令和元年環境・建設委員会 本文 2019-11-27

◯滝田委員 大分皆さんお疲れだと思うんですけど、あと二人ですので、おつき合いいただければというふうに思います。
 事務事業質疑ですので、最初に、具体的な質問に入る前に、私の考え方を少し述べさせていただきたいなというふうに思います。
 東京の長期的な目指す姿ということが、長期ビジョンの議論もありますので、いろいろ議論になっておりますけれども、環境分野においてということを考えると、私としては三つ方向性があるかなというふうに思っておりまして、一つは、やはりきょうもたくさん議論が出ておりますけれども、ゼロエミッション都市をどうやって実現するかというふうに思います。五月のU20メイヤーズ・サミットにおきまして、二〇五〇年に東京のCO2排出量ゼロと、ちょっと少し言葉はあれかもしれませんけれども、目指すということを知事が示したということは画期的な一歩ということでもあります。
 気候変動に対してどうやって取り組んでいくのかということにつきまして、この大きな目標を掲げましたので、施策の強化、具体化ということを進めていかなければいけないというふうに思います。
 二つ目ですけれども、少しこれも私なりの言葉になってしまいますが、成長戦略として環境政策をやっていくということの必要性があるというふうに考えておりまして、特にエネルギー分野に関しては、太陽光を中心にしまして再生可能エネルギーの発電コストというのは近年大きく下がっているというふうに認識をしておりまして、火力などのほかの発電コストに比べましても、再生可能エネルギーの方が経済的に合理性があるという段階というのも現実的になってきたのかなというふうに思っております。
 より一層、普及であったりとかコストダウンを追求して、再生可能エネルギーの方がコスト的にも優位であるという状況をいかにつくり出していくのかということが本当に現実的に求められてきているというふうに考えております。
 三つ目ですけれども、世界の都市間競争という文脈におきまして、競争力のある魅力的な都市環境をどうやって形成していくのかということも重要であるというふうに考えております。
 今月二〇一九年版が出たということではあるんですけれども、二〇一八年の森記念財団の世界の都市競争力ランキングによりますと、東京の順位といいますのは、環境分野は実は二十九位だったんですね。分野別では唯一トップテンに入っていないというのが環境分野でありまして、二〇一九年は二十三位に上がったということなんですが、世界の主要都市というものは、それぞれ人々を引きつける都市環境の形成に力を入れておりまして、そうした意味での競争力のある都市環境、これは持続可能性というだけではなくて、水であったり、緑であったり、大気であったりということの形成について考えていかなければいけないということを長期的な考え方に当たっては、環境局と関係各局において検討すべきではないかということを、まず私の考えとして最初に述べさせていただきたいと思います。
 こうした観点から、本日は、それぞれのテーマにつきまして質問していきたいというふうに考えております。
 まず、先ほどもお話ししましたけれども、本年五月に東京で開催されましたU20メイヤーズ・サミットにおきまして、二〇五〇年にCO2実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を実現すると、小池都知事が非常に高い目標を示されました。この野心的な目標に対しまして、持続的な社会を構築していく上で、東京が日本だけではなくて世界を牽引していくという強い決意であるというふうに受けとめております。
 この大目標について実現性を高め、具体化をしていくことこそが重要であるということはいうまでもありません。分野別に施策、政策目標を体系化して、あるいは二〇三〇年、中間目標を設定するなど、達成段階を整理するということが必要であるというふうに考えます。
 つきましては、二〇五〇年のゼロエミッション東京を目指す上で、今後どのように取り組んでいくのか、方針を伺いたいと思います。

