令和元年環境・建設委員会 2019-12-12②

◯滝田委員 私からは、奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定についてお伺いしたいというふうに思います。
 東京にはまず、八万ヘクタールの自然公園がありまして、大都市の近郊に広大な緑と自然があるということであります。
 この八万ヘクタールという数字はちょっとイメージしづらいと思うんですけれども、都の面積の三六%に当たるものが自然公園として指定をされているということだと理解しておりまして、全国でいうと、琵琶湖がある滋賀県に次ぐ二位ということなので、自然公園の指定されている割合としては非常に大きいというのが東京都の特徴であるという理解です。
 これは非常に大きな資源なんですけれども、一方で、ちょっと体感とは違うかなというふうに思うところもありまして、なかなか東京にたくさん自然があるということを実感するというか、触れる機会がやっぱりまだ足りないのかなというふうにも思う次第です。
 そうした状況ではありますが、東京都としては、二〇一七年に全国で初めて自然公園に関する総合的なビジョンであります東京の自然公園ビジョンというものを作成しておりまして、私としては、豊かな自然環境を保全する、これは非常に重要でありますけれども、一方で、保全の観点だけではなくて、こうした貴重な自然というものを都民あるいは東京を訪れた人々が気軽に親しむことができる、体感ができるということは非常に重要であるというふうに考えております。
 まずは、自然公園の目指す姿の方針について伺うとともに、その中でビジターセンターの果たすべき役割について伺いたいと思います。

182◯近藤自然環境部長 平成二十九年五月に策定された東京の自然公園ビジョンでは、自然公園が目指す姿として、次の三つの姿を掲げて、地域の観光資源との連携など、新しい時代にふさわしい自然公園の取り組みを進めております。
 第一は、多様性と連続性が織りなす自然環境を育む自然公園、第二は、人と自然との関係を取り持つ自然公園、第三は、誰もが訪れ、誰もがかかわれ、誰からも理解される自然公園の姿でございます。
 これらの目指す姿に対してビジターセンターの果たすべき役割としては、第一に、自然環境の状況を的確に把握し、情報を収集、分析すること、第二に、自然公園が広がる地域の暮らしと活力を引き出すこと、第三に、東京の豊かな自然の魅力や価値を多くの人に伝えることであると考えております。

183◯滝田委員 今答弁にもありましたけれども、東京の豊かな自然の魅力や価値を多くの人に伝えるということは非常に重要な観点であるというふうに考えています。特にインタープリターの機能、自然環境についての理解を助ける、まあ、翻訳するような役割、あるいは体験を助ける役割というのが重要であるというふうに考えます。
 施設内での展示だけではなくて、自然体験につながる機能というものを強化していくべきではないかというふうに思うわけです。
 また、先ほども出ましたけれども、奥多摩と御岳という地域が連続しておりまして、来訪者にとりましては一体感のエリアであるということですので、ビジターセンターの間でのエリア間の連携というものも強化していくべきであるというふうに考えます。
 こうした観点から、今回新たに指定管理者の候補になりました株式会社自然教育研究センターに期待する機能について具体的に伺いたいと思います。

184◯近藤自然環境部長 株式会社自然教育研究センターは、既に御岳ビジターセンターや高尾ビジターセンターで指定管理者の指定を受けております。これらのビジターセンターで人気のある子供パークレンジャーや、夜間にムササビ観察などのさまざまな環境教育プログラムの提案があり、自然の魅力や価値を多くの人に伝えることが期待できます。
 また、各ビジターセンターを横断的に兼務するスタッフを複数配置することで、相互の支援体制を確立する提案があり、奥多摩に限定されない広大な多摩地域の自然公園内の自然環境の状況をより円滑かつ的確に把握し、分析することや、利用者のニーズを共有、集約し、対応することなどが期待できます。

