修繕で対応ができる区間の距離と事業費をお伺いいたします。
105◯山下都市基盤部長 首都高速道路株式会社では、平成二十六年に策定した更新計画に基づき、老朽化が激しい五カ所八キロメートルで、大規模更新を順次行うこととしておりまして、その事業費は四千三百九億円を見込んでございます。
加えて、新たな損傷の発生、進行を抑制するため、五十五キロメートルの区間を対象に、橋梁の補強などの大規模修繕を順次実施し、長期の耐久性向上を図ることとしておりまして、その事業費は二千三百五十四億円を見込んでおります。
これらの事業のうち、都心環状線におきます大規模更新の対象は二区間でございまして、竹橋から江戸橋までの日本橋区間で千五百三十億円を見込んでおりまして、そのうち、委員からご指摘ありました一千億円が、今回の地下化の事業費の一部に相当いたします。また、銀座から新富町までの築地川区間で五百八十七億円を見込んでございます。
また、都心環状線の大規模修繕につきましては、損傷状況を精査した上で実施することとしておりまして、事業費は確定していないと首都高速道路株式会社から聞いております。
106◯滝田委員 平成二十六年に、大規模更新が必要な区間と補修等の修繕で済む区間に大きく区分をしており、説明いただきましたとおり、大規模更新と大規模修繕では、事業費に大きな差があるということでもありました。都心環状線におきましても、事業費は確定していないとご説明がありましたけれども、大規模修繕で対応する区間が多いというふうに理解をしております。
日本橋区間については、大規模更新がいずれにしても必要であるということで、約一千億円分に相当するとのご説明をいただきました。
一方で、地下化の事業費、先ほども私の方からお話ししましたけれども、約三千二百億円がかかるということですので、残りは約二千二百億円ということで、この確保については、私の方から説明をしてしまいますけれども、いただいている説明資料等から理解しておりますのは、一つ目は、民間開発の貢献として四百億円分、二番目としまして、区道分を再開発に活用することによる貢献で地元中央区が八十億円、三番目としまして、都道の橋梁かけかえをあわせて行うことによりまして都が三百二十億円を負担する、四番目としまして、都が出資をしている首都高速道路株式会社のコスト削減努力で四百億円を捻出する、五番目としまして、首都高速道路整備事業に関しての都などの出資金の償還時期を繰り延べて利子支払いを削減することで一千億円を捻出するというふうに理解をしております。
以上の五項目のうちで、民間開発分を除きますと約一千八百億円分は、国や都などを中心としました追加的な公的負担ではあります。しかしながら、出資金の活用やコスト削減努力などで実際のキャッシュの支出を減らした、工夫をされた資金確保スキームを構築しているというふうに理解をしています。
次に、この地下化につきまして、見込まれる事業効果及び事業効果を発揮する上での課題を伺います。
107◯山下都市基盤部長 首都高の大規模更新の機会を捉え、日本橋周辺のまちづくりと連携して首都高を地下化することにより、品格ある都市景観の形成、歴史、文化、さらには水辺を生かした都市の顔づくりなど、東京の価値の向上につながります。
また、渋滞や事故の原因となる江戸橋ジャンクションの分合流部をなくすことで、都心環状線を利用する車が八重洲線に転換し、江戸橋ジャンクション付近の交通の円滑化が図られます。
なお、八重洲線と接続いたします東京高速道路は大型車の通行に対応していないことから、大型車の環状方向の交通機能につきまして、国などの関係者とともにスピード感を持って検討を進め、コストを精査しながら、その確保案を早期に作成してまいります。
108◯滝田委員 平成十八年の有識者によります提言書によると、首都高の地下化に伴う魅力ある都市景観を再生することで、来訪者の近隣地域での消費増加、これが一兆円から一・七兆円、当該地域の不動産価値の増加で〇・八兆円から一・四兆円程度の間接的な効果というものが期待されるというふうにあります。
当該事業は、単純な高速道路の更新事業ということではありません。地下化によって多額の追加費用がかかるものでもありますので、その分のビーバイシーについては検証していただきたいというふうに私の方では思っております。
