令和元年環境・建設委員会 2019-10-29(建設局・事務事業質疑)

◯滝田委員 今回から環境・建設委員会の委員となりましたので、一年間よろしくお願いいたします。私の大学時代の専攻は都市計画、まちづくりでありましたので、これまで二年間、担当してきました都市整備委員会の事業、そしてこの建設局の事業は、まさに専門に近い領域でございまして、皆様とさまざま議論させていただきまして、世界の都市間競争に打ち勝つ魅力的な都市を築く一助とさせていただきたいと思います。
 都市整備委員会でも申し上げてきましたけれども、これまでの都市化の流れの中で、いわば犠牲にされてきた水辺、緑、空といったものを都市に取り戻す、人の手に取り戻す転換点に来ていると考えています。交通を適切に安全にさばくことや、治水など防災対策をますます高めていくことは、首都東京のインフラとして大変重要でございます。
 一方で、東京の未来、二〇四〇年代を見据えて取り組むべきことは、これらに加えまして、東京の新たな活力と魅力を高めるために、水辺や緑や空を人の近くに取り戻し、享受できる、そうした環境を両立させることであると考えています。
 次世代の都市空間、都市インフラの形成、それを現場で実現していくのが建設局の皆様だと思います。具体的には、例えば水辺を生かす河川空間であったり、舟運の利用、あるいは緑を生かす公園や緑の多面的な活用、空を生かす無電柱化や首都高速道路の地下化など、取り組みの加速を都市整備局や関係各局と連携して取り組むことを期待いたします。
 こうした観点に基づきまして、また、直近の台風十九号を踏まえました防災対策の観点を加えまして、順に伺いたいと思います。分量が多いので、やや早口で進めてまいりますけれども、ご容赦をいただきたいというふうに思います。
 まず、無電柱化をテーマに質問いたします。
 小池都知事就任後、二〇一七年には都道における電柱新設を禁じるなど、都道府県初の東京都無電柱化推進条例を制定しまして、その後も無電柱化推進計画の改定や、基礎自治体の事業への支援拡大に取り組んでいること、評価をしております。時間のかかる取り組みではありますけれども、先般の台風十五号におきましては、島しょや千葉県での電柱倒壊などの被害もありまして、対策のより一層の加速が求められます。
 都の無電柱化推進計画によりますと、平成二十九年度末の都道の無電柱化率は区部で五八%、多摩では一八%というふうになっておりまして、平成二十五年度末と比べますと、区部五一%、多摩一五%でございましたので、着実には進捗しているというふうに理解しております。
 一方で、市民の実感として、無電柱化が十分に進んでいるのかというふうに考えますと、まだ認識され切れてはいないのかなというふうに思います。それは大部分の道路、約九割を占めます区市町村道での無電柱化率がまだまだ非常に低いということによるものです。
 災害時には電柱の倒壊によって避難経路がふさがれる、救援物資や復旧のための車両通行に支障が出るといったことに加えまして、先般の台風十五号のように長期の停電が起こることも想定されまして、区市町村道での無電柱化を進めることは首都東京の防災力向上に大いに重要だと思います。
 昨年、建設局がまとめました見える化改革の報告書によりますと、阪神・淡路大震災、少し前の事例ではありますが、幅員八メートルから十メートル以上の道路におきましては、震災後も車道通行ができていたといった調査結果も掲載されています。
 逆にいうと、幅員が十分ではないけれども、重要な道路というものが区市町村道にたくさんありまして、いざというときに、そうした道路こそ通れなくなる可能性が高いということです。そういう意味でも、区市町村道における無電柱化は災害時の通行を確保する効果が大きいといえるのではないでしょうか。
 まず、区市町村道で無電柱化を推進する上での主要な課題としまして、区市町村の財政負担が大きいことがありますが、都としてどのような支援を行ってきたか伺います。

18◯花井道路保全担当部長 都内全域で無電柱化を推進するためには、都道のみならず、区市町村道の無電柱化を一層促進することが重要でございます。このため都は、平成二十年度から区市町村の無電柱化事業に対しまして財政支援を開始し、現在、東京二〇二〇大会競技会場周辺、防災に寄与する路線等を対象に財政支援を行っております。
 これに加えまして、平成二十九年度より、道幅の狭い道路に低コスト手法を導入する事業等に対しまして、事業費を全額補助する無電柱化チャレンジ支援事業を開始し、今年度は三十八区市、約九億円の財政支援を予定しております。
 また、チャレンジ支援事業を活用し無電柱化推進計画を策定もしくは作成に着手した区市は、平成三十年度まで二十六区市でございます。

19◯滝田委員 都の支援の拡充、特に平成二十九年度から始まりました無電柱化チャレンジ支援事業については、区市町村の整備費負担をなくしたことで、先ほどご説明がありましたけれども、新規の取り組みが生まれて、また無電柱化計画の策定が進むなど、区市町村の取り組み姿勢が変わってきたことは評価されるものと思います。
 さて、平成二十九年度に制定をしました都の無電柱化推進条例では、都道における電柱の新設を禁じることができているというふうに理解をしております。無電柱化を着実に前進させる上で、まず新設を禁じるということは非常に有効であります。
 一方で、例えば新たな宅地開発であったり、区画整理事業などにおいては、この条例で規制することができずに、電柱が新設されてしまう可能性もあるというふうに課題を認識しております。また、区市町村道においても電柱は新設ができる状況にあると理解をしておりますが、その点にどのように取り組むのか伺います。