185◯滝田委員 新たな指定管理者には、魅力的な環境教育プログラムの展開であったり、あるいはビジターセンター間の連携強化が期待できるということでありますので、ぜひとも具体的な取り組みに落とし込んでいただきまして、これまで以上に自然の魅力や価値を多くの人に伝える力を発揮していただきたいというふうに思います。
 現在は、東京都公園協会が指定管理者であるということでありますけれども、これまでのビジターセンター運営に関してどのような取り組みが行われていたのか、改めて確認で伺いたいと思います。

186◯近藤自然環境部長 奥多摩ビジターセンターは、日々管内を巡視している東京都レンジャーなどが収集した動植物に関する情報や、登山道の通行どめなど安全・安心に係る情報を共有、連携し、利用者に向けて発信しております。
 また、奥多摩湖の桜や奥多摩むかし道の紅葉など、四季折々の自然の見どころをホームページやビジターセンターの機関誌で紹介しております。
 さらに、窓口では、周辺地域で開催されているお祭りやイベントを紹介するとともに、初めて訪れた人にもわかりやすいハイキングコースの地図などを配布しております。

187◯滝田委員 東京都レンジャーと連携をした情報収集や発信、あるいは地域と連携をしたイベント等の情報発信などにこれまでも取り組んできたということであります。この点については、東京都公園協会から指定管理者がかわってもしっかりと連携を維持強化してもらうように要望いたします。
 また、先ほど高倉委員の方から質疑でもありましたけれども、指定管理者がかわるということでありますが、現在の来館状況や、あるいはホームページの閲覧状況、機関誌なども配布しているということですので、それらの活用状況など、指定管理者がかわるということを一つの契機にしまして検証していただくのがいいのではないかなというふうに思っております。
 情報の発信力の強化ということでありますけれども、これは実際に来訪している人たちに対してだけではなくて、潜在的な来訪者にどれだけリーチができているのかという観点も重要でありますので、そうした視点も踏まえまして検証していただきたいというふうに思います。
 さて、ことしは台風の被害が相次ぎましたけれども、先日の台風被害の際にビジターセンターが果たした役割についてもお伺いをしたいというふうに思います。

188◯近藤自然環境部長 ビジターセンターは、多摩地域などにおける登山、ハイキング、一般観光情報などの情報提供及び安全利用指導を行う施設でございます。台風、大雨等の警報発令時や火災、震災時において非常配備態勢をとり、必要に応じて利用者の避難誘導や施設の点検、東京都への状況報告を行います。
 また、災害発生後は、登山道の状況等について東京都レンジャーや地元住民、自治体と情報共有し、被害状況を集約します。集約した最新の情報をビジターセンターのホームページに掲載するとともに、電話問い合わせに対応するなどして、自然公園利用者へ提供を行っております。
 今回の台風十九号では、接近時に利用者の安全を図るため、早期に全ビジターセンターの休館をお知らせしたほか、通過後は散策路や登山道の閉鎖及び復旧後の通行再開についていち早く情報収集して、ホームページ等で発信しております。

189◯滝田委員 今後も台風や豪雨などによる被害ということはますます心配されるわけですけれども、こうした災害発生時、あるいは災害発生後において、都民の生命を守るためにも、ビジターセンターには、関係者と連携をしましてしっかりと対応できるように、十分な準備をお願いしたいというふうに思っておりまして、これはもう指定管理者がかわったとしても、引き続き取り組んでいただく必要がありますので、新たな指定管理者とは、この点についても確認をしっかりと行っていただきたいというふうに思います。
 また、復旧だけではなくて、来訪者に再び安心して訪れてもらえるようにするところまでが復旧ということでございますので、そこまで含めて重要だということも改めて申し上げさせていただきたいと思います。
 豊かな自然環境を保全しながら、貴重な自然を多くの都民や東京を訪れた人々が気軽に親しむことができて体験ができるという環境を整えて、それをしっかりとリーチしていただくということを再度お願い申し上げまして、私からの質問を終わります。

令和元年環境・建設委員会 2019-12-12②
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