282◯若林環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、ゼロエミッション東京の実現に向けまして、省エネルギー、再生可能エネルギーの活用により、CO2排出量の最小化を目指すとともに、自動車環境対策や資源循環など、あらゆる分野の取り組みを気候変動対策に位置づけ、社会全体の脱炭素化に向けた取り組みを進めております。
 また、今ご指摘のとおり、二〇五〇年に向けましては、二〇三〇年というのは重要なステップでございます。二〇三〇年に向けた新たな目標を設定し、具体的な対策を推進してまいります。
 具体的に申しますと、早急に取り組むべき課題として、まず、プラスチック対策に関しましては、容器包装プラスチック等のリサイクルを拡大し、二〇三〇年までに家庭や大規模オフィスビルから排出されるプラスチック廃棄物の焼却量を四割削減する目標を設定いたしました。
 また、ゼロエミッションビークル、ZEVにつきましては、二〇三〇年に都内新車販売台数の五割をZEV化することを目標に掲げ、必要な充電インフラにつきましても、二〇三〇年までに都内に急速充電器数を一千基にすることを目指してまいります。
 こうした具体的な目標設定と、そしてそれを実現させるための具体的な施策を、年末にゼロエミッション東京戦略として取りまとめてまいります。

283◯滝田委員 年内にゼロエミッション東京戦略として取りまとめをしていくということでございますので、期待をするとともに注目をしていきたいというふうに思います。
 これは二〇三〇年の中間目標とはいっても、かなり長期でありますので、その中身、あるいは、さらに短期的にどうやって取り組んでいくのかということについても、今後さまざまな場面で質疑などの機会もあるというふうに思います。これにつきましては、局の皆様、あるいはこの議会の中でブラッシュアップをしていければというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 先ほどの答弁の中にも資源循環分野について答弁がありましたけれども、プラスチック廃棄物の焼却の削減などにも目標設定をして取り組まれるということでございました。
 本日、桐山都議、あるいは里吉副委員長の方でも、一般廃棄物の焼却をどうやって減らしていくのかということについて、かなり詳しく質問がありました。廃棄物そのものの削減、再利用の取り組みというのはぜひとも強化をして進めていくように私からも要望しておきたいというふうに思いますが、一方で、廃棄物を減らしていくにしましても、相当量の焼却というのが発生し続けるだろうというふうに思われますので、焼却灰等の一般廃棄物の最終処分量の方をどう削減するのかという観点について、次に質問していきたいというふうに思います。
 平成二十九年度の都内の一般廃棄物の最終処分量を改めて見てみますと、多摩地域が千四百三十六トンであるのに対しまして、二十三区は三十三万八千トンということであります。多摩と区部の人口比は約二倍というふうにいわれていますけれども、一般廃棄物の最終処分量で見ると、二百三十六倍の処分量ということで、とんでもなく差があるというふうになっております。
 このことについては、先ほども桐山都議もかなりいっておりましたけれども、ある種の多摩と区部の格差が生じているということになります。
 多摩地域については、埋立処分地に限りがあるということで、平成十八年より焼却灰のエコセメント化施設を稼働しまして、最終処分量を大きく減らしてきたというふうに理解をしております。
 一方で、二十三区の最終処分場は、中央防波堤外側埋立処分場と新海面処分場がございますけれども、ごみの最終処分だけではなくて、土砂の埋め立て等にも使用しているということであります。
 この貴重な処分場をできる限り長く使用していくということは重要でありますし、先ほど一番最初に質問しましたけれども、何よりもゼロエミッション東京、持続可能な循環型の都市を構築していくということでありますので、一般廃棄物の最終処分を埋め立てに頼るということではなくて、再資源化していくということが必要ではないかというふうに思います。
 ゼロエミッション東京の実現に向けまして、二十三区においても抜本的に最終処分量を減らすということを都及び一部事務組合の方で連携して検討すべきではないかということを問題提起いたします。
 ついては、まず、多摩地域の一般廃棄物の最終処分について、エコセメント化に至った経緯と事業概要について伺いたいと思います。