20◯前田道路管理部長 都は管理道路全線について、道路法第三十七条に基づき、電柱の新設を禁止しております。一方、区市町村道におきましては、同法に基づく電柱の新設禁止が進んでいない状況にございます。
 無電柱化を進めていく上では、電柱をふやさない取り組みも重要でございます。このため、個別の意見交換などを行い、区市町村に対して電柱の新設禁止の実施に向けた検討を促してまいります。

21◯滝田委員 区市町村においても、電柱の新設を禁じていく取り組み、今、答弁にありましたけれども、ぜひとも進めていただきたいというふうに思います。
 都市整備局の所管となってきますので、質問等はいたしませんけれども、宅地開発であったり、区画整理事業などにおいても電柱の新設を制限できるように、新たな仕組みを設けていくべきであります。都市整備局とも連携をしまして、早期の制度設計を要望したいと思います。
 加えまして、施策の進捗管理という意味では、区市町村道での無電柱化について、状況の把握をどのようにしていくのかといったことについても課題がございます。こちらについても検討を求めたいというふうに思います。
 無電柱化を前進させていく上でのハードルとしましては、大きく三点あるというふうに理解をしています。一つは工期の長さ、もう一つは費用の高さ、三つ目が物理的な埋設スペースの三点でございます。一方で、今、有識者や民間事業者へのヒアリングによりますと、ここ数年で技術的な改良であったり、あるいは規制の一部緩和などがありまして、工期の短縮、費用の低減、省スペース化といったものが進んでいるというふうに聞いています。
 特に京都の先斗町における無電柱化の事例、これは狭い路地のような道路でも無電柱化が可能であるということを示したものであります。狭い区市町村道ではスペースがなくて無電柱化ができないといったような、これまでの見方を変えるものであります。
 道幅の狭い区市町村道の無電柱化を進める上で、こうした改善を取り入れていく必要がありますが、都は区市町村へどのように技術支援を行っていくのか伺います。

22◯花井道路保全担当部長 区市町村に対する技術支援につきましては、これまでの区市町村職員向けの講習会や実物大モデルを活用した実践的な研修に加えまして、区市町村が設定する技術検討会に都の職員が直接参加するなど、技術支援を積極的に行っております。
 さらに、平成二十九年度に情報連絡会を立ち上げまして、区市町村の取り組み事例や無電柱化に関する最新の技術動向、既存のマンホールや管路を活用して電線管理者等に事業の一部を委託する方法など、無電柱化の整備手法のノウハウにつきまして情報共有を図っております。
 例えば、豊島区の巣鴨地蔵通りにおけます新たな管路材や電線等の埋設深さを浅くする手法等の導入によります本体工事費の約一割削減や、これら新技術の採用や、本体管路部と引き込み管を同時に施工することなどによります工期約九カ月の縮減事例の共有化を図りました。今後とも、区市町村への技術支援に努めてまいります。

23◯滝田委員 そうした新しい技術については、ぜひとも関係者間で情報共有しながら進めていただきたいと思います。
 無電柱化推進計画の改定によりまして、現在、都において無電柱化を重点的に取り組むとしておりますのは、環状七号線の内側及び第一次緊急輸送道路、区市町村の庁舎や災害拠点病院などへ接続する道路などとなっています。
 環状七号線の外側、多摩地域におきましても、例えば人口の集中する駅周辺の中心市街地などにおいて電柱の倒壊などが起これば、都市機能の中核が麻痺することとなります。こうしたエリアにおきましても整備を加速すべきというふうに考えます。
 駅周辺の中心市街地を初め人が集中する場所において、防災面も鑑みて、区市町村道の無電柱化をさらに加速する仕組みをつくるべきと考えますが、見解を伺います。

24◯花井道路保全担当部長 これまで利用者の多い主要駅及び観光地周辺等におきまして、国と都で事業費の四分の三の財政支援を行うなど、区市町村と連携し、面的な無電柱化を促進してまいりました。
 これに加えまして、今年度からは、近年頻発する自然災害への備えといたしまして、区市町村への財政支援のうち、防災に寄与する路線につきまして、補助率を四分の三から四分の四に引き上げ、防災緊急パッケージといたしまして区市町村に対する財政支援の強化を図ったところでございます。今年度は四十二区市、約十二億円の財政支援を予定しております。
 駅周辺の中心市街地などでも一層活用ができますよう、財政支援の内容や活用方法などにつきまして、連絡会議等で周知を図り、区市町村の理解を深めますことで主体的な取り組みを促し、都内全域での無電柱化を推進してまいります。

25◯滝田委員 区市町村や地域の関係者が中心市街地などで無電柱化を実施したいと意欲的に動けるように、財政的支援を一層受けられやすくしていただくように答弁ありましたけれども、運用をお願いいたします。中心市街地が変わりますと、都民の意識も変わります。都市全体の無電柱化の取り組みも加速してくるというふうに考えているところでございます。
 さて、無電柱化に関しまして、最後に占用料について伺いたいと思います。
 都道において電柱の占用料は幾らに設定をされているのか、その設定の算出根拠とあわせて伺いたいと思います。加えて、占用料の変更にはどのような手続が必要であるか伺います。

