令和元年環境・建設委員会 2019-11-29(環境局・事務事業質疑)

◯滝田委員 都民ファーストの会東京都議団、滝田やすひこです。気候変動に対する非常事態を宣言することに関する請願につきまして質疑をさせていただきたいと思います。
 近年の地球規模での気候環境の変動、国内でも記録的な猛暑、台風の大型化、かつてない豪雨や土砂災害などでの被害が甚大化しております。
 そして、このような傾向は近年さらに加速をしているのではないかとも感じられます。現に、このような危機に直面しているのではないか、また今後の改善に向かっていないのではないのか、対策しているというけれども、結果が出ていないのではないかと、私も直接お会いをしまして、思いというものをお聞きしましたけれども、今回請願を上げてくれた多くの若い世代が、それこそ声を震わせて声を上げています。
 世界でも、十六歳のグレタ・トゥンベリさんを初めとしまして、多くの若い世代が声を上げているところであります。
 この場にいる我々世代が次の世代の子供たち、これから生まれてくる未来の世代に対して本当に責任ある行動がとれているのか、結果を出せているのかということが問われているのではないでしょうか。
 まずは、環境局長に対しまして、改めて気候変動、異常気象、温暖化、こうした危機的状況につきまして、どのように認識をしているのか、危機感を伺いたいと思います。未来の世代への思いも込めて答えていただければと思います。

17◯吉村環境局長 世界では、海面水位の上昇、ハリケーンや洪水、熱波などの極端な気候現象が増加しております。日本でも、全国各地で我々が経験したことのない豪雨による土砂災害の発生などの大きな被害が生じています。
 東京では昨年、観測史上初の四十度を超える暑さを記録し、ことしも二十九日連続で最高気温が三十度以上の真夏日が続くなどの現象が見られました。
 このように、気候変動による影響は、世界中、日本各地、そして我々の日常、さらには将来の世代に差し迫る深刻な状況となっており、脱炭素社会に向けた大胆な変革の必要性を強く認識しているところでございます。
 都民、企業の生命と財産を守り、都市としてのさらなる成長を確実なものとしていくため、都は、本年五月の国際会議の場で、ゼロエミッション東京の実現を目指すことを宣言いたしました。
 本年九月に国連が開催した気候行動サミットでは、多くの国が二〇五〇年までに温室効果ガス排出量を正味ゼロにすることを誓うとともに、行動計画を強化する予定であるか、あるいは既に強化を開始していることを発表いたしました。
 世界的にも、国や都市が、具体的な行動を起こすことが重要となっている中、都は、この年末に向けまして、具体的なロードマップを示しますゼロエミッション東京戦略を策定し、二〇五〇年に向けた取り組みを確かなものにしてまいります。
 こうした都の取り組みを国内外に発信し、世界の大都市とのネットワークも活用しながら、連携協力することで、世界のCO2削減に貢献してまいります。

18◯滝田委員 今、現在、そして将来の世代にわたって差し迫る深刻な状況であるというふうにご答弁いただきました。また、脱炭素社会に向けました大胆な変革の必要性ということも認識しているということで、これは環境局、そして東京都の強い認識であるということを確認させていただきました。
 また、先ほどの答弁の最後に、取り組みを確かなものにしていくということで、力を込めていただいたというふうに思いますけれども、局長からのご答弁、私たちとしても重く受けとめて後押しをしていきたいというふうに思います。
 次に、気候変動の甚大さとその対策の緊急性について、これまでの小池都知事の発言など、都の認識について伺いたいと思います。

19◯小川地球環境エネルギー部長 知事は、平成二十八年八月の就任以降、都議会における所信表明や答弁、また、対外的な講演等において、気候変動についてさまざまな発信を行っております。
 気候変動の甚大さについては、人類の生存基盤を脅かす、気候変動による脅威などの表現で、深刻な状況にあるとの認識を示しております。
 また、そのような状況への対処としては、地球温暖化対策は大都市の責務、都市の役割は極めて重要、世界の気候変動対策をリードしていくなどと、大都市として積極的に気候変動対策を実施していくことを表明しております。
 加えて、世界大都市気候先導グループC40の一員として、気候変動対策に関する制度や経験を共有し、世界の各都市との連携を深めていくということも述べています。
 さらに、U20メイヤーズ・サミットにおいて、二〇五〇年にCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を実現することを表明し、それ以降においても、議会、講演等において、気候変動がもたらす影響の深刻さの認識や、都市が力を合わせて行動することが重要で、都はその先頭に立っていくということを繰り返し訴え、発信しております。
 これらの知事発言にもあるとおり、気候変動の影響の甚大さ、深刻な状況と対策の緊急性を明らかにしていると考えております。