284◯風祭調整担当部長 多摩の二十五市一町で構成される東京たま広域資源循環組合は、昭和五十九年から谷戸沢廃棄物広域処分場において、可燃ごみの焼却灰や破砕した不燃ごみ等の埋め立てを行ってまいりましたが、平成十年に埋め立てを終了し、同年から二ツ塚廃棄物広域処分場で埋め立てを行っております。
 この処分場に続く最終処分場の確保は極めて困難であることから、同組合は、焼却灰の資源化が可能なエコセメント化施設を平成十八年から本格稼働させました。このエコセメント化施設は、二ツ塚廃棄物広域処分場に設置されまして、焼却灰を日平均で約三百トン処理できる能力を有しておりまして、組合の構成団体のごみ焼却施設から排出される焼却灰を受け入れております。

285◯滝田委員 実は、私も含めまして、都民ファーストの会の東京都議団、多摩地域選出議員で、昨年にエコセメント化の施設を見学させていただきました。非常に巨大な施設でありまして、処分場全体が五十九ヘクタールあるうちの約四・六ヘクタールを使ってエコセメント化の施設があるということでありますが、稼働当初から比べますと、先ほど質疑もありましたけれども、ごみの排出自体を減らしているということで、持ち込み量は減っているんですけれども、今、年間八万トン程度を処理しているということのようです。
 施設稼働に当たりましては、地域の皆様に本当に多大なご協力をいただいているというふうに聞いておりますし、現状はほとんど埋め立てが発生せず、新たな用地確保の心配というのはかなり減ったという状況であるという理解をしています。
 次に、二十三区の一般廃棄物の最終処分については、これまで取り組んでいる処分量の削減努力と現在進めている資源化の計画について伺いたいというふうに思います。

286◯風祭調整担当部長 二十三区で発生する一般廃棄物の焼却灰は、東京二十三区清掃一部事務組合において溶融処理を進めてまいりましたが、東日本大震災に伴う電力需給の逼迫やCO2の排出削減の観点から、平成二十五年度から一般的な土木建築資材である普通ポルトランドセメントの原料として資源化する実証事業を開始いたしました。
 平成二十七年度からは、民間のセメント工場でのセメント化を本格実施し、焼却灰の資源化量を年々ふやしていく計画と聞いております。

287◯滝田委員 ありがとうございます。処分量全体が三十四万トンというふうに私としては数字を認識しておりまして、別の一部事務組合の資料を見させていただきますと、四万トン程度の資源化を行っていくというように理解をしておりますので、規模感としてはそれぐらいの規模感であるということで、取り組みは前進しているということは大いに評価するべきだというふうに思いますけれども、まだまだ道半ばかなというような状況かと理解をしております。
 また、二十三区におきましては、エコセメント化施設のように自前の施設ではなくて、民間のセメント事業者において原料化をしているというふうに聞いておりまして、これも直近年度の予算によると、約十九億円の事業費が計上されているというような費用的な規模感だという理解をしています。
 一般廃棄物の事務というのは基礎自治体に移管をされていて、一方で、広域的な対応も必要ということで、都の方でも基礎自治体と連携をして取り組んでいく必要があるというふうに考えますし、また、昨今の資源循環をどうやって実現していくかという観点におきましても、都だけがいっていても現場が動かないとどうしようもないということで、一層の連携というのが必要なのかなというふうに思います。
 つきましては、多摩地域及び二十三区の一般廃棄物の最終処分において、これまで都として行ってきた支援内容について伺いたいと思います。

288◯風祭調整担当部長 多摩のエコセメント化施設については、都から技術職員を派遣する人的支援を行うとともに、その整備に当たりましては、廃棄物処理施設整備費都補助金交付要綱に基づき、補助金を交付する財政支援を実施いたしました。
 同様に、都はこれまで、東京二十三区清掃一部事務組合にも、清掃事業や施設運営に関し、経験豊かな都職員を派遣するなどの人的支援を実施しております。
 また、都が事務局を務める区市町村と都の共同検討会におきまして、二十三区における埋立処分量の削減について検討を重ね、これまで埋め立てられていた不燃ごみに含まれる分別が徹底できない可燃分につきましても、令和二年度から焼却処理することといたしました。