26◯前田道路管理部長 都道における電柱の占用料でございますけれども、都道上に最も多い種類のもので、年額で一本当たり、特別区で六千八百円、市で二千二百八十円、町村で四百二十円でございます。
 道路占用料は、道路を使用することに応じた対価を徴収するものでございまして、固定資産税評価額をもとに算出しております。道路占用料は、道路占用料等徴収条例において定められておりまして、その変更には条例改正が必要でございます。

27◯滝田委員 もともと迅速に電力供給網を構築するということで、電柱の設置は許可されるものとして制度が設計されてきたというふうに理解をしています。ですので、道路の使用部分に対しての対価を払えば使用できるというふうになっているのかというふうに思います。
 一方で、近年の論点としましては、災害時に電柱が倒壊することで緊急車両が通れない、あるいは避難経路が塞がれるといった懸念があること、あるいは平時においても景観を損なうことであったり、歩行者の通路を阻害するといったことが課題にあるという話でございます。電柱が設置されることによるマイナス面、つまりは外部不経済が議論されているところでございます。
 確認の質問となりますけれども、先ほど伺いました電柱の占用料の設定においては、外部不経済は加味されていないということでよいか伺いたいと思います。

28◯前田道路管理部長 先ほども申し上げましたように、道路占用料は、道路の使用対価として徴収しているものでございます。このため、占用料の算定に当たりましては、外部不経済の要素は加味されておりません。

29◯滝田委員 ご答弁ありがとうございます。
 防災上の観点など弊害が議論されている中でございますので、都条例で定めている占用料につきましても外部不経済を考慮するべきではないかということを問題提起いたしますので、検討を要望したいと思います。
 次に、河川について伺います。
 ゲリラ豪雨や勢力の強い台風の上陸など、これまでの想定を上回るような短期間での激しい降雨、近年頻発しております。先日の台風十九号におきましては、狩野川台風クラスといわれるほどで、私の地元八王子市では総雨量四百二十七ミリ、観測史上最多となる降水量をもたらすほどの強烈な雨台風でございました。これを大きな河川氾濫とはならずに、ぎりぎりのところで食いとめたという点は、これまで長年の都の治水の取り組みが効果を発揮したものでありますので、大きく評価されるべきものと思います。
 一方で、少し環境が違えば、多摩川や浅川の本流、支流、あるいは低地帯において大きな氾濫などになった可能性がありまして、関係部局や各基礎自治体と連携して、今回の台風を踏まえた弱点の洗い出し、優先順位や費用対効果を検証しながら対策を強化するように強く要望いたします。
 また、実際に被害を受けた個々の河川や地域における緊急対策の要望につきましては、都民ファーストの会東京都議団としまして、先週、知事宛てに要望書を提出しておりますので、改めてご確認、対応をよろしくお願い申し上げます。
 そのような中で、都は調節池の整備の加速を打ち出し、取り組んできておりますが、区部時間七十五ミリ、多摩六十五ミリの目標水準達成時のアウトカムとしての治水効果について伺います。あわせて、その達成に向け、現在事業中の八施設の総事業費について伺います。

30◯小林河川部長 目標整備水準を達成した場合につきましては、都内中小河川流域に戦後最大の被害をもたらした狩野川台風に加え、時間百ミリの局地的短時間の豪雨にも効果を発揮し、溢水を防止することが可能となります。さらに、近年、中小河川流域に浸水被害をもたらしました百十三の降雨のうち、九八%に当たる百十一の降雨において河川から溢水はしないなど、大きな効果を発揮することを確認いたしました。
 この目標整備水準達成のためには、九つの対策強化流域で、護岸に加え、総貯留量約五百六十万立方メートルの調節池等の整備が必要になります。そのうち、合わせて約百十万立方メートルを貯留する七調節池と谷沢川分水路の計八施設で現在工事を実施しており、その総事業費は、現時点で約千八百億円程度となる見込みでございます。

31◯滝田委員 ご説明の内容からしますと、計画達成には現在事業中のものの五倍の容量が必要ということで、単純計算にはなりますけれども、一兆円規模の事業ということかと理解をいたします。大半の浸水被害を未然に防げるということではありましたけれども、費用も膨大であります。費用や効果についてわかりやすく都民に示していくことでの理解の醸成が必要かと思います。
 また、目標としているアウトカムの達成に対して、調節池以外の取り組みも含めて適切な取り組みとなっているのか、数年ごとに総合的に検証して、ワイズスペンディングを心がけていただきたいというふうに思います。
 本年七月に国土交通省がグリーンインフラ推進戦略を発表いたしました。グリーンインフラは、土壌や緑などの自然環境が有する多様な機能に着眼したものであります。生物の生息であったり景観形成などのいわゆる緑が持つ機能に加えまして、例えば雨水の浸透であったり水質浄化、気温上昇の抑制など、これまでハードのインフラによって果たしてきた機能を融合させた考え方、コンセプトになるものがこのグリーンインフラです。
 多様な視点がありますけれども、治水に関連する部分でいいますと、河川においてはコンクリートで固めるということだけではなくて、樹木や水辺の生態に配慮した整備を行うこと、一方で、河川や下水への雨水の流入ということに関しましては、土壌の雨水貯留機能を道路、公園、河川護岸、民地などの各空間で浸透の機能を付加していくことで取り戻すということが考えられます。
 都におきましても、こうしたグリーンインフラの概念を総合的に取り組んでいくべきと考えますけれども、昨年、第一回定例会での我が会派の代表質問に対しまして、グリーンインフラとしての機能を持つ河川整備を検討するとの答弁がありましたので、現在の状況と今後の取り組みについて伺いたいと思います。

