○九十五番(滝田やすひこ君) 私は、都民ファーストの会東京都議団を代表し、知事提出の全議案に賛成する立場から討論を行います。
都政一丸となって、都民とともに新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済活動の両立に取り組み、新型コロナに打ちかつとともに、ポストコロナの東京の姿を描き出し、東京を次なる成長のステージに押し上げていくことが、私たちに課せられた歴史的な使命です。
こうした観点から、私たちは小池知事に対して、多くの都民や事業者の切実な声を受け、これまで三十八回にわたる緊急要望を行ってきました。
今回の三千四百三十六億円を含め、累計一兆六千億円を超える補正予算を編成し、私たちが要望してきた施策を具体的に実現し、都民生活や東京の経済を守る施策を迅速に講じられてきたことを高く評価いたします。
初めに、第一波、第二波を踏まえた感染症対策の強化について申し上げます。
これまで多くの都民の皆様のご協力を得て、感染拡大を防ぐ闘いを続けてまいりましたが、その過程で都民の皆様に大きな影響が生じてきました。今後は、経済をとめさせないという大方針のもとに、これまでに得られた知見や蓄積をもとにして、医療崩壊を起こさせない、重症患者を増大させないという観点から、めり張りのある対策へブラッシュアップしていくべきです。
本定例会において、東京都新型コロナウイルス感染症対策条例の改正が提案され、感染拡大を起こさせないための義務づけがされたことを評価しますが、ガイドラインの遵守点検を行う業界団体を支援するなど、条例の実効性を高める具体的な取り組みの強化を求めます。
一方、本来であれば、感染拡大を防ぐための実効性ある取り組みを都道府県が実施できるように、国において感染症法や特措法の改正を行うべきと、私たちはこれまで何度も申し上げてまいりました。
国とのパイプを殊さらに強調される会派からも、特措法の改正を国に求めているとのことですが、非常に残念ながら、国は、感染症法や特措法の改正をいまだ行っていない状況にあります。代表質問の答弁にありました、自宅での療養が必要であるにもかかわらず、感染防止対策をせずに外出するなどの極端な迷惑行為によって現場が混乱し、過大な負担をかけるなど、感染拡大を引き起こすような事態に対して、条例により罰則を科すことによって、感染拡大を起こさせない取り組みの実効性を担保する必要があると考えます。
私たちが作成し、意見募集のために公表した罰則つきの条例案について、ある報道では八割の方が必要と答え、私たちが実施した都民アンケート調査でも、罰則を科すべきが五四・六%と過半を超えています。
今後も、都民の声をしっかりと聞き、各会派の皆様のご理解をいただけるよう、条例案文をさらに検討の上、提案してまいります。
めり張りのある対策への転換には、疫学分析等に基づいた科学的な政策立案を欠かすことはできません。私たちが創設を強く求めてきた東京iCDCの司令塔機能の早期確立を求めます。
さらに、私たちが強く求め実現に至った高齢者のインフルエンザ予防接種の実費負担の補助、高齢者施設や障害者支援施設などにおける予防的なPCR検査の実施などにより、感染拡大防止策を強化することを求めます。
また、新型コロナの二次被害として、高齢者のフレイル、認知症、鬱などが深刻化することも懸念されます。感染状況を注視しながら、高齢者が安心して運動や交流ができる環境づくり、デジタル技術を活用した地域活動の後押しなど、新たな支援策の実施を求めます。
次に、経済対策について申し上げます。
飲食や観光、文化芸術など経営環境が特に厳しい業種への支援や、失業対策、就労支援など、より踏み込んだ経済対策が必要です。単にコロナ前の経済に戻すのではなく、デジタル化の推進や脱炭素社会への転換、新産業の育成や人的資本への投資など、ポストコロナのあるべき東京の姿を見据え、変革を促す視点が極めて重要です。
また、私たちが求めてきましたコロナ禍における観光振興として、都民が都内を観光する都独自の支援策が追加提案されました。事業の効果を広く中小のホテルや旅館等の観光事業者に行き渡る制度設計とすることや、島しょ部でのしまぽ通貨の活用など、答弁内容の早期実現を求めます。