289◯滝田委員 共同検討会のような取り組みというのは非常に重要だというふうに思いますので、今後もさまざまな形で取り組んでいければというふうに思いますけれども、私の理解としては、これも公表資料ですので、そこからとってきていますけれども、多摩のエコセメント化施設に関しては、そもそも二百七十二億円の事業費がかかっているというふうに理解をしておりまして、大体その三分の一ぐらいを都と国の財政支援を行ったというふうに聞いております。
 運営費については、基本的には自前で自治体の分担金で行っているということですので、直近の予算によりますと、エコセメント化の事業費には約六十一億円がかかっているということで、そもそもの整備にかかっているお金、あるいは毎年かかっている運営費、事業費ということも非常に大きな金額ではありますけれども、最初に申し上げましたとおり、埋立量を相当減らして再資源化ができているという取り組みであります。
 そこで、二十三区の一般廃棄物の最終処分において、多摩地域におけるエコセメント化のように、ほぼ全量資源化する事業を導入していくということはできるのか、何が課題となるのかということにつきまして、見解を伺いたいと思います。

290◯風祭調整担当部長 エコセメント化施設を整備し、焼却灰を全量資源化することを想定した場合には、施設用地の確保ですとか施設建設費及び維持管理のコスト、販売ルートの確保など、さまざまな課題が考えられます。
 一方で、民間のセメント工場に委託する場合につきましては、受け入れ施設のさらなる確保や輸送コストなどの課題が考えられます。
 いずれの場合におきましても、地方自治体ですとか、地元住民の理解が必要になります。

291◯滝田委員 ありがとうございます。さまざまな課題、特に地域への配慮というのが必要な取り組みではありますけれども、長い目で見て、今回、ゼロエミッション東京ということも掲げますし、改めてこの問題提起をさせていただきました。
 多摩地域ではごみ袋も有料ということで、市民の負担感がある中で、市民のごみ排出の削減努力ということを区部よりも相当やっているというのが実際問題ありますし、最終処分につきましても資源化をしていると。これは回り回って市民の負担になっているわけでありますけれども、さまざまな観点で多摩地域の格差を何とかしてくれという話があるんですけれども、逆にこの件につきましては、多摩の方が進んでいるんじゃないのかということも改めて申し上げまして、ごみの排出、最終処分を埋め立てに頼るということではなくて、区部におきましても循環型の仕組みが形成できるように、都と一部事務組合と連携をして、方策を検討していただきたいということを要望いたします。
 次に、少し観点が変わりますけれども、マイクロプラスチックについて伺いたいというふうに思います。
 海洋中のマイクロプラスチックについては、近年、関心が高まっていますけれども、原因物質であるとか、あるいは流出経路の特定、もしくはマイクロプラスチックによって具体的にどういった悪影響が起こるのかということについては、判明していないことも多いという認識をしておりまして、まずは調査、情報収集が必要というふうに考えています。
 ついては、マイクロプラスチックの原因物質や流出経路について解明していく上で、河川などにおいて継続的な調査をするべきというふうに考えますけれども、見解を伺います。

292◯宮澤資源循環推進部長 昨年六月に、海岸漂着物処理推進法の一部が改正され、事業者に対し、マイクロプラスチックの使用の抑制を促す努力規定が追加されるなど、その発生抑制対策が求められております。
 しかし、マイクロプラスチックについては、その発生源や分布などに未解明な部分が多いことから、その対策の実施に向け、科学的知見の収集が必要でございます。
 このため、都は、今年度中に、東京湾に流入する主要河川の多摩川、荒川において、河川ごみやマイクロプラスチックのモニタリング手法を確立するための実地検証を行います。
 今後、検証結果をもとに、モニタリング手法を確立するとともに、東京湾に流入する河川ごみやマイクロプラスチックの実態解明に向けた継続的な調査のあり方について検討してまいります。