32◯小林河川部長 河川は都市に残された貴重な水辺空間であり、親水性や生態系にも配慮した川づくりを進めるためには、治水機能を確保しつつ、自然の多様な機能を生かすグリーンインフラを活用することが重要でございます。
 今年度は、空堀川では旧河川敷を活用した緑地の創出や透水性舗装による緑道を整備しております。また石神井川では、緑豊かな緩傾斜護岸の整備を進めております。
 今後とも、自然環境を有する多様な機能を活用した河川施設など、グリーンインフラとしての機能を持つ河川整備に取り組んでまいります。

33◯滝田委員 今後の河川整備におきまして、グリーンインフラの観点を一層具現化して、河川の多様な機能の実現に取り組んでいただきたいと思います。
 また、質問等はいたしませんけれども、近年のゲリラ豪雨のような時間当たり雨量の激しい降雨におきまして、雨水がどっと河川や下水に流れ込むということで浸水につながる場面がございます。土壌などの雨水貯留機能についても考慮した総合的な治水の取り組みを関係部局と連携して進めていただきたいと思います。
 さて、私の地元八王子市の浅川と南浅川の合流部について伺いたいと思います。
 本年の第一回定例会において請願が採択されまして、その後、堤防部の整備が前向きに検討されていることを評価いたします。同合流部の周辺は、今回の台風におきましても早い段階で氾濫危険水域に達しまして、非常に危険な状況でありました。都の取り組みの進捗に市民や地元市も期待を寄せるところです。
 浅川、南浅川の合流部につきまして、来年度予算において検討に必要な予算を確保し、取り組みを進めていただきたいというふうに思いますが、現在の進捗状況と来年度に向けた今後の取り組みについて伺います。

34◯小林河川部長 浅川の事業化に向けまして、下流を管理する国土交通省京浜河川事務所と、流下能力に加えまして、堤防線形やすりつけ方法等についての調整を開始しております。また、市が施行する新規橋梁に関する計画協議や堤防の現況測量を行っております。
 今後は、国や市との協議をさらに進めるとともに、堤防沿いの桜の影響も考慮した堤防線形や構造等を検討してまいります。浅川、南浅川の安全性向上に向け、着実に取り組んでまいります。

35◯滝田委員 ぜひともしっかりと進めていただきたいと思います。堤防沿いの桜につきましても、長年市民に親しまれておりまして、その点について配慮の上で検討を進めていくと発言がありました。また、同地は八王子市役所のすぐ近くでありまして、住宅地でもあります。ぜひとも堤防整備に合わせて親水性の高い空間、人々が川や水辺に親しめる空間を地元と協議の上で整備していただくように改めて要望をいたします。
 これまでの河川整備において、親水性の高い空間を整備した事例についてどのような取り組みが行われてきたのか、参考となる取り組みについて伺います。

36◯小林河川部長 河川整備に当たりましては、治水対策に万全を期した上で、可能な限り人々が憩い親しめる、魅力ある水辺空間の創出を図っていくことが重要でございます。
 例えば多摩を流れる鶴見川や野川などでは、人々が水辺に近づける緩い傾斜の護岸や階段傾斜の護岸を整備しております。こうした場所は、地元地域のお祭りやイベント、生物、水質調査などの環境学習、また河川の清掃活動の拠点などとして活用されております。

37◯滝田委員 そうした事例の情報につきましても、関係者と共有の上で進めていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 さて、今回の台風では、浅川の上流部及び南浅川の上流部でも氾濫が起こりまして、高尾駅周辺の市街地などでも浸水の被害を受けました。一部護岸の破損などもありまして、私が現地を確認したところでも、公園の歩道であったり、商店の敷地の一部であったり、河川で削り取られてしまった場所がございました。南浅川上流の案内川の高尾山口駅周辺は、もともと整備計画もあったところであり、早期の対応を求めたいと思います。
 浅川及び南浅川の上流部について、今回の台風十九号による被害状況や、氾濫の危険があった場所を早期に調査分析し、対策を打つべきでありますが、見解を伺います。

38◯小林河川部長 浅川では八王子市上恩方町の板当橋、南浅川では八王子市廿里町の白山橋付近で溢水が確認されたことに加えまして、両河川とも護岸の一部損壊などの被害が多数確認されております。高尾山口駅前を流れる案内川でも護岸が数カ所損壊しております。
 被災箇所については、速やかに現地の調査を実施し、施設の被害のあった箇所では現在、順次、応急復旧作業を進めております。今後、護岸等の構造や各河川の流下能力などを踏まえ、適切に対処してまいります。

39◯滝田委員 私の地元八王子だけではなくて、奥多摩であったり青梅であったりということで被害が多数出ておりますので、早期の着実な対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。
 建設局では、水防災総合情報システムにおきまして、雨量、水位、河川映像をインターネットのサイトで提供をしております。今回の台風において、避難の判断などで河川の状況把握、特に映像情報が非常に重要であったということを私自身も当事者として痛感をいたしました。建設局の管理河川においてこうした情報提供をしているということは評価いたしますけれども、課題もあると認識しています。
 まず、国管理の河川は国土交通省が別途情報提供しておりまして、サイト上の相互連携ということではなくて、これは基礎自治体側の問題でもありますけれども、基礎自治体も総合的な情報提供をできていないということが課題だというふうに思います。
 加えて、建設局のシステムにおきましては、八王子市内を初め、府中以西の多摩川水系においては一台もカメラが設置されておりません。多摩川の上流部支流は都の管理でありまして、今回も実際に氾濫しましたし、氾濫の危険がある河川も多数ありました。
 避難等に当たっては、近隣住民などが危険を冒して撮影したネット上の情報が頼りになってしまうという状況もございまして、情報の信憑性であったり、あるいは、そもそも危険であるということで、都の映像情報を充実させていくべきというふうに考えます。
 水防災総合情報システムで公開している都管理河川の監視カメラはどのような考え方で設置しているのか伺います。