感染防止を徹底し、都内と周辺を中心とするマイクロツーリズムから進め、新たな日常における観光振興を実現するよう求めます。
これまで私たちは、行政手続の簡素化やデジタル化を繰り返し提言し、推進してきました。本定例会に上程された東京デジタルファースト条例案では、都の手続を原則デジタル化することが定められ、高く評価をするものです。今後、より住民に近い手続を所管する区市町村のデジタル化について、人材面も含めて支援をするよう求めます。
さらに、テレワークや特別支援学校を含めた各学校のICT環境整備など、東京全体のデジタル化の一層の強化も求めます。
英国のブレグジットや香港の政情変化など、国際金融の環境は大きく変化しています。この機を逃すことなく、答弁にありましたとおり、国際金融都市構想の抜本的見直しと、あわせて金融系外国企業や金融人材の誘致の取り組みを加速することを求めます。
私たちは、デジタル、国際金融とともに、環境を経済成長の重要な柱と位置づけるべきと考えており、各局のあらゆる取り組みについて、環境やサステーナブルの視点からブラッシュアップするサステーナブルリカバリーに取り組むことを求めます。
加えて、障害児の保護者の就労支援やソーシャルファームに対し、コロナ禍の中で持続可能な体制となるよう、都としての支援の強化を求めます。
コロナ禍における防災対策として、代表質問のご答弁にありました避難所の混雑状況等についてタイムリーに発信できる体制整備など、分散避難を促す取り組みについて、一層の強化を求めます。
また、複合災害に対して、避難所における感染症対策の資器材の充実、垂直避難に資する民間建築物への取り組み支援、多摩地域の防災拠点や新宿庁舎のバックアップとして、立川地域防災センターの抜本的な機能強化を求めます。
都内の待機児童数は、小池知事就任後、知事や私たち都民ファーストの会東京都議団として、最重要課題として取り組んでまいりました結果、歴史的な減少となりました。これまでの取り組みの成果、課題を踏まえながら、地域的な偏在や多様な受け皿のあり方など、待機児童解消後を見据えた施策を展開するよう求めます。
あわせて、都として、合計特殊出生率二・〇七を長期戦略に掲げた中で、今後、子育て世代、若年層の経済面での不安払拭や家事、育児負担の軽減を支援するなど、さらに踏み込んだ子育て支援を強く求めておきます。
さきの都知事選挙で小池知事は、東京大改革二・〇、そして都民ファーストの視点での行財政改革、構造改革を掲げました。今後、数値目標などを盛り込んだ構造改革プランを策定するとともに、都の幹部級を含め都庁外の人材活用、さらには組織再編や外郭団体の統廃合など、都民にとって最善のプランを実行する体制を構築することを求めます。
今後の財政運営に当たっては、賢い支出をこれまで以上に徹底することが必要です。しかし、国のいわゆる偏在是正措置により、都内一世帯当たり年間約十二万円もの金額が国に収奪されることになります。さらに、都の新型コロナの感染者数は全国の約三割を占めているにもかかわらず、新型コロナ対策を目的とした国の臨時交付金の東京都への交付額は、総額のわずか約四・六%にとどまっています。このような極めて不合理な措置は直ちに撤回、是正されるべきです。
東京の成長と発展なくして日本の成長と発展はなし得ません。私たちは引き続き、常に都民ファーストの視点で、あるべき制度の姿を訴えてまいります。
私たちはこれまで、古い議会を新しく、自分ファーストの議員から都民ファーストの議員へなど、真に都民の利益を代弁する都議会となるべく活動を続けてまいりました。
私たちが全国に先駆けて進めてきた待機児童対策、少子化対策、あるいはデジタル化の推進などが、ここに来て国においても取り組みが進みつつありますが、時計の針を決して過去に戻すことなく、常に都民ファーストの視点で新型コロナとの闘いを果断に進め、東京大改革二・〇が都政、そして日本全体の真の構造改革となるよう、全力で取り組んでいくことを改めてお誓い申し上げ、討論を終わります。
令和二年第3回定例会 2020-10-08(本会議討論) 速記録