293◯滝田委員 検証を開始して実態解明に向けた今後の検討をしていくということで答弁がございましたが、ぜひ継続して成果を出していただきたいというふうに思います。
 また、昨年十月にも、私、決算特別委員会で、こちらは下水道局ですけれども、調査であったり情報収集するべきではないかという観点で質疑をいたしました。関係局であったりとか、あるいは国や他県などとも連携をして進めていく必要もあるというふうに思いますので、この点についてもお願いをいたします。
 次に、ことし三月の予算特別委員会でも質疑をいたしましたけれども、再生可能エネルギーについて伺いたいと思います。
 最初に述べましたが、世界的には、太陽光を中心に再生可能エネルギーの発電コストというのが大きく下がってきているというふうに理解をしておりまして、火力あるいは原子力に比べて、既に同等の経済性、コストに至ったとする国際機関による研究も出てきております。
 再生可能エネルギーは、これまでの外部不経済に対応する環境政策というものから、経済合理性のある成長戦略に生まれ変わる段階に来ているのではないでしょうか。
 日本においても再生可能エネルギーの発電コストは近年下がってきておりますが、再生可能エネルギー、特に太陽光による発電コストについて、火力や原子力に比べて現状をどのように捉えているのか、都の見解を伺いたいと思います。

294◯小川地球環境エネルギー部長 国の調達価格等算定委員会の資料によりますと、住宅用太陽光発電の発電コストは、二〇一七年度はキロワットアワー当たり約十五円となっております。五年前の約二十五円から着実な低減傾向が見られますが、火力等のコスト水準十円台前半と比較すると、さらなる低減が望まれます。
 また、住宅用発電設備の設置コストは、キロワット当たり約三十四万円でございます。平均的な設置規模では百万円以上の初期投資が必要となるという課題もあることから、支援策を講じているところでございます。
 なお、太陽光発電の導入拡大に向けましては、コスト面に加えて、太陽光発電特有の負荷変動や系統の空き容量不足等への対応も必要でございます。

295◯滝田委員 ちょっと聞こえにくかったところがあるんですけれども、国の資料によりますと、太陽光の方は、ここ数年大きくコストダウンしてきていて、キロワットアワー当たり十五円程度になっていて、火力等は十円台前半ということでありますので、相当程度、もともと二十五円とか五年前ぐらいまではあったということですので、相当縮小しているということの認識のご答弁があったかと思います。
 普及促進とあわせまして、コスト水準を火力並みに早期に到達できるよう促していくという視点で取り組んでいただきたいなというふうに思いまして、そうした状況下にもうすぐなるんじゃないかという期待がある中で、再生可能エネルギー比率を三〇%にするという目標を掲げておりますけれども、都の長期ビジョンにおきましても、こうした環境が変わってくるということも加味して、東京の成長戦略として再生可能エネルギーを位置づけていくというようなことも考えていただきたいなというふうに要望いたします。
 また、これまでの実行プランに記載されている施策と目標を見ますと、再生可能エネルギー比率を三〇%にするという大きな目標があることに対して、個別施策の目標設定というのがちょっと体系的な形では落とし込まれていないんじゃないのかなというふうに思うところもありまして、この点については質問とはいたしませんけれども、次期実行プランの策定等でも、ちょっと体系化をして整理をしていただけると、より実現性が高まっていくのではないかということで指摘をしておきたいと思います。
 一方で、今、国の制度も変化を迎えつつありまして、FIT、固定価格買い取り制度における買い取り価格というのは年々低下をしておりますし、最初に、二〇〇九年以前にスタートしたものにつきましては、十年間の買い取り期間が今月から順次満了していくということになります。
 国の方では、二〇二〇年度末を目途に制度の抜本的な見直しということも想定されるという状況でありますので、こうした環境が変わろうとしている中で、再生可能エネルギーの普及が足踏みするということがないように、都の施策によって推進を後押しするべきであるというふうに考えます。
 こうした状況を踏まえまして、都はどのような対策をとろうとしているのか伺いたいと思います。