40◯小林河川部長 都は近年、甚大な浸水被害が発生している河川等を水防法に基づき、洪水予報河川または水位周知河川に指定し、洪水のおそれがある際に氾濫危険情報を発表しております。この洪水予報河川などの水位が氾濫危険情報発表基準の水位に到達しているか否か等を映像で確認する箇所に監視カメラを設置しております。
 河川の水位状況を視覚的に伝えることは、都民が避難行動の判断等に活用する上でも有効であることから、ホームページで公開をしております。

41◯滝田委員 これまでは、危険性の高いとする河川について監視カメラを設置しているということだというふうに理解をします。先ほど指摘しましたけれども、今回の台風においては、市民が避難を判断する際などで河川の状況把握、特に映像情報は非常に重要、有効であるということがわかりました。都の管理上の目的だけではなくて、市民の使える情報として監視カメラの充実が必要というふうに考えます。
 ついては、河川の監視カメラにつきまして、今後の設置拡大について伺います。

42◯小林河川部長 都は、昨年度の防災事業の緊急総点検を受けまして、水位情報等の収集、監視機能を強化するとともに、住民が河川の状況を確認し、避難等の判断ができる情報提供の充実を図るため、今年度より都内全域の河川を対象に、水位計や監視カメラの設置箇所の拡大についての検討を開始しております。
 先日の台風第十九号で被害を受けた秋川や南浅川なども含めまして、近年の被害実績なども踏まえて検討してまいります。

43◯滝田委員 これ、カメラについては重要な件ですので、ぜひとも検討を進めていただきまして、必要な予算につきましても、来年度に向けて検討いただきたいというふうに思います。昨年の防災事業の緊急総点検を受けて検討を開始しているということではございましたけれども、繰り返しになりますが、来年度予算につきましても視野に入れて、早急に設置拡大の取り組みを要請いたします。
 河川整備や治水から少し離れまして、河川空間の活用、占用利用について質問をいたします。
 急速な都市化や治水を優先した取り組みということで、これまで日本の主要都市は河川や水辺に背を向けて都市整備がなされてきたのではないかということがよく指摘をされます。これからの都市づくりにおきましては、河川や水辺の持つ魅力を都市生活の中に取り入れる、河川や水辺に顔を向けた都市づくりを目指していくべきであります。今般計画を策定しております長期ビジョンにおきましても、治水と河川や水辺に顔を向けた都市づくり、この両立を掲げていくべきではないかと考えます。
 河川空間の活用については全国で事例が蓄積されてきておりまして、東京でも、区部においては、かわてらすやオープンカフェが隅田川に設置されるなど、地元区とともに水辺の魅力を高める取り組みが進んでいます。今後のさらなる広がりを期待いたすところでございます。
 多摩地域の河川においても、河川空間を多面的に利活用する取り組みが進むように地元市と連携をするべきというふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。

44◯小林河川部長 今のご質問でございますけれども、自然豊かな多摩河川の清流や水辺空間を生かして、これまでも野川での田植えや黒目川での川遊びなど、地元市や地域住民等による水辺のにぎわい創出につながる取り組みが行われております。
 一方、平成二十三年には規制緩和として、地元の発意や地域の合意形成など、一定のルールのもと、河川のにぎわいに資する施設等について民間事業者による河川敷地の占用が可能となりました。多摩におけるにぎわいの取り組みがさらに促進するよう、規制緩和を活用した占用事例やスキームを地域合意の主体となる地元市に紹介するなど、一層の連携を図ってまいります。

45◯滝田委員 答弁で地元市との連携というところで意気込みを伺いましたので、ぜひ多摩地域の河川につきましても、地元市や地域を促して、魅力的な河川の利活用が一層進むように取り組みの深化をお願いいたします。
 次に、道路に関して伺ってまいります。
 今回の台風十九号によりまして、西多摩地域や八王子市、青梅市の西部地域で多数の都道が通行どめとなり、土砂の流入や崩落により道路が寸断されて孤立してしまうというエリアもございました。
 土砂災害対策を今後着実に進めていただきたいということはもちろん要望いたしますけれども、土砂の流入などを全て防ぎ切るということも難しく、被害に遭った場合においても早期に復旧する体制ということが、住民が安心できる生活を迅速に取り戻す観点で重要であります。
 ついては、豪雨による土砂流入や雪害などの際にも、都道を早期に復旧する体制をどのように構築しているか伺います。

46◯花井道路保全担当部長 建設局では、大雨や降雪などに関する注意報、警報が発表された際に、本庁及び建設事務所が東京都水防計画、雪害対策計画書に基づきまして、連絡態勢、警戒配備態勢を立ち上げ、都道におけます非常事態に備えております。
 また、雪害時の対応といたしましては、降雪時におけます円滑な道路交通を確保するため、毎年地元協力業者の稼働可能な資機材や労力の把握を行いますとともに、作業箇所等をあらかじめ定めまして、迅速かつ適切な除雪活動を実施する体制を整えております。
 災害が発生した場合には、速やかに現場確認を行いまして、生活への影響などを最小限に抑えるため、応急対策を早期に実施いたしますとともに、工法や範囲などを確定し、本格的な復旧工事を実施いたします。
 今後とも、自然災害に対しまして、都道の復旧に機動的な対応をし、都民の安全・安心を確保してまいります。