さて、説明いただきました事業効果のうちで、渋滞緩和効果については、江戸橋ジャンクションの構造が単純になる、シンプルになるということは、効果があるというふうに思います。
ただ、渋滞緩和効果を発揮するためには、八重洲線と接続をする東京高速道路、いわゆるKK線の改善が必要であると先ほどもご説明がありました。この改善費用につきましては、本来は首都高地下化にかかわる事業費用として私は説明されるべきであると認識をしています。説明責任のあるものとしまして、早期に事業費用の概算も示していただきたいと要望いたします。
また、渋滞緩和の前提としまして、現時点で八重洲線の走行キャパシティーが余っているということに対して、江戸橋ジャンクションへの流入が過剰になるというふうに課題があると認識をしています。
これにつきましては、整備に十年以上かかるというふうにもいわれております地下化事業をまたなくても、できることがあるのではないかというふうに思います。
現時点で、ソフト面での対策を打って、利用を誘導しまして、渋滞緩和を図るべきと考えますけれども、見解をお伺いいたします。
109◯山下都市基盤部長 首都高速道路株式会社からは、八重洲線と接続する東京高速道路が大型車の通行に対応していないことから、八重洲線への分流部における大型車の誤進入防止が課題となっており、積極的に誘導していない状況にあると聞いております。
また、ソフト面での対策につきまして、広域交通情報の提供や混雑日、混雑時間帯の積極的なPR、満足度調査の結果を踏まえた情報提供の充実などを引き続き実施していくと聞いております。
110◯滝田委員 神田橋ジャンクションの分岐における標識をちょっと確認しましたけれども、都心環状線方面がローマ字でC1、その後、箱崎、銀座というような表記になっておりまして、一方、八重洲方面は、八重洲線を示しますローマ字のY、丸の内、新橋というふうに書かれております。その横に小さく大型車両禁止の標識が表示されているというような現状であるというふうに認識をしておりまして、八重洲線を走っても都心環状線に後ほど合流できるということは、この標識からではわかりにくいのではないのかなというふうに思いますし、一方で誤進入防止という面も、小さな標識しかありません。
そういう意味では、行政側の整備の経緯としましては、都心環状線と八重洲線というのはもちろん違うんですけれども、利用者の目線では、八重洲線もある意味都心環状線の分岐線であるということで、そうしたことが明確にわかるような路線番号や標識にするという工夫を検討するべきではないかなというふうに思いますので、改めてそれは指摘をいたします。関係者と検討をいただきたいというふうに私から要望をいたします。
次に、関連する周辺の再開発事業についてお伺いをいたします。
今回の都市計画審議会の付託案件であります八重洲一丁目北地区と日本橋室町一丁目地区における容積率の緩和及び根拠となる公共貢献の概要を説明願います。
111◯山崎景観・プロジェクト担当部長 都市再生特別地区の容積率については、事業者の創意工夫を十分に生かすという制度の趣旨を踏まえまして、一律的な基準によらず、民間提案を一件ごとに審査し、都市再生への貢献内容と既に決定されている周辺開発とのバランスなどを総合的に評価、判断して定めております。
八重洲一丁目北地区では、都市再生への貢献として、川沿いの立体広場約三千四百平方メートルや回遊性の向上を図る歩行者ネットワークの整備、建築計画等の調整、工夫による首都高の整備等に必要な空間の創出や、首都高地下化に関連した工事スペース等への協力、高度金融人材サポート施設約八百平方メートルの整備などを行い、これらを総合的に評価して、容積率の最高限度を一六七〇%と定めております。
日本橋室町一丁目地区では、都市再生への貢献といたしまして、川沿いのプロムナードやにぎわい空間の整備、まち中の回遊性を向上するバリアフリー動線の整備や区域内外の道路約〇・二キロメートルの電線類地中化、建築計画等の調整、工夫による首都高の整備等に必要な空間の創出や、首都高地下化に関連した工事スペース等への協力、ライフサイエンス企業の成長を支援する施設約三千平方メートルの整備などを行い、これらを総合的に評価するとともに、国家戦略住宅整備事業による住宅容積率の緩和を活用することで、容積率の最高限度を一四〇〇%と定めております。