20◯滝田委員 今ご答弁にもありましたけれども、本年五月に東京で開催されましたU20メイヤーズ・サミットにおきまして、小池都知事の方から、二〇五〇年にCO2実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を実現するという、これは高い目標だと思いますけれども、東京都として世界に対して発信をいたしました。
 この件につきましては、一昨日の事務事業質疑におきましても、私を初めまして、各会派の委員の皆様から質疑がありまして、年内、十二月中にゼロエミッション東京戦略を策定して、二〇三〇年の中間目標及び具体策を示していくといった答弁もございました。
 都民ファーストの会東京都議団としましても、気候変動への対策を含めて、環境政策において一層の注力、施策の強化をしていくということを、おとといの事務事業質疑におきましても、各テーマ、ご提案をしてまいりました。
 また、ゼロエミッション東京戦略の策定後も、局の皆様方とともに、個々の施策のブラッシュアップをしていきたいというふうに考えております。
 一昨日も各テーマで質疑をしているものではありますけれども、本日、多数の傍聴の方もいらっしゃいますので、都の取り組んできた気候変動対策について、改めて主要なものについて、この場での確認として伺いたいというふうに思います。少し多岐にわたりますので、ある程度簡潔で構いませんので、お願いいたします。

21◯小川地球環境エネルギー部長 都は世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度のほか、中小規模事業所を対象とした地球温暖化対策報告書制度、新築の大規模建築物に対する建築物環境計画書制度によりまして、建築物の省エネ化施策を進めております。
 昨年度には、脱炭素社会の実現を見据え、これら三制度を改正いたしまして、さらなる省エネと再生可能エネルギーの利用を促す仕組みを二〇二〇年度から拡充することといたしました。
 家庭部門につきましては、照明のLED化や省エネ性能の高いエアコン等への買いかえを促進するとともに、住宅の省エネ、高断熱化等を進めております。
 また、再生可能エネルギーの導入拡大については、住宅において初期費用負担なく太陽光発電を設置できる取り組みや、地産地消型の再エネ設備を導入する事業者に対する補助事業などを実施するなどしております。
 さらに、運輸部門におきましては、燃料電池自動車、電気自動車など、ゼロエミッションビークルの普及に取り組んでおります。
 こうしたさまざまな取り組みとあわせ、チームもったいないを創設するなど、広く都民、事業者等との連携も図りながら、気候変動対策を強力に推進しております。

22◯滝田委員 かなり多岐にわたりますので、簡潔に答えていただきましてありがとうございました。
 今後、ゼロエミッション東京戦略ということで、施策の強化をしていくということでありますので、この点につきましても、来月策定されますが、改めて、ゼロエミッション東京戦略において強化する主な観点につきましても続けて伺いたいと思います。

23◯若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本年末に策定を予定しておりますゼロエミッション東京戦略では、気候変動の影響の甚大さと対策の緊急性を踏まえ、新たな三つの視点で取り組みを推進していくこととしております。
 具体的には、まず、気候変動を食いとめる緩和策と、既に起こり始めている気候変動の影響に備える適応策を総合的に展開していくことです。
 また、製造、流通、廃棄等の各段階でCO2を排出するプラスチックなどの資源利用についても、本格的に気候変動対策に位置づけ、都外のCO2削減にも貢献することです。
 さらに、これまで進めてきた省エネ、再エネの拡大策に加え、資源循環や自動車環境対策など、あらゆる分野の取り組みを強化していくことの三点でございます。

24◯滝田委員 今、各種施策につきましてご答弁ありました。先ほどもご紹介しましたけれども、U20メイヤーズ・サミットにおきまして知事が発言をしておりますけれども、気候変動による影響の甚大さと対策の緊急性ということにつきましては、都の認識であるということだと思います。
 また、これまでの気候変動対策に加えまして、ゼロエミッション東京戦略を策定して、具体策、そして二〇三〇年に向けた中間目標を示すことで、取り組みが加速していくというふうに思います。
 しかしながら、具体的な取り組みの中でしっかりと成果を上げられるのかどうかということが問われているのだというふうに思いますので、引き続きしっかりと取り組みを示していただきまして、進めていただきたいというふうに思います。
 また加えまして、重要な観点として、気候変動は一都市で対応できるものではありません。都が気候変動対策の具体的な取り組みにおいて先端を走り、成果を上げる、他都市の範となる新たなスタンダードを築いていくということが重要でありますし、危機感と具体策を国内のみならず世界に提示をしていくということが世界最大の都市東京の果たすべき責務ではないでしょうか。
 今回の質疑に当たりまして、請願の文言、そしてさまざまな国内の環境団体などが示している考え方、先ほど説明もありましたが、鎌倉市議会や壱岐市におきまして議決した内容など確認をいたしました。加えて、海外のクライメート・エマージェンシー・デクラレーションの団体のウエブサイトなども確認をいたしまして、世界でいわれているクライメート・エマージェンシー・デクラレーションとは、そもそもどういった内容であるのかということを調べておりました。
 私が調べた限りということでありますので、正確ではないかもしれませんが、この中で取り組まなければいけないこと、その要件であったりガイドラインというものは、恐らく正式にはないのかなというふうに思っておりまして、これはちょっと局の方でも今後も確認をしていっていただきたいというふうに思うのですが、ただ、明らかに方向性として述べているのかなというふうに思いますのが、非常事態、危機として気候変動を認識して警告をする、市民の危機感を喚起して行動を促していくというところに強い力点を置いているのだろうというふうに捉えております。
 この点については、発言力のある都知事もおりますので、今後も一層こうした危機感の発信ということ、市民を巻き込んでいくということについては強化をしていくべきだということを申し述べさせていただきます。
 また、日本国内のみならず、グローバルでの東京の発信力、影響力の発揮という観点が非常に重要であると考えます。ニューヨーク、ロンドン、パリを含む世界二十カ国約千二百の都市におきまして既に宣言が行われておりまして、そうした都市がどのような内容で宣言を行って、具体的な取り組みにも落とし込んでいるのかということについては研究が必要であるというふうに思います。
 ニューヨーク、ロンドン、パリなど海外主要都市では、ことし、クライメート・エマージェンシー・デクラレーションを採択しておりますけれども、そのような海外他都市の戦略動向についてどのように捉えているのか、都の見解を伺いたいと思います。