47◯滝田委員 地元の市長からも、災害時であったり、降雪時などの建設事務所の体制、人員については一層の強化が必要ではないかという形で指摘を受けておりまして、管理延長であったりとか、さまざまな要因があって一概にはいえないと思いますけれども、ほかの道路に比べて都道の復旧が遅いのではないかということをいわれないように、緊急時の十分な人員体制と関係機関等との柔軟な連携体制については、地元市との認識も確認の上で充実することを要望いたします。
 また今回、日野市と立川市を結ぶ都道におきまして、日野橋の橋脚が陥没しまして、通行が不能となっております。日野橋は大正十五年に架設された歴史ある橋でありまして、多摩川の中下流部では三番目に古く、昭和三十九年に大規模改修工事、平成十八年に耐震補強工事を行ってきたところでございます。近隣自治体からは近年、毎年かけかえを要望してきておりまして、平成二十六年度にも都として調査予算を執行したという経緯がございます。そのため、今回の被害におきましては、市民からのじくじたる声というものがありまして、地元日野市や立川市選出の我が会派の都議から聞いているところでございます。
 先般の災害翌日には、都民ファーストの会東京都議団としまして、小池都知事に緊急対策の要望をいたしましたけれども、その中でも日野橋については甚大な被害として明記をいたしまして、道路橋脚の復旧などに全力で取り組むよう要請をしたところでございます。
 日野橋については、地元市民の生活や広域的な交通にも多大な影響があることから、早期の復旧を目指して技術的な調査をすぐに開始すること、並行して、抜本的な老朽化対策として橋のかけかえも早期具体化するべきというふうに考えますが、今後の対応につきまして見解を伺います。

48◯花井道路保全担当部長 ただいまのご質問の日野橋についてでございます。台風第十九号の影響によりまして、橋桁を支えます橋脚が沈下しました。路面に大きな段差が生じましたため、十月十三日午前四時五十分に通行どめを実施いたしました。橋脚を支える河床が水の勢いで洗掘されましたため、橋脚の沈下が生じたものと想定されます。
 この復旧に向けまして、河川管理者と調整の上、水位が低下した後、現場での安全確認を行いまして、河床の洗掘範囲、橋梁の変形等の技術的な調査を速やかに実施する予定でございます。
 また、本橋のかけかえにつきましては、平成二十六年度から調査等を開始しておりまして、引き続き、早期かけかえに向けまして、関係機関との協議や調査設計等を進めてまいります。

49◯滝田委員 復旧であったりとか、あるいはかけかえの検討に当たり、地元自治体の意向をしっかりと把握しながら連携をしていくように重ねてお願いを申し上げます。
 さて、台風の関連から観点を変えまして、引き続き幾つか道路に関連して質問いたします。
 先ほど河川空間の活用について質問いたしましたけれども、道路空間の活用ということについても、より柔軟な取り組みができるようにしていくべきと考えます。これまでの道路空間の活用について、成果と今後の取り組み方針について伺います。

50◯前田道路管理部長 東京の魅力を一層高めていくため、公共空間としての道路を生かし、まちの活性化を図っていくことは重要でございます。都では、これまで都市再生特別措置法や国家戦略特別区域法に基づく道路の特例占用制度を活用し、環状二号線新虎通り、丸の内地区の行幸通り、新宿副都心四号街路でオープンカフェやイベントなどに対し占用許可を行い、まちのにぎわいづくりを支援してまいりました。
 今後も引き続き、地元自治体や関係各部署と連携いたしまして、にぎわいの場としての道路空間の活用に積極的に取り組んでまいります。

51◯滝田委員 道路交通であったりとか安全といった観点は非常に重要でございますので、それと両立をしていくということが大事だというふうに思いますが、一方で海外都市を見ますと、オープンカフェであったりイベント、さまざまな使い方というのは珍しくありません。
 空間としてどこでも実現できるわけではありませんけれども、そもそもの考え方として、道路、道というものが車のものなのか、人のためのものなのかというところが考え方に来るかと思います。一番初めに水辺、緑、空を人の手に取り戻すということを申し上げましたけれども、道もまた人の手に取り戻すという考え方でいかなければならないのではないかということを申し上げます。
 本日は一言紹介にとどめますけれども、例えばバルセロナでは、街区ごとの交通を整理しまして、一部の道路を車の通らない広場化するスーパーブロックという取り組みが行われております。海外のこうした競合する都市におきましては、道路を人々に開く工夫をさらに進めていこうということに取り組んでおりますので、両立は非常に難しいとは思いますけれども、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 今年度、大学研究者の事業提案制度から、インフラ運営の透明化に向けたICT、AIを活用した市民協働システムといったものが採択されております。建設局におきまして検討を進めていると聞いております。ICTによるインフラ不良の市民通報システムというものは、米国などでも実用化されているものでありまして、行政の効率化と市民サービスの向上の両面から期待をするところです。担当の皆様におかれましては初めての取り組みですので、ご苦労されると思いますけれども、戦略政策情報推進本部とも連携をして、ぜひよい仕組みをつくっていただきたいと思います。
 市民からしますと、道路の管理者が誰なのか、国なのか、自治体なのか、都なのかということであったり、あるいは舗装も、信号も、街路樹も、マンホールも、所管がどこなのかといったことについては区別がつきません。逆に縦割り、横割りということではなく、市民に対してしっかりとそうしたものが受けとめられるシステムというものが必要だろうというふうに思います。
 インフラ運営の透明化に向けたICT、AIを活用した市民協働システムにおきまして、基礎自治体や他局との連携した運用ができることが非常に重要でありますけれども、現在の道路情報に関する連絡体制及び市民協働システムの取り組み方針を伺います。