112◯滝田委員 開発敷地の地下を新たな高速道路が通るということになりますので、その空間確保であったり、あるいは建物の形状に与える影響などで、相当の工夫を民間事業者側で負うということを聞いています。
一方で、首都高が地下化されることによって、十年から二十年後ということではありますけれども、エリアの不動産価値は大きく向上するものと思います。
また、容積の緩和を得て事業を実施するということも踏まえまして、地下化によって生み出される水辺空間は、都民がその利益を享受できるような魅力的で象徴的な空間とするということが事業実施の前提条件となるのではないかと考えます。
世界との都市間競争に対峙できる魅力的な空間形成、エリアの魅力向上に、民間事業者にしっかりと取り組んでいただく必要があると考えますが、見解を伺います。
113◯山崎景観・プロジェクト担当部長 都が策定いたしました都市づくりのグランドデザインでは、首都高速道路の大規模更新と日本橋周辺のまちづくりの機会を捉え、連携して首都高の地下化や水辺のにぎわい創出などに取り組むことにより、国際金融都市にふさわしい品格ある都市景観の形成や、歴史、文化を踏まえた日本橋の顔づくりなどを図ることとしております。
また、地元の中央区が策定いたしました日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョン二〇一七では、国際都市東京を代表する世界に誇る日本の魅力的な水辺景観の形成を目指すとしております。
こうした位置づけを踏まえまして、八重洲一丁目北地区及び日本橋室町一丁目地区では、日本橋川沿いに水辺を楽しめる歩行者通路と緑地等のオープンスペース、川に顔を向けた低層のにぎわい施設を配置し、建物とオープンスペースが一体となったにぎわい空間を創出することで、日本橋を中心に、美しく魅力的な景観を備えた国際的な商業、観光エリアとして、国内外から人々を呼び込む日本橋川交流拠点を形成することとしております。
また、今回の二地区を含む日本橋川沿いの五地区が連携してエリアマネジメントを行う組織を設立し、水辺空間の魅力向上やにぎわい創出に向けた取り組みを行うこととしております。
114◯滝田委員 続けて伺います。水辺空間の活用がエリアマネジメントの核になりますけれども、柔軟な河川占用など、都としてどのように促していくのかお伺いをいたします。
115◯山崎景観・プロジェクト担当部長 河川敷地占用許可準則では、河川管理者、地方公共団体等で構成する協議会を活用することで、都市及び地域の再生に資する河川敷地の利用に関し、地域の合意を得て区域が指定された河川敷地では、民間事業者の占用を認めることが可能とされております。
今回の二地区の計画では、この協議会を活用いたしまして、今後設立するエリアマネジメント組織が河川敷地と民間敷地が一体となった水辺空間の魅力向上等に取り組むことを予定しておりまして、水辺空間における美観形成や維持管理のほか、イベントやオープンカフェ等によるにぎわいづくりなどが、事業者において検討されております。
都といたしましても、にぎわいのある水辺空間の実現に向け、継続して関係者と調整を行ってまいります。
116◯滝田委員 今回は特に水辺、河川空間でありますけれども、河川空間や道路空間、公園といった公共空間の都市づくりへの活用は非常に重要なテーマであると考えています。
今回の場合、河川管理者であるのは都の建設局というふうに理解をしておりますけれども、管理の視点で活用を阻害するということのないように、しっかりと局間でも連携して取り組んでいただきたいと改めて要望をいたします。
また、昨年、地域再生法が改正されまして、地域再生エリアマネジメント負担金制度、いわゆる日本版BIDが創設をされました。エリアマネジメントを推進する上で長年必要性が指摘されていた制度であります。
今後、自立的な財源を確保しながら、民間が主体となって地域の魅力づくりに取り組めるように、事業者、地元自治体とともに、都内で制度活用のモデルケースをつくっていただきたいというふうに思います。
ぜひ日本橋地域におきましても、エリアの価値向上を民間が主体となって一層取り組めるように、本制度の活用を検討していただくように要望いたしまして、私からの質問を終わります