296◯小川地球環境エネルギー部長 家庭の太陽光発電設備は、地域の重要な再エネ電力であり、既に導入されたものは長期にわたって活用されることが望まれます。
 このため、固定価格買い取り制度による買い取り期間が終了する、いわゆる卒FIT、太陽光発電についても、買い取りの満了を契機に発電がとめられることのないよう、都のイニシアチブで活用する具体的な取り組みを検討してまいります。
 また、固定価格買い取り制度によらず、太陽光発電を活用していくため、自家消費を行える蓄電池の導入推進についても検討してまいります。

297◯滝田委員 きょうは質問では伺わないんですけれども、都の率先行動として、都営施設であったり、都庁グループによる再生可能エネルギー由来の電力調達ということは、かねてから我が会派として要望しておりますので、よろしくお願いしたいなというふうに思います。
 蓄電池についても話がありました。今後の一つの柱にしていこうというところもあるのかというふうに思いますが、太陽光発電を行う家庭における蓄電池の導入を推進するとのことですけれども、その意義を伺いたいと思います。

298◯小川地球環境エネルギー部長 太陽光発電設備を有する家庭に蓄電池を導入し、自家消費を促していくことは、電力系統の負荷を低減し、再生可能エネルギーの導入をふやしていく観点から重要でございます。
 また、先般の台風十五号や十九号に伴う停電被害によって、自立的な電源確保の重要性が改めて認識されたところであり、蓄電池の導入は防災力の向上の観点からも重要でございます。
 今後もスマートエネルギー都市の実現に向けて、家庭における蓄電池の導入推進を検討してまいります。

299◯滝田委員 日本全国の状況ということでいきますと、電力系統の逼迫ということがかなり話題となってきておりますけれども、東京を含む東電管内はまだ少し余裕があるのかなというふうに思います。いずれにしましても、行く行く電力系統の問題が出てきますので、早くから家庭内での自家消費等を促進しまして、蓄電池の普及、あるいはコスト削減ということを促していただきたいなというふうに思います。
 特に、FITの買い取り期間が終了する家庭におきましては、自家消費をふやすことによりまして、売買の価格差を考えますとメリットがあるというふうに思いますので、今後、その普及の支援をしていくという中におきましても、適正な支援のバランスということを考えていただきたいというふうに思いますし、あるいは、自家消費そのものが、卒FITということを考えますと、導入のメリットがあるはずですので、家庭にそうしたメリットというものをしっかりと周知をしていくということも、支援とあわせて必要な取り組みなのかなというふうに思います。
 一方で、これから新規で太陽光発電を導入する家庭ということについては、蓄電池の導入というのもメリットがあるかもしれませんけれども、直接的なインセンティブとはなりませんので、太陽光発電をまだ導入していない家庭に対して、どのように普及を図っていくのか伺いたいと思います。

300◯小川地球環境エネルギー部長 太陽光発電導入の際に一時的に生じる初期費用が負担となり、設置が進まないケースがあることから、都は、ことし八月から、リースなど、都民の初期費用の負担なしで太陽光発電設備を設置する事業者に対し、一キロワット当たり十万円の補助を行っております。
 また、都独自の東京ゼロエミ住宅仕様を満たす省エネ住宅の導入を促進する補助事業を本年十月から開始しており、追加で太陽光発電設備を導入する場合に、一キロワット当たり十万円の補助を行っております。
 こうした取り組みによりまして、都民の負担を軽減し、家庭における太陽光発電の普及を図ってまいります。