52◯花井道路保全担当部長 道路に関します都民からの通報や連絡に対しましては、都道のみならず、国道や区市町村道などにつきましてもワンストップで対応できるよう、道の相談室を設置し、適切な道路管理を行っております。
 これらの取り組みに加えまして、スマートフォンアプリを用いた市民協働システムを導入することによりまして、容易に通報や連絡が可能となり、広く都民からの情報提供を得られますとともに、都民と協働したきめ細やかな道路管理にもつながるものと考えております。
 今年度は、試行といたしまして、一定エリアにおいてシステムを運用し、地元自治体とともに課題を抽出した上で戦略政策情報推進本部と連携いたしまして、システム機能の向上を図ってまいります。

53◯滝田委員 各局であったり、あるいは基礎自治体との連携について、都民視点で使いやすい仕組みづくりをつくり上げていけるよう、運用も含めた調整をお願いいたします。私としては、このシステムづくりについては応援しておりますので、しっかりと進めていただきたいというふうに思います。
 次に、道路に関しての最後に遮熱性舗装について伺います。
 暑さ対策、ヒートアイランド対策の必要性がいわれておりますけれども、遮熱性舗装であったり保水性舗装、それ以外にも街路樹による陰影の創出、屋上緑化等の緑の創出、水面の創出など、選択肢があります。歩道の歩行者にとっての気温低下効果であったり、ヒートアイランドの要因となる蓄熱を減らす効果など、整備コストとの対比で検証していく必要があると考えます。
 ついては、遮熱性舗装について、現在の整備の進捗状況と直近の平成三十年度の決算額、一般的な舗装との価格差と効果について伺います。また、遮熱性舗装の採用から一定期間経過しておりますので、新たな技術なども研究されているというふうに思われますが、それらへの対応について見解を伺います。

54◯花井道路保全担当部長 都は、ヒートアイランド対策の一環といたしまして、平成二十年度から、センター・コア・エリアを中心とした重点エリアで遮熱性舗装などの整備を路面補修工事にあわせて実施しております。二〇二〇年までに本舗装を累計で約百三十六キロメートル整備する見込みでございまして、平成三十年度までに約百二十九キロメートルの整備が完了いたしました。また、平成三十年度の決算額は四十四億円で、十三キロメートルの整備を進めました。
 なお、この整備費用は、一般的に都が採用しております低騒音舗装のみを行う場合のおおむね一・三倍でございます。効果につきましては、遮熱性舗装は路面温度の上昇を最大八度抑制するなどの効果がございます。
 新技術の活用につきましては、研究開発の動向を注視いたしまして、関係機関等と調整の上、検討してまいります。

55◯滝田委員 遮熱性舗装という、前から導入してはおりますけれども、新しい技術ということで、これまで一定の規模感を持って導入が進捗してきたということでございます。これまでの整備実績をもとに、費用対効果の検証であったり、技術改良によるコスト削減をするなど、事業のブラッシュアップをすべき時期にも来ているのかなというふうに考えます。
 八王子市内におきましても、甲州街道で遮熱性舗装が一部導入されたということで、八王子まつりの際の踊り手さん、あるいは山車の引き手にとって快適になったというふうに実際いわれております。また、二〇二〇大会のマラソンコースとしても効果を期待するものであります。
 一方で、ふだん都道では車道を歩くわけではありませんので、暑さ対策という意味では、例えば小学生の通学路など、そうした道においての整備の方が導入効果というのは高いのではないかということも考えられますし、さまざまな導入の優先順位についても検証していただきたいなというふうに考えております。
 最後に、公園関係について伺います。
 これまで一般質問であったり予算特別委員会などにおきまして、公園の多面的活用、民間活用について提案をし、質疑をしてまいりました。改めて、公園大改革について、今後の取り組み方針と、長期ビジョン策定に当たってどのような課題認識をしているのか伺いたいと思います。

56◯古川公園緑地部長 都立公園大改革は、都立公園をより親しみ、楽しみを感じる公園に生まれ変わらせるための取り組みであります。改革を進めるに当たり、新たな発想でこれまでにない魅力を引き出すこと、公園を主役とした地域と都民との連携など、設定した視点をもとに、引き続き取り組んでまいります。
 また、長期ビジョン策定において、東京の都市としての魅力を一層高めるため、都立公園の整備拡充や魅力向上などの課題を踏まえた計画となることが重要であると認識しております。
 今後とも、都民、来園者、旅行者等のさまざまなニーズに応えるため、都立公園の改革を進めてまいります。