25◯小川地球環境エネルギー部長 ニューヨーク、ロンドン、パリなどの都市では、二〇五〇年までにカーボンニュートラルやゼロカーボンを行うという目標等を掲げつつ、気候非常事態宣言を行っております。
 他方、コペンハーゲン、オスロ、ヘルシンキ、ストックホルムなどの北欧諸国の首都などでは気候非常事態宣言を行っておりませんが、これについては、カーボンニュートラルの目標を掲げて既に取り組みを始めているためではないかと推察する学識経験者もおります。
 都におきましては、U20メイヤーズ・サミットでゼロエミッション東京を目指すことについて宣言を行い、具体的なロードマップを示すゼロエミッション東京戦略の策定を進めております。海外他都市などの世界の動向につきまして、引き続き、情勢の把握をしてまいります。

26◯滝田委員 海外都市の動向については引き続き情勢を把握していくということでご答弁がありました。
 また、来月十二月二日からは、国連気候変動枠組条約第二十五回の締結国会議、いわゆるCOP25がマドリッドで開催をされます。二〇二〇年のパリ協定発効前の最後の開催ということもありまして、注目度が非常に高まっているということであります。
 世界に広がっているフライデーズ・フォー・フューチャーの運動を始めましたグレタ・トゥンベリさんの演説も行われるというふうに思いますので、これも注目をしたいというふうに思います。
 こちらのCOP25にも職員を派遣すると思いますが、都としてグローバルの動きを捉えて、どのように海外都市とも連携をしていくのかということを引き続き取り組んでいただきたいというふうに思います。来月の気候変動に対する世界の動きも踏まえて、都市間競争の視点、そして都市間連携の視点、双方から気候変動対策の国際戦略を考えてもらいたいというふうに思います。
 今回の請願の思いを受けまして、未来への責任を持って取り組んでいただくように強く要望したいと思います。
 また一方で、おとといも、小磯理事より気候変動適応計画策定の重要性について質疑がありました。温室効果ガスの排出抑制などの気候変動対策を早急に進めるとともに、現時点で起こっている気候変動の事象に対応する適応策については、全庁でしっかりと取り組んでいただくように私からも要望を申し上げます。
 最後に、今回の請願に対する姿勢を述べさせていただきたいと思います。
 まず、私たち都民ファーストの会東京都議団としても、気候変動による影響が危機的な状況である、かつ、加速している懸念すらあるという認識のもとで、都に対しては、気候変動対策の具体的な取り組みにおいて、世界の先端を走り、成果を上げていく、危機感と具体策を国内のみならず世界に提示していくことで、世界最大の都市東京の責務を果たしていただきたいということを要請いたします。
 加えて、来月のCOP25でも新たな動きがグローバルで起こるはずでありますので、その内容や海外主要都市の直近の動向もにらみ、都は気候変動対策に関する国際戦略を考えていくべきだということもあわせて要請をいたします。
 一方で、気候非常事態宣言の要件というものは明確ではないのかなというふうに思いますが、内容面では既に同等以上のことを都は目指している。そして、今まさに具体化に向けたゼロエミッション東京戦略を年内をめどに策定中であります。
 そうした状況下で、今、請願内容に基づく気候非常事態宣言をすべきといった形で採択、不採択を決することが妥当とはいえないのではないかというふうに考えております。
 都で現在取り組んでいるゼロエミッション東京戦略に基づく施策の具体化の進展を見るとともに、今後の世界の動きを注視して、今回の請願は継続審議とすべきと意見をいたします。
 多くの若い世代、現在と未来に深刻な危機を感じ取るだけではなく、世界と東京で大きく活動しまして、都議会にも請願を上げてくれたこと、また本日も多くの方に傍聴に来ていただいたことに感謝を申し上げました上で、私からの質問を終えたいというふうに思います。

令和元年環境・建設委員会 2019-11-29(環境局・事務事業質疑)
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