301◯滝田委員 今のお話ですと、リースでの普及が許可されるということにかなり力点が置かれているのかなというふうに思いますけれども、これは初期投資をかけられないという家庭にも有効かというふうに思います。もう一つメリットがあるのかなというのは、事業者側がリースでやれますよということで売り込みの形がとれるかというふうに思いますので、普及促進という意味でも、そういうリースのビジネスを使って、太陽光発電を導入するメリットがありますよということを伝えていく効果もあるのかなというふうに思います。
 一方で、事業者側が長期で安定的に経営して、リースを継続できるのかという意味で、信用性とか、あるいは事業者側のファイナンスはどうなるのかというところも少し気になるところではありまして、安心して家庭の方でリースの事業者さんと契約ができるという体制を整えることも必要ではないのかなというふうに思いますので、このことについても課題の提起をしておきたいというふうに思います。
 次に、都市の緑化について伺いたいというふうに思います。
 出だしのところで、都市間競争の観点でも、都市の魅力づくり、魅力的な都市環境の形成というのが重要だということをお話ししましたけれども、その中でも緑、緑化というのは、生活への潤い、あるいは安らぎを与えるということもありますし、日陰をつくるということもありますので、暑さ対策であったり、ヒートアイランド対策、ヒートアイランド現象の緩和などの面でも機能があるというふうに思います。
 そうした重要性ということも改めて長期計画などでもうたっていただきたいなというふうに思いますが、都市の緑化については各局にまたがっておりますので、環境局だけで取り組めるものではないという理解をしております。
 一方で、環境局においては、指標となるみどり率というものを扱っておりますので、全体の緑がどうなっているのかということを見ていくという意味で、環境局が持っている役割というのは重要だと思います。
 そこでまず、みどり率の定義とこれまでの推移についてどのようになっているのか伺いたいと思います。

302◯近藤自然環境部長 みどり率とは、緑が地表を覆う部分のほか、公園区域のうち緑のない部分や、農用地、水面を加えた面積が地域全体に占める割合のことで、地図データや航空写真などを用いて、五年ごとに調査しております。
 平成三十年度のみどり率は、都全域で五二・五%となっており、平成二十五年度から〇・五ポイント減少しました。
 用途別では、公園、緑地は全体で〇・一ポイントの増加、農用地は〇・三ポイントの減少、樹林、原野、草地は〇・三ポイントの減少となっております。

303◯滝田委員 ちょっと確認なんですけれども、みどり率は航空写真などから算出しているということですので、壁面緑化等の立体的な緑、あるいは緑の重なっている部分というのは基本的に含まれないという理解ですけれども、よろしいでしょうか。

304◯近藤自然環境部長 理事ご指摘のとおり、みどり率には壁面緑化や高木と低木の重なっている部分などは含まれておりません。

305◯滝田委員 大都市である東京においては、地上部というのは限られておりますので、そこだけではなくて、建築物の屋上、壁面、あるいは建築物内といったところも活用して都市の緑化を実現していくということが重要だというふうに思いますので、みどり率では捕捉されないかもしれませんけれども、考えていかなければいけないというふうに思います。
 そこで、建築物の緑化の推進についてはどのように取り組んでいるのか伺いたいと思います。

306◯近藤自然環境部長 都では、自然保護条例に基づき、一千平米以上の民間敷地、一定規模以上の敷地で開発や建築等を行う際に、地上部や接道部に緑を確保する緑化計画書の提出を義務づけ、敷地内における緑化を推進してまいりました。
 また、ヒートアイランド現象の緩和など、都市環境の改善に向け、平成十三年度からは、建築物の屋上や壁面、ベランダなどについても緑化を義務づけております。
 その結果、例えば屋上等の緑化では、平成十三年度から平成三十年度までに、日比谷公園のおよそ十四個分に相当する約二百二十七万平方メートルの緑を創出いたしました。