57◯滝田委員 しっかりと進めていただきまして、各公園での具体化に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 ニューヨークの長期計画におきましては、二〇三〇年までに全ての市民が住宅から徒歩十分以内で公園や広場に行けるようにするという目標を掲げています。
 また先日、私、私費ですけれども、シンガポールに視察に行ってまいりました。シンガポールで都市開発を担当している行政庁の方でも、ことしマスタープランの改定を行っておりまして、そのドラフトにおきましても、同じく九割以上の市民が公園から徒歩十分圏内に住むということを今後十五年間で目指していくというふうにしております。
 世界の都市間競争ということにおきましては、公園や緑の量的な確保、質的な向上に加えまして、徒歩圏でのアクセシビリティーもターゲットに目標設定をしているところでございます。建設局の範疇だけではなくなりますので、今回の委員会の質問とはいたしませんけれども、都においても、これまでの公園や緑の量に加えまして、徒歩圏で公園や緑にアクセスできるということにつきましても、長期的な目標に入れて取り組むべきというふうに考えますので、関係各局との検討をお願い申し上げたいと思います。
 本年より始まりました国際競争力プロジェクトによる海外事例調査には大きな期待をしております。通常業務が非常に忙しいという中で海外出張に行くのは、最初は負担が大きいかもしれませんけれども、東京都が対峙している海外の強豪都市、これらがどのような取り組みをしているのかということを見てくることは、長期的には必ずプラスになるものというふうに思います。私自身も前職は総合商社に勤めておりましたので、どれだけ忙しくても海外の現場に足を運ぶということは大切にしたいということで、先日も海外に行ってきたわけでございます。
 建設局において、国際競争力プロジェクトによる海外派遣の取り組みを伺いますとともに、調査内容をどのように局内各部署や関係する他局に共有し、生かしていくのか伺いたいと思います。

58◯村上企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 建設局では、国際競争力強化プロジェクトを活用して、これまでに海外四都市へ二十四名の職員を派遣し、多様な公園管理運営手法など、先進事例の調査を実施しております。
 職員が目にした事例や得られた知見は、参加していない職員にも職場報告や局報等を通じて情報共有するとともに、関係する各局や区市町村職員には研修などで情報提供してまいります。プロジェクトを通じまして、職員がより広い視野からの課題解決力を身につけることによりまして、新規事業の企画立案や既存事業の改善に生かしてまいります。

59◯滝田委員 続けて質問しますけれども、公園関連につきましても、ニューヨークを視察したというふうに聞いておりますが、どのような知見が調査で得られたか、またどのように活用するのか伺いたいと思います。

60◯古川公園緑地部長 ニューヨーク市では、セントラルパークやブライアントパークなど、著名な公園のにぎわい状況などを視察するとともに、市職員や公園管理者などへのヒアリングを実施いたしました。
 多様なイベントの企画や公園内施設の工夫などにより、にぎわいを生み出す方策、レストランなどの収益を公園の維持管理に活用する仕組みなど、公園運営の参考となる知見を得ました。また、公園管理を取り巻く歴史的背景や、公園が多くの市民や民間企業の協力や寄附により支えられている状況などについても学んでまいりました。
 今後、これらの知見を踏まえ、国内外の公園管理における事例研究を進めながら、民間活用方策などの検討に生かしてまいります。

61◯滝田委員 ぜひとも海外の事例も参考にして、東京の公園が世界から逆に視察をされるというように取り組みを深めていただきたいと思います。
 時間が迫っておりますので、最後の質問の方に行きたいと思いますけれども、先日、一般質問でも取り上げをさせていただきましたけれども、世界を見渡しますと、今、シェアリングの電動キックボードというものが普及をしているという状況にございます。なじみがないかもしれませんけれども、子供たちが遊んでいるキックボードの電動で動くものということで、シェアリングにしているものが多いんですけれども、まち中にポートがあって、それを携帯のアプリで鍵をあけたり、決済をしたりということで、すぐ簡単に借りられるといったものになります。今やシェアサイクルではなくて、シェアリングの電動キックボードというものが各まちにあるというような状況でございます。
 私も海外に行って乗ってみましたけれども、ランニングと同程度の時速十キロから十五キロぐらいで走る限りは特段危ないということではなくて、移動手段としても、その速度で走ったとしても、地下鉄駅三、四駅分ぐらいは移動できるというものでありました。
 さきの一般質問では、戦略政策情報推進本部長より、試乗体験等の実証実験を通じ、利用拡大に向けた機運醸成を図る段階、今後、都立公園等の公道以外のスペースで、安全性に十分配慮しながら試乗体験会等が実施できるように検討してまいるという答弁がございました。
 モビリティーとしての実験でありますので、歩行者や、その他のモビリティーと共存した環境で一キロ程度走行できる空間の確保が望ましいというふうに考えますが、今後、事業者が都立公園で電動キックボードの実証実験を要望した際に、どのような手続が必要になるか伺います。

62◯古川公園緑地部長 都立公園は指定された場所以外での車等の乗り入れを禁止しているため、電動キックボードなどを公園内で試乗体験するためには、イベントとしての一定の園地を占用することが必要となります。
 イベントの占用を許可する基準を設けており、イベントを実施できる広場があること、公共性が高く、国や地方公共団体の主催、共催または後援のもとに行われること、他の公園利用者や周辺の居住者に配慮した内容であることなどが条件となります。
 なお、申請につきましては、イベントが行われる月の十三カ月前から先着順で受け付けをしており、申請が競合する場合には抽せんにより使用者を決定しております。

令和元年環境・建設委員会 2019-10-29(建設局・事務事業質疑)
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