307◯滝田委員 建築物の緑化によりまして、日比谷公園の十四個分の緑の創出ということは大きな成果だというふうに思います。
 一方で、ちょっと、きょう数字では聞いていませんけれども、先ほどのみどり率で考えますと公園の緑というのは全体の四%程度ということですので、市街地に占める割合ということでいうと、建築物というのは非常に大きな割合があると思いますので、都市の緑化ということを考えたときに、建築物の緑化というのは大きな可能性があるものというふうにも私としては捉えております。
 また、海外の例を紹介しますけれども、シンガポールでは屋上緑化、壁面緑化に加えまして、中間階そのものを緑化してテラスにするというような屋内の緑化を実現した緑化建築というものも導入されておりまして、行政側もその整備を補助しているというような仕組みと聞いております。シンガポールなど先行する海外都市においての制度や効果というものも調査をし、検討すべきではないかということを申し述べたいと思います。
 ちょっと時間が限られておりまして、一問飛ばしたいなというふうに思うんですけれども、重要なこととしましては、立体的な緑、あるいは緑が重層化しているということが望ましいと思いますので、そうした上空からだけでは捉えられない緑ということにつきましても、しっかりとふえていけるように推進していくべきだということを述べたいというふうに思います。
 次の質問に移りたいというふうに思います。
 ヒートアイランド対策ということ、あるいは暑さ対策の必要性ということがいわれますけれども、もういきなり質問に移りますが、気温上昇の要因となっているヒートアイランド現象の緩和ということは重要な課題でありますけれども、都のヒートアイランド対策について取り組みを伺いたいと思います。

308◯小川地球環境エネルギー部長 東京では、地表面のコンクリート化や、緑化減少等の地表面被覆の人工化や、建物等からの人工排熱の発生により、高温化が進行しています。
 このため、都は、地球温暖化対策にも資する建物等の省エネルギー化などを促進するとともに、ヒートアイランド現象を緩和する遮熱性、保水性舗装の整備、街路樹や公園の整備、建物の屋上の緑化等を推進しています。
 加えて、環境局では、微細ミスト等を設置する自治体や事業者に対して費用を補助することにより、まち中の暑さ対策を推進しています。
 今後とも、関係各局等と連携し、ヒートアイランド対策に取り組んでまいります。

309◯滝田委員 環境局だけではなくて、各局で遮熱性舗装であったり、保水性舗装、街路樹の陰影の創出であったりとか屋上緑化等の緑の創出、水面の創出など、さまざま選択肢があるというふうに思います。
 こうしたヒートアイランド対策におきまして、全体としてどういう目標を定めていくのかということについては、少し明確ではないのかなというふうに思っておりまして、各施策で何をどこまで実現させるのかということ、あるいは費用対効果がどうなっているのかということについては、もう少し検証が必要なのかなというふうに思っております。これまでさまざま取り組んできておりますけれども、このヒートアイランド対策全体のあり方ということについても、検証、検討する時期に来ているのではないかなということで、問題提起をしたいというふうに思います。
 最後の質問に移りたいと思いますが、先ほど神林委員からも質問がありましたけれども、ヒアリ対策ということで、これはしっかりしていただきたいなというふうに思っておりますので、質問はかぶりますけれども、改めて質問させていただきます。
 先日、東京港でヒアリ、女王アリが五十匹以上発見されたということでありまして、ヒアリが定着するんではないかということで非常に危惧をされております。海外では毎年数千億円規模の被害が出ているというような話もありまして、この定着阻止ということが緊急かつ重大な課題であることはいうまでもないと思います。国や港湾局とも連携をしまして、必要な予算措置も含めて徹底的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 ヒアリの定着阻止に向けて、今後の対策や、国や関係局との役割分担について伺いたいと思います。

310◯近藤自然環境部長 本年十月に青海ふ頭で発見されたヒアリについて、環境省は、繁殖可能な女王アリが飛び立ち、ほかの場所に広がった可能性が高く、速やかに徹底した周辺調査及び防除を行わなければ、定着が危惧されるとの見解を示し、現在、青海ふ頭での緊急駆除や周辺での緊急調査を実施しております。
 今後の対策については、駆除や調査の結果をもとに、専門家と相談して検討すると環境省から聞いております。
 都は、都民への注意喚起や区市町村への支援などを行う環境局と港湾管理者である港湾局がそれぞれの立場から環境省と緊密に連携し、ヒアリの定着防止に向けて万全の対応を講じております。

令和元年環境・建設委員会 本文 2019-11-27
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